第三十二話 Bet life
服には返り血が付き、二対の剣からは血が滴る。
長い回廊を抜けると、金銀財宝が並べられ、壁や床は全て金色で出来た悪趣味な部屋に出た。
二人はもう、幹部を倒しクリスタルを破壊したようだ。結城君にナビゲーションして貰って帰るとしますか。
『保さん!敵の反応──』
ノイズ音と共に通信が切れる。それと同時に、背後からの攻撃が肩を掠める。攻撃が部屋に着弾した瞬間、衝撃波が部屋を襲い、悪趣味な調度品が一瞬で灰と化した。
「私は魔王親衛隊のパワー、君たちを排除する。」
「話が嫌いみたいだな?親衛隊さんよぉ?」
槍による突きを避け槍を手刀で真っ二つに折り、連続の殴打を正確に、急所のみに当てていく親衛隊。碧さんの放った矢を手で掴み、鳩尾に蹴りを入れる。
余りの強さに為すすべなく倒れる二人、次はお前だ、と言いたげな表情でこっちに向かってくる“パワー”。ワンコの牙も、グリーンの魔法も効いていないように見える。魔法による攻撃を正面から受け、焼き焦げた壁に叩きつけられる。
「兄貴!このままだと死ぬぞ!」
それはわかってる、けどどうしたらいい?
「僕たちはリンクしているでしょ?それを限界まで高める、危険だけどこれしか無いね。」
賭け、それも分が悪くて賭けるものが自分の命か…けどなんでだろ?この状況にワクワクしている自分が居る。よーし、大勝負の始まりだ。
~to be continued~




