↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酔い潰れた青年を介抱したら、自分は魔法使いなんですと言ってきました。  作者: 山法師


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/65

42 それらの意味

 お昼は梅おにぎり、夜は鮭のお弁当。飲み物はほうじ茶を選択。それらをセイは空間に仕舞って、仕事へ向かった。後片付けをしてくれてから。

 で、今、私は子猫たちの写真を撮りまくっている。


「あー良いね~それとっても可愛いよ~」


 パシャパシャパシャパシャ撮りまくる。連写もする。動画も撮る。

 先に一言、撮ってもいいかと尋ねたら、良いお返事をくれたので、こうなっている。

 あと、あの薔薇たちも、花束の状態で撮って、瓶に挿してからも撮った。セイに、家族に送ってもいいかと聞いて、了承を得られたので、送りました。


「……あ」


『この色の薔薇の花言葉、そして本数の花言葉、ご存知でしょうか?』


 そういや、そんなこと言われたな。あの時はいっぱいいっぱいで、考える余裕もなかったけど。


「まあ、そもそも知らんし」


 調べてみよ。


「……」


 青の薔薇の花言葉は、前は、不可能・存在しない。今の意味は、奇跡・夢が叶う・神の祝福。

 四本の薔薇の花言葉は、死ぬまで気持ちは変わりません。

 by、ネット調べ。


「セイくんよぉ……」


 なーにが緊張したじゃい。あんな、堂々と! こういうことをするんじゃありません! いや、嬉しいけど! とても嬉しいけど!


「あ! それを?! 家族に見せたな?!」


 はっっっず。いや、知ってて送ったならまだしも、今知ったから、恥ずかしさが、ね。


「セイめぇ……君が悪い訳では、無いけども……あ、あと、花の保存方法」


 やっぱり、そのまま萎れて枯れていくのは、寂しいし、何かしてもらえるなら有り難い。……そのまま保存って、このまま綺麗に保つってことかな。


「んー……それも良いとは思うけど……」


 なんか、それもなんか、寂しいな。


「あと? プリザーブドフラワーとドライフラワーって、言ってたっけ……」


 床に座り込み、花の保存方法について、調べ始める。

 と、着信。


「……ミクト?」


 なんだ突然。

「もしもs『ナツキ』……」


 食い気味に。


「愛しい姉への第一声がそれかね?」

『キモいこと言うな』

「はいはい。で、どした? なんかあった?」

『……年末、どうすんだ』

「ん? 一応、帰る予定だけど?」


 私は毎年、会社が休みの年末年始、実家に帰っている。逆に言えば、緊急時以外、その時しか帰らない。お墓参りとかも、有給使ったりして行ける時は行くけど、駄目な時は、その期間にやっている。


『それ、アレには言ってんのか』

「アレってなんだ」

『…………車崎』

「ああ、いや、まだ」

『連れてくんのか』

「え? どうだろ。あっちの年末年始も、まだ未確定な部分があるみたいだし。てか仕事上、その時期は稼ぎ時だし」


 セイに送ってもらった予定をサラッと見たけど、結構詰まってた。


『……あっそ。切る』


 切られた。


「……なんだったんだい?」


 未だにセイを訝しむのは、まあ私が招いたことだから仕方がないとして。

 急に電話かけてくる意味が分からん。やり取りするにしても、いつもラインなのに。


「てかミクトよ。大学は大丈夫か?」


 今日は土曜だけど、君、土曜も講義があるんじゃなかった? あとゼミとサークル。


「……まあ、今はいいか」


 一応、どうした? と、トラのスタンプを送って、調べるのを再開する。と、ミクトからなんか来た。


「……」


 はぁ? という、ウサギのスタンプだった。


 *


「花、は、これで良いかな」


 目途をつけ、時間を確認すれば、まだ昼まで一時間以上ある。


「さ、て。……プレゼントがなぁ……」


 ただのって言うと変だけど、気軽なそれが、今や恋人への初めての贈り物である。


「あー、あと、ネックレス……は、一旦置こう」


 同時進行は流石に無理だ。


「でもまあ、最初だし。なるべく気軽にね、重くならないように」


 言葉にして、言い聞かせ、調べる。

 そのまま昼になった。ので、休憩がてら、お昼を食べる。因みに、昼も夜も、セイの分を作る──途中から一緒に作ってくれたけど──のと同時に作ったので、同じものだ。


「セイ、食べれてるかな……ラインすれば良いか」


 *


 撮影はトラブルもなく順調に進み、昼休憩の時間になった。

 セイは、自分が昼を楽しみにしていることを自覚しつつ、それを顔には出さず、割り当てられた休憩室に入る。そして適当に座り、鞄──の中の空間──から、おにぎりとお茶を取り出した。

