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あしたのせかい

作者: 北本みや

 長い長い、大人の時間に比べればきっととても長い時間、私たちは子供の時を過ごす。

 陽の光というものは知識でしかなく、大人になれば空、太陽、風、その全部を感じることができるらしい。


「もうすぐ大人になるんだな、俺たち」


 ずっと一緒に過ごしてきたあなたが楽しそうに言う。

 無邪気に笑うその瞳には希望しかうつっていない。真っ直ぐ前を見て、大人になることを夢見ている。

 きっとあなただけじゃなくここにいる全ての子供が同じ思いを抱いているのだろう。

 ……私以外の、みんなが。


 大人になって外に出たら何がしたい、何が見たいとみんな待ち遠しそうに話す。

 その声は子供の時間の終わりが近づくにつれて日に日に増えていった。



 ねえ、大人になったら、すぐに死んじゃうんだよ。


 広い空を飛べなくてもいい、明るい外になんて出られなくてもいい。

 太陽なんて、風なんて、知らなくてもいい。


「私はもっとずっと、子供でいたいな……」


 ねえ、あなたと一緒に、いつまでも。


 この土の中でいつまでもいつまでも、

 ーー幼虫のままで、いいんだーー。


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