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私、ラスボスじゃありませんからっ!  作者: 御堂 騎士
第1章 私、ダンジョンのラスボスじゃありませんからっ! 
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ダンジョンのラスボスが、ダンジョンに入る

 この物語の主人公 寝子見ねこみみずきは、16歳の高校1年生。


 関西の地方都市に住む、本人曰く普通の女の子だ。

 ねこみ みずきという、その名の通り、ねこみみが大好きである。


 可愛い「ねこみみ」を見た時や、小動物をモフモフすると、

「にゃふー!」

 以外話せなくなってしまうほど、ねこみみとモフモフが大好きだ。




 ねこを2匹飼っている。

 ねこの名前は、リュウとニーナ。

 ゲームとアニメのオタクである。

 アニメのキャラクターの真似して、髪型はツインテールである。

 などいくつか特徴もある。


 しかし、彼女を説明する場合、忘れてはならないことがある。


 彼女は、いつの間にか「ラスボス」になってしまっていたのだ。



--------------------



 寝子見ねこみみずきは、いそいそとお弁当を作っていた。

 学校が夏休みに入って、遊びのお誘いをもらったのだ。

 これから、同じ学年の仲間と一緒にキャンプに行く。

 しかも、高校入学以来初めて出来た友人たちと。

 ついこの間仲良くなった、男女2組でだ。


 キャンプと言っても、地下の洞窟探検というのが今一だ。

 だが、高校生になってから初経験の、リア充イベントである。


 小さな頃から凝り性で、好きなことを徹底的にやってしまう。

 時々仲良くなる子は確かにいた。

 いたのだが、この凝り性に付いてこれず、離れてしまう。

 その為、いつも一人で行動していた。

 ずっと話し相手は、日本語の通じない、ねこ2匹だった。


※ねこの前は、ウサギだった。




 みずきはその日の朝9時から、動物病院に予約していた。

 飼いねこ2匹の健康診断を頼んでいたのだ。

 洞窟探検は急に決まったので、予約を変更できなかった。


 他の3人は、朝一番から洞窟に乗り込んでいる。

 彼女だけ、お弁当を作って、昼から参加することにしたのである。




 張り切って、色々な中身の入ったおにぎりを作った。

 凝り性のみずきは、一時期お料理にも凝っていた。

 味よりも、見栄え重視だったが。

 アニメのキャラ弁を作ったりしていたが、自分用だった。

 家族以外の他人に食べさせるのは、初めてだったりする。


 鶏の唐揚げ(チューリップ)やポテトサラダ、卵焼きなど、お弁当定番のおかずを、プチトマトやブロッコリーの間に入れて、お弁当箱に詰め込んだ。


(見栄えには自信あるけど、味は大丈夫かな?

 自分では気付いてないけど、実は味音痴だったとかないよね)

 今回は、キャラ弁は封印した。

 折角できた友達に、引かれないように。

 彼女なりに色々、考えているのである。


 そして、昨日買ったばかりのリュックサックに入れた。

 あとは水筒を持って、出発だ。




 みずきの家から1キロほど自転車をこいで、市役所の駐輪場に停めた。

 彼女は、よく一人でアニメの聖地巡礼をしていたので、体力はある。


 市役所の芝生の隅の方に、直径50センチほどの穴がある。

 この穴は、ひと月ほど前に突然できたものだ。

 偶々たまたまこの穴が開いた日に、みずきは芝生にいた。

 何だろうと降りてみたのだが、洞窟の様だった。


 彼女の父は、市役所の職員だ。

 みずきの通報を受けて、翌日には一緒に見に来た。

 誰かがこの穴に落ちたら危ないので、柵で囲われた。

「多分、昔の防空壕の天井が崩れたんだろう」


※みずきの住む街には、旧日本軍の飛行場跡や、防空壕が残っている。


 少し前にみつる ライトが、この穴の下の洞窟を調べた。

 この洞窟は、階層構造の地下迷宮のようになっていることが分かった。。

 ちなみにみつるライトは、寝子見ねこみみずきのクラスメイトだ。

 苗字がみつる、名がライトである。


 この地下迷宮は、別の世界から転移してきたのかもしれない。

 みつるライトは、そう言い張った。


 そこで夏休みを利用して、みんなで探検しようということになったのだ。

 中で一泊位して、行ける所まで冒険する。

 それでも最深部に到達できないようなら、再度冒険するつもりで。




(この穴に入るのは、穴が開いた日以来だな)

 とか考えながら、穴を降りる、というか飛び降りた。

 みずきが降りた穴の中は、光源が無ければ真っ暗だ。


「そう言えば、ライト君がなんかおどかしていたな。

 地下2階辺りからモンスターも徘徊しているとか。

 でも、そんなこと現実では、あり得ないよね。

 万一本当だったとしたら、女子一人は怖いし。

 ましてや、そこで待ち合わせするなんて、おかしいもん」


 そう言いながら、地下2階に降りる階段をタタっと一気に降りた。

 LEDのランタンで回りを照らして、洞窟内の様子をうかがった。


※みずきの持って来たランタンは、中々の優れものだ。

 最大の明るさで3時間、ガスのランタン程度なら2百時間持つ。


「前に来たときは、こんな階段無かったような気がするけどな。

 可愛いねこちゃんは、いたけど」


 実際、みずきが初めてこの穴に入った日に、ねこが居た。

 このねこは、みずきの持っていたキャットフードにおびき寄せられて、自ら仕掛けた罠にかかった、この地下迷宮ダンジョン本来のラスボスだった。

 この地下迷宮ダンジョン最強のモンスターに、既に会っていたのだ。

 みずきは、知る由もないが。




 洞窟内は、茶色い土の壁のトンネルになっていた。

 見渡す限り、人っ子一人いそうにない。

 ここで、スマホを点けて電話した。


「もしもし、ライト君?

 今、地下2階の階段を降りたところ。

 どこに行ったらいいの?」


「ああ、みずき。

 やっと来たか。

 僕たちは今、地下3階に降りたところだ。

 モーグルマップで僕たちの位置は分かるはずだから。

 君との距離は500メートルってところか。

 30分ほどで会えるな」


 みずきは、スマホの画面を見ながら進んでいく。



※モーグルマップとは、GPSで現在位置の分かる地図アプリだ。

 地上の地図が表示されるだけだが、自分の位置と方角が分かる。

 当然、地下迷宮の地図が表示されるわけは、ない。

 それでも、4人の携帯電話の位置がマーカーで表示される。

 同じ階層にいるなら、マーカーに向かえば、会えるわけだ。



「みんな、もう4時間も探検しているのに、5百メートル先かあ。

 私を待って、ゆっくり進んでくれたんだね。

 みんな優しいな」

 みずきは、ご機嫌で進んでいく。




 果たして、この地下迷宮ダンジョンには、本当にモンスターがいた。

 先行の3人(+2匹)は、戦いながら進んだので遅かったのだ。


 本人は全く気付いていないが、みずきはラスボスである。


 地下迷宮ダンジョン内の弱いモンスターは、ラスボスに近寄らない。

 ラスボスを護衛する配下が、みずきを秘密裏に守っている。

 中途半端に強いモンスターは、逃げずにこの護衛達に倒される。


 そのため、みずきは地下迷宮ダンジョン内では、危険な目に合わないのだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] うん? 柵がしてあって立ち入り禁止内なの? そこに入ったら「不法侵入罪」になっちゃうと思うんだけど……。 偶然見つけたとか野晒しの洞窟なら入っても……まぁ本当は入らない方がいいけど……
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