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エアリ初戦


「我が願うは風の刃! 『風刃』」


エアリの手から風の刃が三本ほど射出された。

詠唱を少し縮めて、そのうえで通常詠唱と同じ三本の刃を出せている、完璧だ。

風の刃は特に人口密度の高いところに突っ込み、数人を脱落させた。


「さてさてさてぇ! ここでエアリ選手の風刃が炸裂ぅ!」


司会もその鮮やかな魔法に称賛の声か。よく見ている。なにせ俺の教え子だからな!


数分、何とかしのいでフィールドが開いてきた。


「さて、フィールドが開いてきました! ここで残っている選手を紹介しましょう!」


そう言ってドンドンと選手データを持ってくる。


「まずは三年、ブロッコリー選手。そのアフロの頭と髪の毛を焦がした原因である火魔法が得意な選手です!」


アフロは体から火を放出し、向かってくる魔法をすべて勢いで消していた。


「次に二年、カリフラワー選手。ブロッコリー選手の妹、こちらは生まれつきだそうです!」


毛っして何かが見られているわけではない。


が、その名にたがわぬ容姿を、とだけ言っておこう。


彼女は氷の柱を出すと、それを兄に容赦なく飛ばす。

兄はそれを火の壁で溶かすと、妹に怒鳴る。


「おい! 兄妹だろ? 今日ぐらい協力しろ!」


「うるせぇクソにい!」


どうやら兄妹ケンカが始まったようだ。しかも口ぶりからして何度目かわからないほど回数を繰り返しているのだろう。


「おおっとぉぉぉぉおおお!? 兄妹の魔法で周囲の選手が吹き飛んだぁぁ!」


どうやらケンカは魔法ありのようだ。

そのせいで紹介されるまで耐えていたほか生徒が死亡判定、そのまま退場となった。


「そして生き残っているのが......彼女は! どうやら一年生のようです!」


その瞬間、会場にどよめきが走る。


「唯一残った一年生! エアリ選手!」


どうだ、俺の教え子は!





「すみません」


「どうしました?」


「迷子の子供を探していて......」


「特徴を教えてもらえますか」


「青い服に灰色の帽子をかぶっています」


「あぁ、それなら。おーい、ケルト、ママだぞー」


奥にいたケルトが出てくる。


「あ、ママ」


「ケルト! 大丈夫だった?」


「うん、何にもなかったよ」


二人が再開をはたしているところだから俺の存在は邪魔になるだろう。

そう考えライズはそっと席を立ち、裏へと引いた。


「それで、あと三人か」


迷子センターにいるのはあと三人。これから増える可能性もがるが。


「ごめんなさい」


かわいらしい声が後ろから聞こえた。


「どうしたんだい」


「ママが迷子になっちゃったの」


「そうかいそうかい、お名前はなにちゃん?」


「ステア」


「ステアちゃんか。何歳かな?」


そう言うと、幼女―――ーステアはそっと指を四本、突き出した。


「そうかそうか、四歳か、ちょっと奥で待っておいてくれ」


そう言って彼女を誘導する。

このくらい、俺にとっては朝飯前だ。しっかし、ママが迷子っていうのは聞いたことがない。どうしたものか。


とりあえずテンプレート通りにメモを残して、戦闘の跡地を見る。


少し体をならすために魔法で様子を少し見ただけで、未だにらみ合いが続く。




ここまですきを見せない戦いは初めてだ。


「『風弾』」


魔法名だけを唱えて魔法を発動させたエアリ。


「「なっ」」


さしもの二人も驚いたようでいったん距離をとる。


「我が願うは風の刃 『風刃』


そこを見逃さずに彼女は刃を放った。


ブロッコリー先輩へと。


「ちょ、マジかよ」


ブロッコリーは急いで横に飛び、風刃をかろうじて回避する。


「我が願うは氷の柱 『氷柱』」


カリフラワー先輩の右手から作られた直方体の柱。

バリスタの矢とも見えてくるほど巨大なサイズのそれを見て、エアリは一瞬しり込みをするが、すぐに判断し回避を選択する。


元よりエアリの得意とする風魔法は防御に向いた属性ではない。風で壁を貼ろうとも防げるのはせいぜいが水と威力の低い矢程度。暴風で一気に吹き消してしまうこともできるが、魔力の消費はほかの属性の比にならない。そのため属性的な判断は正解だが、それを逃すほどやさしい先輩たちではない。


「我が願うは数多の火の弾丸 『多重火弾』」


「我が願うは数多の氷の弾丸 『多重氷弾』」


「我が願うは西風の盾 『風壁』」

二つの属性の弾が飛んでくる。

それは多重弾と呼ばれる詠唱で、今まで単発でしか打てなかった属性魔弾を複数一気に打ち出すことができる詠唱だ。


さしものエアリも壁を貼ったうえで回避を選択した。


が、数の多さに、数発が命中、そのまま死亡判定となってしまった。


「勝者、ブロッコリー選手とカリフラワー選手!」


その声を聞いて、エアリは目元を隠すのだった。


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