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英雄サンライズ

 

「クハハハハッ!!! お前がやはりこの国、人類の要石か!」


「俺はただの石ころにすぎん、本当におかしいのはあいつらだ」


 そう、遠い目をしながらライズはつぶやく。

 そして魔法の応酬が止まったとき、先に口を開いたのは魔族のほうだった。


「俺は悪魔族、侯爵のゲルマドンだ」


 魔法師の名乗りは騎士の決闘の礼儀にどこか似たものがある。

 そしてこの名乗りをした戦いはどちらかが死ぬまで一対一を繰り広げる。それが習わしであり、覚悟でもある。


「俺は―――――」


 だからこそ、己が誇りをかけたこの戦いに、嘘の名乗りなど許されない。これは理屈とか品格とか、そういった問題ではない。

 それをライズも、魔族―――――ゲルマドンもわかっている。

 さらに、ゲルマドンはライズの昔を、行いを知っている口振りを見せた。


 ライズは名乗りを上げる。


「『天星教団』が一人―――――



 ―――――サンライズ」


 ライズは――――、サンライズは大衆の前で名乗りを上げることをためらうことをやめた。


「クハハハハッ、やはりか、あのヘンテコオリジナル魔法を見たときから、そうではないかと思っていた! 貴様があの『太陽の化身』か!」


「自身でそう名乗りを上げた覚えはない」


「そうかそうか! 俺はお前とやりあえて、うれしいぞサンライズぅ!」


 ゲルマドンは亜空間から取り出した槍の矛先をサンライズに向けた。


 俺も棒の先端をゲルマドンに向ける。


「我は英雄と呼ばれる者―――――」


 詠唱を開始した。


「本気でかかってこい! 我は悪魔族侯爵也―――」


 二人の放出される魔力がぶつかり合い、爆風を生む。


 しかし、どちらも詠唱をやめる気配はない。


 魔力がぶつかり合い、風がうまれ、稲妻が走り出したころ。


 どちらからともなく、詠唱を完了した。


「―――――『コール;ソルスハート』」


「―――――『オーバー:デモンズハート』」


 爆風がやむ。


 サンライズの詠唱に答えた武具が、頭に円を描き、やがて輪を作り出した。


 体のあちこちから眩い閃光が噴き出していたが、それも収束した。




 対してゲルマドン。


 体にまとったのは赤、青、黒と混沌と入り混じるオーラ。

 そして腕に大きな小手を装着していた。


「それがお前の『心象武器』か」


「お前こそ、限界を超える身体強化を施す魔法が使えるとは」


 二人はここで出会うべくして出会ったかのような運命を感じていた。

 そしてここでどちらも魔法を出し合い、そして片方が死ぬのだと。


 死を、誇りをかけた魔法師同士の戦いが、始まった。

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