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方針決定会議

ここまでお読みいただいた方にお知らせします。

本作品は、ここまでを第一部として、いったん完結いたします。(勝手ながら、タイトルにも「Disc A」を付加いたしました。


作者自身が執筆しつつ感じていた「わかりにくい名前の弊害」が、お読みいただいている方への負担も増やしてしまっていることが判明したためです。とはいえ、ここまで書き進めてから名前を変更するのもいかがなモノか、と悩んだのですが、ちょうど「五周め」が終わりに近づいていたこともあり、見直すことを決断しました。

序盤で大きな部分を占めた「いじめ」の関係で、間違ってもお読みいただく方と同姓同名にならないように、との配慮のつもりでしたが、読み進める上で負担になるのはコストが大きすぎます。

ここまでの部分、出来るだけ丁寧に見直しつつ直していこうと思いますが、中身を大きく変更することは、お読みいただいていた方への失礼にあたりますので行いません。また、どのように名前を変え、最小限の変更を施したかは、Disc B(要するに第二部)開始にあたり、簡単にまとめてお知らせしようと思います。なるべく早く再開できるよう、頑張ります。


作者の都合によるワガママをお許しいただければ幸いです。できましたら、これで見限ることなく、この作品のこれから、また、作者のほかの作品を気にとめていただければ幸いです。

「いったい、何があったんだい? きみたちが小屋から出てきたあとの話で、ぼくからは見えないところでなにかがあったのはわかったんだ。だけど、まったく想像がつかないんだよ」


 管理者は、ぼくの顔を見るなり、初めて見るような真剣な顔で尋ねてきた。


「何を、といわれても、いろいろあって……特にどのあたりが聞きたい?」


 正直、ぼくも何から話していいのかがさっぱりわからない。


「絞り込むことなんかできないよ。とにかく,彼女と一緒に小屋に入ったあたりから、順を追って説明してくれると嬉しい」




「ぼくが管理をまかされている世界に、ぼくがその存在を知らない世界……か。きみたちの身体能力が上がったことも意味がわからないし、ちょっと冗談じゃ済まない事態になってきたな。異世界に行って無双とか、現実にあるんだ?」


「いや、それをぼくに訊かれても……」


 死に戻りの能力はチートじゃないとでも言うつもりか、この管理者は?


「確認するけど、きみが遭遇したこちらにもいる人たち、きみたちのことを知っている人と知らない人がいたんだね?」


「うん、知っていたのは志手川しでがわ一人だけどね」


「数は問題じゃないよ。一人でも現実のきみを認識する人物がいたなら、それはもうひとつの現実か、あるいは……」


「あるいは?」


「きみ自身の想像が生み出した世界だ」


「人を空想の中で生きるアブナイ人呼ばわりしないでくれるかな!? 想像の世界ならユカやミナミが入ったり出たりするはずないじゃないか。彼女たちは実際にあの世界を経験した上でこっちにいるんだよ?」


「ひとつの可能性の問題だよ。それに、ぼくが言ったのは、『きみの想像の中の世界』という意味じゃない。『きみの想像が形をとって現実となった世界』ということだ。世界を作り出すとか、きみこそまさに創造主っていう感じじゃないか。まかされた世界を管理してるだけのぼくよりも、よっぽど神っぽくてスゴイじゃない?」


「バカにしてるよね?」


「まあそこはそれ。だけど、もしそちらが正解だったら、それこそバカにするとかそういう問題じゃなくなるよ。きみを処分するとか、そっちのやり方も考えなきゃならないかもしれない。管理者が管理する世界が消滅して、管理されない世界が存続するとか、どんな影響があるかわからないもの」


「おい……」


「冗談だよ。いまはね」


「全体的には冗談じゃないじゃん!?」


 全体的にどころか、おそらくまったく冗談じゃない。こいつの使命はあくまで世界の管理だ。そのかぎりでぼくに対してフレンドリーに接しているが、自分の使命に障害になるとなれば、ためらいなくぼくを消すだろう。


「仮にきみの想像が作り出した世界だとしても、それだけ実態のある世界ができあがっているのなら、おそらくきみを処分してどうこうできる段階じゃない。その意味では、ぼくときみは運命共同体だよ。対策を一緒に考えてくれると嬉しい」


 むしろ、この言葉のほうがぼくに安心感を与えた。




「きみの説明でおおまかなことは分かった。だけど、そのもうひとつの世界についてもっと詳しい情報が欲しいな」


 管理者は、おちゃらけた雰囲気を急におさめてそう言った。


「そう言われても、いまの段階ではさっき話したこと以上にはどうにもね。何度か行ってみれば、もう少し情報の精度も上げられるかもしれないけど、行き方がわかってるわけじゃないし」


