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「後醍醐復帰パーティー!」

※『騅-後醍醐のもう1人の息子-』のスピンオフ作品です。

※上記作品をまだ読んでいない方は、戻るボタンを押していただき、本編をお読みいただくようお願いいたします。


スピンオフなので、とにかく関西弁やらで文章が荒れます。

いろいろご注意下さい。

2013年7月……



 〈拝啓 ◯◯様 盛夏の候、皆様いかがお過ごしですか?

2013年7月14日(日) 後醍醐家の名家復帰パーティーを行います。


    記

場所:後醍醐家大ホール

時間:20:00-22:00(時間厳守でお願い致します)

服装:和装又は洋装の正装


お車での送迎又はお越しはご遠慮いただきますようお願い申し上げます。

尚、大変申し訳ございませんが、武器等の持ち込みは厳禁ですのでご了承願います。

何かとご多用とは存じますが、くれぐれもご無理などなさらないようご自愛ください。


                       敬具 第15代目当主 後醍醐 詠飛〉


 この招待状が送られたのは、数年前より始まった”BLACK”の参加者総勢400名だ。

残念ながら、このパーティーが始まる前に招待状が赤く染まってしまった招待客も居たが、それはやはり殺し屋同士のことだから致し方無いだろう。

 その400名の内の3人である、菅野、裾野、そして騅は参加を決めたようで、この会場に向かっている。しかし騅は”BLACK”の最大標的なので、藍竜組の総長室に預けられている。

 また一方で黒河月道も参加するようで会場に向かってはいるが、その隣に相棒の姿はない。

あれ以来仲違いをし、別居もしているのだ。そしてその後をこっそり付いて行くのは、情報屋の集まる烏階所属の(れん)と、エースインフォーマーの藤堂からすだ。



21:00

後醍醐家本棟 大ホール

菅野



 俺は今後醍醐家大ホールに来とるで!

やっぱ名家様のお家は素晴らしいなぁ~……なんて思ってへんけど。

とりま、和服の似合う裾野と一緒に窓側の右端の方でドリンク片手に話してるんや。

俺はもちろん、スーツやで。これがめっちゃ似合うんやけど、それは多分裾野が選んでくれたからやと思うで。

ちなみに、俺はりんごジュース、裾野はシャンパンや。


「菅野」

「なんや?」

「今日はたんまり酔えそうだ」

裾野は俺の4つ上やから21歳。法律は守っとるで。

まぁもうほんのり頬が赤いから、面倒になる5秒前くらいやな。

「飲み過ぎるんやないで。連れて帰るの俺なんやからさぁ~」

「あ~……そうだった。なぁ菅野、今日のお前のスーツ、すごい似合ってる。誰が選んだおかげかな~?」

と、言いながら俺の肩に腕を回した。あぁ、面倒になってもうた。裾野は絡み酒ってやつで、ごっつ絡んでくるんよ。

「裾野さんです~」

と、わざとこっちの言葉で言うと、裾野はニヤニヤしながら俺の頬を突いてきた。

あぁもう嫌やわ。

「裾野あかんよ、飲み過ぎや。もう何杯目やもう……」

「え~?30杯目?まだまだ飲めるぜ?」

裾野はすっかり赤い顔になっとるし、テンションが怖い……。


 そのとき、向こうの方に黒河が見えた俺は助けを求めるように奴の名前を呼んだんや。

そしたらな、藤堂も一緒に来てん。

黒河はスーツでびしっと決めてはるけど、白くて細っこくて小さい奴やから怖い女って感じしかせぇへん。

あと、藤堂は茶色の和服で相変わらずもしゃもしゃヘアーや。

「ありゃぁ……裾野さんが出来上がってる」

藤堂もおんなじ赤い顔やけど普通にテンションが高くなるくらいなのか、ずっとニコニコしてはる。

「そうですね。ですが、こうして敵と対面しているのによく――」

「月道、そういうのは抜きのパーティーだよ。会うのは2人とも初めてかな~。よろしく」

と、ニコニコ笑顔で見てくる藤堂は、やっぱり適当男と言われるだけあるなぁ。

「よろしく」

と、俺が適当に返したのに、裾野は俺を急にぎゅっと抱きしめて、

「こいつは渡さないよ~」

と、ろれつが危うい感じで返しはるから、藤堂の反応が怖かったんやけど、意外にも笑ってるだけやった。

本当にこいつは迷惑やわ。人目くらい気にしろっ!

