ぬくまった部屋
つめたい雨
雪降るところも
あって
朝だというのに
エンジンかからず
凍てついた中で
懸命に働く人がいると
いうのに
凍えて身を震わせる人が
いるというのに
ぬくまった部屋から
出たくないと
頑なになって
母の胎内から
出ることを拒めば
死があるのみだった
ことは
すっかり忘れてしまって
生まれ出たときの
寒さに泣いたことは
透明でも残った記憶にあって
おそれていた
寒さを肌身からおぼえれば
暖かさも肌身から
芯から感じられるというもの
寒さから逃れたければ
寒さに立ち向かうこと
今朝も観念して
ぬくまった部屋を後にした