序章
「ハク様、ハク様、何故私を見てくれないのですか?」
「私を見てください。私以外を見ないでください。」
この言葉とともに。僕のお腹に痛みが走った。
僕はお腹の痛みを感じながら、
(ああ…ここで死んじゃうのか…)
と、どこか他人事のように考えていた。
薄れゆく意識の中で、
「待っていてください。私もすぐに参ります。」
と言う声がこだまして聞こえていた。
次に目が覚めたとき、僕の目に一面に広がったのは見知らぬ天井だった。
徐々に意識が覚醒していき、少し眠気を感じながら起き上がると、そばに控えていた長い金髪がとても綺麗でピンクの目をしたとても可愛らしい容姿をしたメイド?のような格好をした人がびっくりした表情を浮かべてこう言った。
「お嬢様!お目覚めになられたのですね!お待ちください!すぐにお医者様をお呼びします!」
その言葉を言うとともにそのメイド(仮)さんは、急いで部屋を出て行った。
その頃には僕の頭はしっかりと覚醒していて、色々と考えることができる余裕があった。
この部屋を見渡してみる限り、ヨーロッパとかのなんかお金持ちの令嬢とかが済んでそうな暖炉やお洒落な化粧台がある。そういえば、さっきから寝ているこのベットもとてもふかふかしていてとてもいい素材で作っているのだろうと言うことはなんとなくわかる。
といっても、今までこんな豪勢なベットで寝たことはないので、想像だが。
…この部屋をみる限り、ここはお嬢様の部屋なのか。
なら、なんでお嬢様じゃなくて僕が寝てたんだ?そういえばさっきのメイド(仮)さんも、お嬢様とかなんとか僕のことを呼んでいた気がする。
なんの気なしに、ベットから降りて部屋を見て回ることにした。
その時、たまたま窓の外を見ようと窓をみるとそこには知らない女の人がいた。
いや、知らないと言うか僕の姿なのだが、いや、僕の姿ではない。
僕は驚きのあまり
「なんじゃこれぇぇぇぇええええええ!!」
と叫んだと同時に、
「お嬢様!いかがなされたのですか!」
とさっきのメイド(仮)さんが医者を連れて戻ってきた。
これは、一体どう言うことなんだ。
唯一の救いは性別の変化がなかったことだと思う。
もし、ここで男にでもなっていようものなら僕のパニックっぷりは、こんなものではなかっただろう。
横ですがりながらベットにもどれやどうのこうの言っているメイド(仮)さんの言葉もけんもほろろに僕はこれからの行く末を案じていた。
ありがとうございます。