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宮廷魔法師1

「あれ、ライズ先生は......」


 ガイアはそれが気になり、ソフィア先生のところに駆けつける。


「ソフィア先生、ライズ先生を知りませんか」


「あれ、ガイアさんのところに行っていると思っていたのですが......まだ戻っていないのですか?」


「ありがとうございました」


 ガイアはすぐに駆け出した。

 少なくともソフィア先生が最後に見たのは走り去ったところのようだし、これ以上有益な話はなさそうだと判断したからだ。


 しかし、ガイアにライズ先生の行く先の当てがあるわけではない。

 それに、今日はみんなが待ち望んでいた宮廷魔法師に教えてもらう日。

 たかがライズ先生を探すのを手伝ってくれだなんていう理由で、今日という日を台無しにしたくないと思う人が大半だろう。


「エアリ」


「どうしたのー?」


 エアリはその分お人よしだ。それも底なしの。


「ライズ先生がまだ帰ってこない。何かあったのかも」


「探検の時間だ!」


 エアリは迷うことなくそう言った。

 ガイアは友を持てたことに感謝するとともに、彼女がいつか騙されないかと心配になるのだった。



 二人は宮廷魔法師二人が目を離したすきにライズ先生が走っていった方向へと向かう。


 途中に部屋こそあるものの分かれ道がなく一本道でわかりやすい、と思っていた二人だったが、その先が問題だった。


「ここ、まさか......」


「こんなところに王宮がつながってたんだね!」


 二人の目の前には何人たりとも侵入を許さんと言わんばかりの巨大な城壁と、その上に展開された巨大な結界魔法が立ちふさがっていた。


「この先にライズ先生いるのかな?」


「......一度引き返して、ほかの道がなかったか確認してみよう」


 ガイアはそう提案し、道までの部屋などを調べてみるも、どの部屋にもライズの姿、形跡はなかった。


「ライズ先生、どうしたんだろ......」


「きっと研究してたとか言って、夕方あたりに戻ってくるって!」


 エアリが元気づけるように言った。が、ガイアの表情は決して明るくならなかった。


 どこまでもお人よし、エアリだったが、ガイアの心配性な性格は重々承知しているために、大変心苦しいが、その困った顔を放置して魔法の練習へと戻る。


「『風槍』!」


 槍が飛ぶ。


「もうこの世代の子供たちは中級魔法を使えるのか、これは将来有望そうだな」


「あれ、宮廷魔法師の方々はいつぐらいに使えるようになったんですか?」


「それこそ卒業間近だったよ。そう思うと今年は粒ぞろいだなぁ」


 そう言い、「自分たちの時代はもう終わりか。あとは師匠の通り――――」と小声で言っていたものの、エアリにその意味は分からなかった。



 side ライズ


 さて、俺は俺の用事を済ませるか。

 そう言ってくぐったのは王城の門。

 すぐさま迎えの兵士が来て――――


「貴様、何者だ、身分証か入城証を見せてもらおう」


 これほど命令口調なのは、俺を侵入者だと断じているからか、それとも服装を整えてこなかったからか。


「あぁ、すみませんね、出直してきます」


 一応今まで使っていた入城証をもってはいるものの、今俺は天星教団所属ではないために、入城証は使えない。

 そのうえ英雄サンライズというのは正体不明で通っている。なにせ謁見もすべて金ピカ鎧を来て出たからな。

 さて、どうしたものか。



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