 しばらくすると、裾野が藤堂の方によろよろと近づいて、

「持ってて」

と、言うと藤堂にだけ見えるようにタバコを吸うジェスチャーをしはった。

見えてんで~裾野。俺が睨んでいると、その窓越しに月道の呆れ返ってる表情が見えてしもうた。

あーあ、接しにくいわ~。

「菅野さんと裾野さんはそういう関係なの~?」

「ちゃうちゃう! ありえへん! 何なん!?」

と、俺がわたわたしとると、月道は大袈裟に溜息をついた。

「男同士の恋愛を否定するつもりは無いけど、見てるのは不快だから俺の前では止めて」

月道は俺を見下すみたいな目をして冷たく言いはるから、俺はどんな顔をしたらええかわからんかった。

「まぁまぁ、そう言うなよ~。月道だって“汚れ仕事”してんじゃ~ん」

「余計なことは言わないで下さい」

「うわっ、怖いわぁ~」

と、少し突っかかってみたんやけど、月道は視線を逸らすだけやった。

何なん!? どうしたらそんなに性格悪くなるんかなぁ。


 しばらくすると、裾野が戻ってきた。

いつもみたいにタバコの香りをほんのりと匂わせる裾野は少し嫌やったけど、俺も吸ってみたいから文句は言えへんの。

「ただいま。大分良くなってきた」

裾野の足元は大丈夫そうやけど、戻ってくるなり俺を後ろから抱きしめてきて、

「菅野~」

と、2人に見えないところで背中を撫でたりお尻を触ったり揉んだりする裾野については、満足するまでそうさせへんとめっちゃ怒るから耐えるしかあらへん。

そうは言うても、我慢するこっちとしては真顔でいられへんから嫌なんやけど。

「仲良いね~」

と、藤堂はドリンクを両手に持ちながらもニコニコしとった。

むっちゃええやつやんな?


 すると、急に会場がゆっくり真っ暗になっていって、スポットライトがぐるぐると会場を回り始めたんよ!これからどうなるんやろ?

「そろそろお開きの時間が迫っているので、最後に改めてお別れの乾杯をどなたかにやってもらいたいのですが……」

という、後醍醐家長男のスピーチが入ったらな、いつの間にか俺らの居るところに光が集まってん!

「そこにいる、裾野様、菅野様、藤堂様、黒河様にシャンパンを!」

という長男の合図で執事たちが一斉にこっちに来て、シャンパンを手渡されたんやけど……飲んでええの?

「悪い、こいつら2人は未成年でなぁ。替えてやってくれないか?」

「申し訳ございません! すぐに……!」

と、見るからに怪しそうな科学者風の執事が慌てて謝って持ってきたのは、ピンクのジュース。

それを見てるだけで不思議と喉が乾いてまう。

しかも、それを渡すとすぐに執事はどっかに行ってしまってん!

あいつ何なん!? ほんま!


 そして裾野と藤堂の乾杯の音頭と共にグラスの当たる音が響いたんよ!

めっちゃ感動したで! だってタイミング一緒なんやもの。

そしてそのピンクジュースを黒河と一緒に一気に飲み干すと、それはめっちゃ苦かったんよ……

「ゲホッゲホッ……! 何これ。」

「何なん、これ!? めっちゃ苦い!」

と、2人で文句を言うと裾野は俺の背中をポンポンと優しく叩いた、と思ったら耳元に顔を近づけて、

「アレとどっちが苦い?」

と、聞いてきてすぐに何のことかわかった俺は、段々自分の顔が赤くなっていくのを感じてん……だって俺、めっちゃ下ネタ苦手やのに!! まぁそれを知ってて言うてんのよ、裾野はな。

「知らんよ」

と、わざと冷たく言うと裾野はすっと離れて残念そうな顔をしはった。

本当に意味不明や。

「菅野、何年目?」

黒河はグラスを歩き回ってる執事に渡すと、スーツの襟を正しながら聞いてきてん。

「もう……7年目やけど」

「ふぅん。俺は12年目だけど、菅野は何か地位についてるの?」

12年目言うことは……5歳からこの仕事!?

俺なら途中で止めてそうやな。だって遊びたいやんか!