「うん、いまのきみにそれを求めているわけじゃないんだ。それに、何度かきみがふたつの世界を往復できたとして、それが世界の終わりにどういう影響を与えるか、まったくわからない。なにより、ぼくが何を必要としているかなんて、最後はぼくにしかわからないものね」


 そりゃあそうだが、それを言ったらおしまいだろう。


「連絡手段を工夫することは出来ないの? マメに連絡を取れれば少しは違うんじゃないかな」


「じつは、自分の管理する世界との間なら、なんとかならないわけでもないんだ。でも、そのもうひとつの世界との間ではどうだろう? たとえば、きみのスマホが使えたりした?」


「使えるかどうか以前に、向こうに持って行けなかったよ。カバンとか、全部残ったままだった」


「着ているものはどうだった?」


「それはそのままだった。下着とかも大丈夫だったよ」


「すると、異世界行きの設定としては、むこうの世界で作ろうと思えば作れるモノは持って行ける、という感じかな」


「それは同感だけど、異世界とか設定とか、そういう言い方しちゃっていいの?」


「気にしない気にしない。今さらだよ。きみの恋愛シミュレーションゲームに異世界転移の設定が加わった、と考えれば、きみの食いつきももう少し良くなるんじゃない?」


「ならないよ! むしろ、ゲームはリアルでやるモノじゃない、と思い知っている位なんだから」


「そうか、それは残念だな。それはともかく、そうなると実際にぼくも行ってみる以外になさそうだね」


 え? 今こいつなんて言った?


「あのさぁ、それができるなら、さいしょからすればよかったんじゃないの?」


「そう簡単にはいかないのさ。世界を管理する者は必要だから、ぼくが不在になれば、権限をすべて委譲した代理を立てなきゃいけなくなる。代理が前もって準備を進めていた場合、委譲された権限を自分のモノにしてしまうことも可能だからね」


「その場合、きみはどうなるわけ?」


「ここに戻れず、行った先で永遠にさまようことになるね」


 そ、それは確かに、簡単にはできない決断だな。信頼できる補佐がいないと、取り返しがつかなくなりかねない。


「まあ、ぼくの補佐は信用できるヤツだから、問題ないけど……キムラくーん」


 やっぱり問題ないんじゃないかよ! 軽率なことを言ったと謝ろうとしたぼくの気持ちを返せよ!




「お呼びですか?」


 やってきたのは、メガネをかけた委員長系の美女だった。パリッとしたスーツを着ている。いかにも、デキる秘書、という感じだ。


「状況はわかってるよね? ぼくの代理をよろしくお願いね」


「さっさと問題をなんとかして帰ってきてくださいね。ボスがしくじれば、わたしたちみなが路頭に迷うんですから」


「そんな大げさな。ちょっと評定にマイナスがつくだけじゃないか」


「そのマイナスが怖いんじゃないですか。ボスが飛ばされるのは自業自得として、わたしたちみんながつきあわなきゃならなくなるんですから」


「なんだったら、ぼくの権限奪ってきみが代わりをする?」


「けっこうです。そんなめんどくさい権限いただいても苦労するだけです」


 なんか、えらく生々しい会話だ。どこの支店の支店長と副支店長の会話か、という感じだ。だが、確かに信頼は出来そうだ。ただ、聞き流しにくい言葉もちらほら。


「ひ、評定って?」


「ああ、そのへんはおいおい説明してあげるよ。じゃ、キムラくん、手続きお願い」


 キムラさんは、目にもとまらぬ指先の動きで端末を操作した。


「終わりました。ボス、承認をお願いします」


「はいはい、ポチッとな」


 管理者が自分の端末のキーを押すと、急にぼくのまわりが歪み、強烈な頭痛に襲われた。その頭痛が去ってあたりの歪みもおさまると、そこにはキムラさんしかいない。


「あの……」


「ああ、山瀬やませさん、でしたね。ボスがご迷惑をおかけします。いろいろトラブルを起こすかもしれませんが、よろしくお願いします」


 ものすごくきっちりした人だ。きっといつも管理者に振りまわされているに違いない。


「それで、あなたのボスはどこに?」


「そちらに」


 彼女の指さしたぼくの足もとを見ると、生意気そうなネコがぼくを見上げていた。


「これが……あれ?」


「あれです」


 どうしろって言うんだよ?! いつもネコを連れて歩くのか、ぼく? 

ここまでお読みただき、本当にありがとうございます。


恭也の六周め以降も楽しんでいただけるよう、お願いいたします。

管理者=ネコがどのような役割を果たしていくか、楽しみにしていただけるなら、これにまさる幸せはありません。

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