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あと一週間
そんなこんなで波乱の幕開けかと思ったが、夏休みの美化活動以外は特に仕事もなく、もう一人の存在なんて確認することも忘れ日々は過ぎた。
去年と同じで、売られたケンカを買う毎日。
やっぱ人生つまんねーな、なんて物思いに耽っていると、田中に呼び出しをくらった。
「高島〜、お前そろそろやべえぞ」
「…なにが」
白を切るが心当たりは多いにあった。
「お前が訳もなく人に殴りかかるようなやつじゃないことぐらいわかってるけどよ、そろそろ俺も庇い切れないぞ。」
「…次から次へとケンカふっかけてくるんだよ。シッポ巻いて逃げれるかよ」
「血気盛んなことが悪いとは言わないけどな、お前、自分のこと大事にしろよ」
「………。」
自分を大事にする方法なんて、とっくの昔に忘れちまったよ。
「とにかく、夏休みの美化活動、お前毎朝8時半集合な。毎日。」
「!?週2日の約束だろうが!」
「いや、お前このままじゃ夏休みマジで警察にお世話になるだろ。それを防ぐのも俺の役目だ。」
「だりぃ…」
コイツに逆らう気にもなれず、一週間後に控えた夏休みのことを考えるととにかく憂鬱だった。