 自分もいつか、ちゃんととまではいかずとも、料理ができるようになりたい。ナツキにそれを食べてもらって、美味しいと言ってもらいたい。

 そんなことを思いながら、おにぎりを食べる。美味しいと感じる。有り難いと、愛おしいと感じる。

 そこに、ノックの音がした。


「……はい」


 叩き方からしてマネージャーだろう。そう思いつつ、返事をする。


「失礼します。アジュールさん……」


 大きなショルダーバッグを持って入ってきたマネージャーが、セイを見て、驚いた顔をした。

 まあ、食べているからだろうな、と思いながら、「どうしました? 何かありましたか」と声をかける。


「……あ、いえ。特には。……えー……別件の報告と相談をしようかと、思ったんですが……」

「別件ですか。食べながらでいいなら、大丈夫ですが」

「……では、失礼します」


 別件の、とは、クリスマス当日のショーについてだった。ネットでの生配信の、段取りが着いた、と。そのまま食べつつ打ち合わせをし、


「では、このように進めます」

「はい、お願いします」


 マネージャーは書類やその他諸々を、ショルダーバッグに仕舞い、立ち上がり、


「では失礼します」

「いえ、こちらこそ」


 部屋から出て、ドアが閉まり。


『……食べるんだ……』


 マネージャーの小声が聞こえ、まあ、そう思うよな、と思う。

 彼は、自分が食事をしているところを、初めて見たのだから。


 *


 こっちから聞く前に、セイからラインが来た。


『お昼、美味しかったです。ごちそうさまでした』


 スマホを横に置いたままにしていたから、すぐそれに気付き、開いてしまった、という次第。


『こちらこそ。食べれて良かったよ。美味しいって言ってくれて、ありがとね』


 と、送信して、サンクススタンプを送る。


「で、だ」


 プレゼントの考えが纏まらなかったので、ローテーブルで来週の献立をざっくり考えていた私は、その作業に戻る。


「もーねー。あと少しで十二月だしねー」


 本格的に、根菜が美味しい季節だよね。あと白菜とかの葉物が。

 冷蔵庫の在庫を確認しつつ、スーパーの値段を思い出しつつ、組み立てる。

 一段落し、コーヒーを飲んで。


「……あー、ミクトの誕プレも考えなきゃだった」


 まあこれは、もうほぼ決めている。ので、目星をつけていたものを確認し、カゴへ入れ、プレゼント用の包装とメッセージカードを設定し、メッセージを入力し、誕生日前日に届くように設定して、決定。


「一つ、片が付いた」


 ……もう一回、やることやりたいことを、整理してみようか。

 ソファで寝ている三匹をそのままに、パソコンを持ってくる。開いて、ざっと書き出して。


「んまあ、こんなもん、か?」


 呟いた。


 ・セイへのプレゼント

 ・ネックレスのデザイン

 ・薔薇の保存方法

 ・花瓶

 ・今日は泊まれるのか

 ・クリスマスどうするか

 ・寝る時の格好

 ・年末年始を伝える

 ・徳屋でまた一緒に呑みたい


 徳屋は、セイと初めて会った居酒屋だ。ある意味、思い出の場所である。

 寝る時の格好というのは、セイが寝ていた時の服装。シャツにスラックス、なのはまあ、気にはなったけど、それだけなら、まあ、だった。けど、併せてそこにベルトまでしていたから、ちゃんと寝れたのか気になってる。ホントはセイが仕事行く前に聞きたかったけど、色々あって機を逃してしまった。


「……そういや」


 伯母さんから半強制に買わされたネックレスとかイヤリングに、気に入るものは無かったけど。

 セイがくれたコレは、当初は驚きはしたけど、嫌ではなかった。


「こういうのが、好きなんか?」


 石をつまみ、見つつ、言う。

 ケイコ伯母さんから買わされたのは、ハートのデザインだったり、ピンクだったり、黄色はまあマシに思えたけど、小花のデザインで。

 内心うへぇと思っていた。今も思っている。


「あー、なー……服もなー可愛い系ばっかでなー……そういうのはあんまりな」


 スカートもあんまりだし。スラッとカッコイイ系とか、気楽なやつが好きだ。


「……うん、ネックレスの方針が固まった」


 それらをセイに伝え、今日も泊まれるかも伝え、一旦このくらいでいいかと、パソコンとスマホを閉じる。


「さって。洗濯物をしますか」


 それが終わったら、買い物だ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。