表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/48

手を出すのは

 

「回収してきたよー」


「帰ってきたか。しかし、本当にこんな石が蘇生魔法に使えるのだろうか......魔力のかけらも感じない」


「そう言うな、クレイ。魔力のかけらも感じない石。これが素材どころか、魔法の中核レベルで必要な素材らしい」


 クレイ、と呼ばれた大男は、その言葉を聞いてまじまじと石を見る。

 やはり、魔力のかけらもない。全く理解できないと分かっていても、気になってしまうものだ。


「それで、ほかの素材は」


「あるわよ。とは言っても、一般人にはかけらでさえ到底手が出せないような代物だけど」


 ま、私たちにかかれば、と言いながらその石を用意していた魔法陣の中心に置いた。

 皆が見守る中、その魔法は起動する。


「蘇生魔法――――起動」


 その瞬間、少しずつ、しかし確実に魔力が動き出し、魔法陣は幾重にも展開されて回転する。


「さて、それじゃあ行こうか」


 魔法陣を起動したのにも関わらずけろりとした表情で、彼女はそう言った。

 皆もそうなることがまるでわかっていたかのように、その場を後にした。

 全ては、目的を叶えるために。


「私たちの目的を完遂するには、サンライズの力は大きな助けになる。取れる選択肢は全て選んでいこうじゃないか」


 そう覚悟を決めた様子でその金髪の女性は、街に舞い降りた。





 天星教団から襲撃を受けてから数日後。


「ガイア、どうしたの?」


「......いや、なんでもない」


 ガイアはこの瞬間、何かを感じ取っていた。が、それも気のせいだと切り捨てると、次を見据えて行動する。


「次、敵が天星教団なら、私たちは圧倒的に実力不足」


「本当に天星教団だったらやばいところを敵に回してるよ......」


 そう、天星教団というのは世間の常識的にはいかれた宗教団体。


「違う。私たちが敵に見据えているのは本当の天星教団」


「本当の? それじゃあいかれた人たちは偽物ってこと?」


「そう」


 そう言って彼女は遠くを見た。


「行動に一貫性がない。ライズ先生は自分からことを荒立てることはなかった」


「確かに、そうだね」


 いつも向こうから面倒ごとが歩いてくる体質なのだろうか、とも推測してみたが、それはもういいや、とガイアが思考を終えた。


「それで、どうするの? 本物が敵なら、それこそライズ先生をたくさん相手にするってことだよね、力なんて......」


 エアリには見えない道。だが、ガイアは一筋の光を見ていた。


「一つある。ライズ先生が前言っていた。別名『英雄武器』――――」


「あ、あの......」


 二人はいつかの授業を思い出していた。

 いつか目指せと言われていたその力を。


「心象武器を手に入れる」


 ガイアは次の行動を決定した。


「とはいっても......」


 そう、心象武器というのはライズが軽ーく説明をしていて、ライズ自身が持っていたために身近に感じているが、その正体は英雄が覚醒するときに持つような武器。いわゆる覚醒者は国単位で管理されるくらいの英雄だ。

 それを手に入れるなんて、それこそ火事場の馬鹿力みたいなもんだ。


「でも、それ以外に力を一気に手に入れる方法なんて、悪魔召喚程度」


 悪魔召喚は禁呪だ。召喚者は契約の代償で魂を持って行かれるが、その後悪魔は魂を求めて大暴れする。手を染める人こそ多いが、全て例にもれずその後街や場合によっては国が滅んでいる。


「それは駄目だね......」


 流石のエアリも悪魔召喚に手を染める気はない。

 早急に、というならもしかしたらあったかもしれないが、天星教団とことを構える日程が決まっておらず、また形見を取り返したいというだけ。国を代償にするほどではないと冷静に判断していた。


「それなら、どうするの? 誰かに教えてもらわないことには、何も得られないと思うの」


 エアリは焦りを見せる。

 が、ガイアは終始冷静に話をする。

 緊急ではないとなると、他国に行くのは論外。となると――――


「国内の英雄」


 ガイアは、ある人をターゲットに動き始める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