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 まだその時は僕より後ろに沢山の人がいた。でも走り始めた人が何人がいるから、歩いていた僕をまたひとりまたひとりと追い抜いていく。特にそれに恐怖はなかった。特にそれに不安はなかった。

 そのくらいでは、まったく走ろうという気にはならなかった。僕は走りたくない。走りたくないんだ。

 たぶん、そう思っていられたのは何も知らなかったからかも知れない。追い抜いて行ったのが誰だったのか。気に留めなかったからかも知れない。

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