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ホラー短編作品集

窓から見たもの

作者: 候岐禎簾

私が住む家の隣は空き家になっている。

少し前まではおじいちゃんが一人で住んでいたのだが、2年前に都会の完全入居型の老人ホームの方へと入ってしまい、今では誰も住む人はいない。

人があまり住んでない自然豊かな田舎の村…。だから隣の家に明かりがついていないのは、とても寂しい。


「おかあさん寝るね~!」

風呂上がりの午後11時、私は母さんにそう言い残して自分の部屋がある2階へと向かう。

私の部屋の窓からは隣の家がよく見える。

小学生の頃などは窓からおじいちゃんが見えたら手を振っていたものだ。

しかし、隣の家が空き家になってからは窓を見ることもなくなった。


でも…。


今日はなぜか「窓の向こう側」が気になってしまった。

夜も深まる午後11時35分。

私はカーテンを閉めに窓の方へと向かった。

その時、チラリと窓から空き家になった家を見る。


「あれ…?」

私はある異変に気がついた。

今、下で「何か」が動いたのだ。

ちょうど空き家内にある広々とした庭の方だ。

黒い、少し大きな物体がサッと納屋の方へと入っていった。

最初、野良犬だと思った。


でも…。


記憶を思い起こして見ると、私が見た「何か」は二本の足で歩いていた。



次の日の朝、私は母さんにこの出来事を話してみた。

すると、母さんは私の話を聞くうちにみるみる顔が青くなっていく。


そして少しの沈黙のあと、こう言った。


「母さんもね、その黒い何かを見たのよ。ちょうど台所で洗い物をしている時にね…。窓の外を黒い影が横切ったのよ。なんだか気味悪いわね。お父さんにも言っとくわね、泥棒とかじゃないといいけど…」


ここでこの話は終わった。

その日の夜、晩御飯を食べてる時にこの話題が出た。

父さんは一言「見間違いか野良犬だろう」と言った。

あまり気にもかけてないようすだった。


最初、とても気にしていた私も来週の月曜日にはこのことをすっかり忘れていた…。




あれから、8年の月日がだった。

私は大学に進学して今は東京で一人暮らしをしている。

ある日、母さんから電話がかかってきた。

なんでも隣の空き家を取り壊すことになったらしい。

取り壊しの工事は順調に進んだ。

でも納屋を壊そうとした時だ。

作業員の人が中を確認する。

中には古ぼけた井戸があった。

そして、その井戸の中から「何かの骨」が見つかったらしい。


まだ「何の骨」かはわかっていない。

前に住んでいたおじいちゃんも4年前に亡くなっており、納屋の中にあった井戸のことを知っている人もいまや誰もいない。


その時、私は8年前に見たあの「黒い何か」を思い出した。

もしかして、井戸から見つかった骨と何か関係があるのだろうか?


でも、今となっては何もわからない。


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― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんはo(^-^)o 井戸とか、そこにあるだけで何となく怖いですよね。底が見えなくて。 骨はおじいさんのものだったのかな?気になってしまいました。
2015/09/30 02:05 退会済み
管理
[一言] う~ん。気になる終わり方。 これは暫く頭から離れなくなりそうです。 感想の言葉としては足りませんが、上手く言葉にならないモヤモヤ。面白かったです!
2015/09/29 09:53 退会済み
管理
[良い点] さあ、物語の真相や如何に。 そんないつもの川成さんらしい作風で描かれた作品。 少し寒気を覚えさせるくらいのライトホラー作品(造語)、いつものように楽しませて頂きました。 [一言] そんなラ…
2015/09/28 11:54 退会済み
管理
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