うちの子
とある国の伯爵は画家に恋をしていた。
しかし、
どれだけ伯爵が思いを伝えても、
画家は伯爵に振り向くことはなかった。
ある日、
伯爵の屋敷に一枚の絵画が送られてきた。
絵画には女性が描かれていた。
その女性は画家だった
伯爵は走った。
画家の家へと走った。
絵画に一枚の手紙が挟まっていたのを伯爵は見逃さなかったのだ。
そこには、
病気を患っていたため余命は長くなかったため告白の返事を断っていたと言うことと、贈り物の銀の指輪を返す。
そして、アナタとの日々は楽しかった...
と書かれていた。
伯爵は走る。
愛しい彼女の元へと...
しかし、そこには画家の姿は無かった。
伯爵は泣き叫び、荒れ狂い、どうして気づかなかったのかと後悔した。
それからというもの
伯爵は生きる気力を無くし、
虚無な生活を送っていた。
伯爵の元に
怪しげな魔術師が訪れる
魔術師は言う
「彼女を生き返らせたいか?」
伯爵は問う
「それは、どんな方法だ」
魔術師が答える
「私と契約しろ」
伯爵は黙って頷いた。
なんとしてでも彼女を生き返らせたかった伯爵は魔術師と契約をした。
このようにして彼はこの世に生まれた
伯爵の家紋を施した飾り盾を頭にし、
伯爵が彼女に送った指輪をその指に通して。
彼は戦う。
全てを忘れた今も彼女の自画像を大切にしながら。