「いや? ついてへんよ。てか、そういうの藍竜組(こっち)には無いねん」

「あっそ」

「黒河はさ、5歳からこの仕事してて遊びたいとか思わへんの?」

「……初めて訊かれた。菅野は遊んでるの?」

うわっ……ほんま接しにくいわ。俺こそ初めて訊かれたっつーの!

「まぁせやな。人気者やし」

「ふぅん。どうでもいいことまでありがとう」

というと、黒河は藤堂に「先に帰る」と言い残し、裾野に一礼をすると帰って行った。

 ……はぁ!?

こんな余裕な感じで文を頭に浮かべてる場合とちゃうねん!

何やあのチビ男! めっちゃムカつく!!

エーススナイパーやからって、むっちゃ気取ってるし……! この前会ったときのイメージと違いすぎや!!

何があったん!? それとも、あれが本性!?

「菅野、顔……怖いぜ」

裾野はまぁまぁ酔いが覚めたのか知らんけど、目がやっとええ感じに合うようになったなぁ。

そりゃ黒河のことを今ここで嫌いになったんやから、怒ってたんやろうなぁ。

「すんまへん。あんな……その、帰らへん?」

「わかった」

裾野は俺の頭をポンポンと撫でると、一通りの参加者たちに声をかけてから俺のところに戻ってきた。

ほんま気が回る奴やな。

「帰るの~?気を付けてね~」

藤堂に最後に声をかけると、相変わらずのニコニコ笑顔で送ってくれはった。



22:00前

藍竜組 裾野と菅野の部屋

菅野



 この部屋には風呂場とトイレも付いとるから、ほんま便利や。

騅が居ないから少し寂しいけどベッドも3つに増えたし、今日は騅のベッドを借りようかなぁ。

だってなぁ……今日の裾野の隣で寝てたらマズい気がすんねん。


「菅野」

裾野は俺の後に風呂に入って、今出てきたところや。

こいつはいつもジャージで寝るから、俺もジャージで寝るんよ。

「どないした?」

と、騅のベッドに入りながら言うと、裾野はあからさまに嫌そうな顔をしはった。

「なぁ~俺のベッドで寝ろよ」

「まだ酔い覚めてないんかいなぁ」

「あぁ。今、弓削子(ゆみこ)が妊娠中だろ?再来月に子どもが産まれるから、お前とヤるなら今しか無いと思って」

「……何やその、今がチャンス!みたいな……」

「あぁ。騅のシーツを汚す訳にはいかないからさぁ~‥‥‥‥‥‥」

と、言いつつも俺のところに近づく裾野。

あ、言わんかったっけ?

こいつはバイセクシュアルなんよ。どっちもいけるっていう……な?

 ほんで俺のことを重そうに持ち上げて……

って、待て待て裾野!

「おろせっ……! こら、裾野!」

と、暴れている間に裾野のベッドに丁寧におろされ、その上にまたがる裾野に俺には7年前の記憶がフラッシュバックされ、怖くてもう過呼吸になりかけていてん。

まぁ……その話はまた今度するわ。

「暴れるなよ。おっと、押し倒されるのはトラウマだったか?……ったく、そんな反応されるとヤりにくいな」

というと、裾野は俺の隣に寝転がりぎゅっと抱きしめてきた。

何か……いつもより優しい感じがしたんやけど、なんでやろ?

「……菅野、1つだけわがままを聞いてくれないか?」

俺をそっとお互いの顔が見えるくらいに離して聞いてくる裾野の目は切なくて、俺はどないな顔をしとるのか……ようわからんかった。

「ええけど」

「目を見てるとシたくなるから、後ろ向いてくれ。……あと、抱きしめて寝てもいいか?」

裾野の切ない目に完全にやられた俺は、仕方なくその通りにしたんよ。

ヤられるよりマシや。言うても、俺も何だかんだ安心するしな。



――そうして菅野と黒河はそれぞれ一夜を過ごした。

菅野は裾野と、黒河は部屋に1人で。

翌日衝撃的なとんでもないことに自分自身が巻き込まれるとも知らずに……

読了いただきまして、ありがとうございます!

水曜日に出したのは、日曜日に資格試験があり土曜日に出せないからです。

なので、2話の投稿日は来週の水曜日か、来週の土曜日になります。

お楽しみに。

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