短編:石庭の魔術師
思いつきで書くよー。思いのままに
ここは魔法都市フュグノ、魔道具の力で煌びやかな発展を遂げてきた。しかし、どんな世界でも、光があれば闇もある。
フュグノのメインストリートを脇道に2、3逸れればこの都市の闇が見えてくる。薄暗い細道に二人の男が相対していた。
「こんなところでサツに出会うとはねぇ」
「でもお兄さん。コッチでも顔が知れてるくらいの有名人だよ」
「美人に顔が知れてるんだったらいいけど、サツは男ばっかしだからなぁ」
「そりゃ確かに残念だ」
「で、仕事の依頼ってわけじゃねぇんだろ」
「警察が悪に手を染めてらおしまいよ」
「じゃあ、ここで捕まるわけにゃあいかねえ。悪いが、逃げさせてもらうぜぇ」
そう言って男は逃走しようとするが、男は何者かに....いや、何かに取り囲まれていた。それは薄暗い細道の頼りない街灯に照らされ、陰影を作り、息をするかのように細かく上下していた。そして、男はそれをよく見たことがあった、そもそもこの都市に住うものなら大抵の場合、家の隅に見たことがあるからだ。魔物の姿を石像で作り、厄を避けるため家の隅に置く。そう、男を取り囲んでいるのはガーゴイルだったのだ。
「おい、なんだこりゃ。さっきまでなかったはずだぞ」
男の呟きが漏れ出る。この呟きに答える者が一人いた。
「そう言えば自己紹介してなかったな。私は、私立シュッグ魔術探偵事務所のフレバー・シュッグだ」
「気軽にフレッドとでも呼んでくれ」
「石庭の魔術師......」
「ぁぁ、そう呼ぶ人もいるね」
「でも、サツじゃなかったのか」
「ああ、別に警察だなんて一言も言ってないだろう」
「確かにそうだが」
「そうそう、話を本題に戻そう」
「ヨシ、じゃあさっさとサツのとこに連れてってくれや」
「ああ、違う違う。君を捕まえにきたわけじゃあない」
「じゃあ、本題ってなんだい」
「ただの聞き込みさ」
「でも、顔が知れてるって」
「いい情報屋だって探偵事務所で有名なんだよ」
「オーケー。......フゥ。どんな情報がお好みかい」
「この女を探しているんだ」
そう言ってフレッドは着ているジャケットの内ポケットから写真を取り出し、情報屋に見せた。しかし、情報屋は顔をしかめたまま動かない。
「........」
「どうした」
「この件はやめておけ」
「友人がその女に殺された」
「それはお気の毒様」
「ガーゴイルを自由自在に動かせるように努力したのも、この女に復讐するためだ」
「そうか。駅前のバー....駅前のバーのバーテンダーにコレを見せろ」
情報屋が取り出したカードをフレッドは受け取り、財布を取り出した。
「コレで足りるかい」
「報酬の話はしてないだろ。無しでいい」
「わかった。理由は聞かないでおく。今度うまい酒でも奢る....」
「ああ、そうしてくれると嬉しい。楽しみに待ってるぜ」
コレで終わりっす