表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある魔法使いの物語  作者: 座れない切り株
〜始まりのプリンシオ〜
8/33

8頁 古の魔法使いと適正

会話パート全くありません。ほんとすいません!謝りました!!

 シスタン・レンティスと出会い、臨時教師一日目にもかかわらず、何故か王族と懇意になってしまい、王子様にも出会ってしまう。相も変わらず急展開が過ぎる。



  あの激動の一日から、一週間が経った。その間の6日間は恐ろしく穏やかな日々に感じられたが、魔法をどうやって教えればいいやら、考えることもそれなりに多かった。午前の魔法座学の授業では、私は教室にいる必要は無いのだが、学長が必要だがらいるべきだと言っていたので、私も生徒達と一緒に授業を聞いている。


 授業の必要な教科書は、代々受け継がれるものであり、大体数年ごとに取り換えられ、その教科書を使い、一年生は一番古い時代である魔法が生まれた魔導歴1年から学んでいく。


 魔法の歴史を学ぶ理由は、魔法使いのルーツを知ること、そして魔法を使うことに対する責任を知ること。魔法使いのルーツに関しては、なぜ魔法使い、そして魔法は生まれたのか、現存する最古の古文書には最古の魔法使いと、魔法の生まれが書かれている。

 

 魔法の生まれとは、後に魔物と呼ばれる未知の生物から、人々を護った不可思議な力だとされているが、一番初めに魔法を使った魔法使いの名は教科書に記述かあるものの、どういう経緯で生まれたのかは、古文書に書いてすらいないのか、教科書にその記述は無い。

 

 魔法を使うことに対する責任とは、単純に魔法をもってして、人々護るという責任。責任と聞くと、重く厳しいものに感じてしまうが、決して魔法を人に向けることなく、与えられた力で道を見失うことなかれ、という魔法使いであろうとするならば当たり前のことを説いているだけだ。

――私が男達相手に魔法を使ったなんていうのは内緒だ。

 

そんな魔法座学で忘れられることなく語られるのが、偉大なる魔法使いだ。偉大なる魔法使いという名前だけは出てくるくせに、何を成したのか、古文書にすら書かれていないのか、教科書には、推測された事しか書かれていない。現在進行形で空白の玉座だからこそ、人々が憧れてやまないのだろうか。


――話を戻すが、魔法使いの始まりであり、初めて魔法を使った英傑はレンティスであり、シスタンの遠い祖先だ。そこから段々と魔法使いが増えていき、魔物に一方的にやられていた人類は、反旗を翻し魔物を打ち倒し、生き残ることができた。その大きな戦いは第一大戦と呼ばれている。今の時期は、入学から5ヶ月経った頃だから、第一大戦で活躍したとされる4人目の英傑についての授業だ。

 

 そんなかったるい、いや大事な魔法の勉強が終われば、昼休憩だ。座学の終わりと、昼休憩の始まりを告げるベルの音が鳴り響く。

  

 「せんせーい!」

 

 このベルの音と共にシスタンが走ってこっち向かってくるのは、二日目から始まったシスタンの習性みたいなものだ。こんな感じで駆け寄っては一緒に屋上まで跳んで昼食をとっている。


 さすがに王族であるシスタンが、いの一番に誘ってくる昼食では来ることはないが、授業の合間などに生徒達が少なくはあるのだが、話しかけてくれるようになってきた。年齢も当然近いのでそれなりにも話は弾む。何気ない世間話のようなものもそうだが、魔法関係でも聞いてくれることが多くなった。専門的な知識があるわけではないので、自分の感覚による教え方なのだが、呑み込みがいいのか、成長がとても速かった。そんな魔法実技の授業は、一年生では適性を探し、中級魔法を憶えることの足掛かりを作ることを目標にしている。

 

 適正とは大きく分かれて攻撃魔法と補助魔法の二つに分けられ、そこから細かく枝分かれしていく。大きく分かれる二つの区分と違い、細分化される適正は、大体15歳から分かるようになると言われている。なぜ15歳からなのかは、保有する魔力量によるもの。魔力とは、人間が生きる為の酸素のようなエネルギーであり、魔法を使うのに必要な最低条件だ。

 

 2年生以降では中級魔法を憶えることを目標にしており、15歳が中級魔法を使うのに必要な魔力量になると言われている。どの中級魔法を憶えるのかは適正によって決めていく。

 

 魔法を憶えるためには、まず詠唱が必要になってくる。詠唱をすることにより、扱う魔法のイメージを補助し、魔力をコントロールしやすくしてくれる。詠唱し、魔法を使う。この単純な工程を繰り返し、感覚や、魔法の出力をもとに適正が測られていく。


 ここまで適正と言ってきたが、適正とは『得意な』のようなニュアンスであり、その他の魔法と比べると、適性のある属性魔法の方が短期間での修練で覚えることができる。適正外の魔法や、2つや3つほど適正が有る魔法使いも少ないわけではないが、適正外や3つの魔法を並行して修練するよりも、1つや2つの魔法に絞る方が、より上位の魔法を憶えやすく、伸ばしやすい。

 

 入学から少し経っている為、大体半分ほどの生徒は適正を見つけ、中級魔法に着手し始めている。適正は15歳から、といったものの、もちろん例外は存在するもので、古くから続く優良な血統、他にも、もう中級魔法をものにしている生徒もちらほら見受けられる。

 

 魔力量の違いによりスタートライン自体が違う者。シスタンはこれに当てはまる。そしてスタート時点は同じだが、魔法を扱うセンスがずば抜けている者。


 そしてその逆の例外も存在する。まだこの段階では完全には分からないが、学長のように魔法を満足に使うことができない子達も存在する。そんな子達の行く末として、魔術学院への転入や、魔法使いであることを諦める事になる子もいる。


 そんな暗い迷宮の抜け道として、ある魔法国家が存在する。その国家の魔法使いは、魔法ではなく己の体を駆使して魔物に立ち向かうという。

                                                 

――今日の授業は終わり、いつものように帰路につき、仲良くなった生徒達と一緒に帰っているのだが、学院の中からこっちを見ているシスタンの目が、いつもの飄々とした性格から考えられない程にぎらついていて本当に怖い。私の隣にいる生徒達は気付いていないのか、軽い口調で学院での愚痴を言っている。生徒達を帰ると、毎回これなのだが、いつか落ち着いてくれるだろうか。私は改めて帰路につくのだった。

 

 今日は学院の臨時教師として一週間頑張った記念に少し奮発して美味しいものを食べに行ってきた。料金はもちろん学長もちだ。

別に大した記念日ではないが、日常の中の小さな幸せはこれからも大事にしていきたい。私はそんな幸せな気持ちに包まれるように、ベッドに入り眠る。


  

 『だーかーらー違うってば。君、センス無いの?』

    

 『教え方が悪いんだろうが。バーンとかプォーンとかで分かるわけないだろ』

  

 『君が教えてほしいって頭下げてきたんだろ』

    

 『夢でも見てんのか?いいから続きだ』

  

 『仕方ないなぁ……世界を救うザーレ・*****様の頼みだもんね』

    

 『お前が矢面に立とうとしねぇからだろ』

 

 『――――そうだね』


  

  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