第1章 ①
登場人物
姫口愛花 本作の主人公 高2
姫口優 愛花の弟 中3
本江和良 株式会社データリティ 代表取締役社長
ツーベルク・エクシア 時の米国大統領
「これが、今までとは全く違う新しいAI、『Artificial robotics intelligent autonomous』、略して、Ariaです」
株式会社データリティの社長、本江和良は宣言した。
「本江社長、アリアはこれまでのAIと何が違うのでしょうか?」
「アリアと今までのAIの違いは、これまでのAIは事前学習、つまり膨大なデータの読み取りを行っていました。また、世界の知識をパターン化して身につけています。しかし、アリアは、皆様方と同じような会話を行うために世界すべての言語エンジンを搭載し、皆様が行うような会話をすることができます。また、工場などで使用できる『ハイ・アリア』というAIも展開しています」
「つまり、人間と同じような言動や、生産活動ができるといってもいいのでしょうか?」
「そうですね。もしかしたら、人間より高いパフォーマンスを発揮するかもしれません」
「他、質問のある方は?」
司会のアナウンサーが言った。
「本江社長は、このアリアを、軍事に提供することはあるのでしょうか」
「現時点ではわかりませんが、将来的には防衛システム的な利用を目的に研究・開発を進めます」
*
大阪府中央特別区、英真学園に通う高校二年生の姫口愛花は、アリアの発表を弟の優と一緒に見ていた。
「ねえ、優。アリアはこの世界をどう変えていくと思う?」
愛花は、弟の優へ問いかけた。
「僕は、この世界の仕事の大半がこのアリアによって変えられていくと思うよ」
実際、今日の鉄道や自動車は完全自動化を達成しており、交通渋滞の減少など、日本やアメリカなどでもかなり進化した点が見られる。しかし、航空事業や工事の問題点は未だに大きい。航空機の操縦は高度な技術が求められるため、現在も人の手によって操縦されている。また、工事に使われる重機も、最近になって衛星通信を使った遠隔操作を実用化したが、自動運転までは実用化に至らなかった。しかし、アリアが誕生したことによって、航空事業や工事の進化もそう遠くはあるまい。
「でも、あの社長の最後の発言、よく考えてみると…」
愛花が考えていると、優はこう言った。
「だけど、アリアによって、社会の貧困化が進むと思う。最終的に得をするのは開発した人々だよね」
「最終的に得をする、か。優も難しい言葉使うようになったね」
愛花が言うと、優は少し驚いた顔をして、
「愛花姉からそんな言葉が飛び出すとは思わなかった…けどありがと、愛花姉」
優はそう言って立ち上がり、自分の部屋に戻り受験勉強を再開させた。
*
六月五日、本江和良はデータリティ本社にて、外部の人間を集めた秘密会議を行っていた。
「お集まりいただき、ありがとうございます。この会議では、アリアの今後について、皆様にお伝えするためです。これから我が社は、中国の上海に拠点を移し、この世界を我が物にするため、ロボット軍の編成を行います。その後、我らがこの世界を統治するのです!」
本江は声高らかに宣言した。会議に集められた人々は多くが憤慨した。しかし、一つの団体を除いて。
「本江社長、それは全世界に対する宣戦布告と受け取ってよろしいでしょうか」冷静な声が会場に響いた。
本江は、驚いた顔で言葉の発生元を見た。そこには、時のアメリカ大統領、ツーベルク・エクシアがいた。
「おや、驚きました。まさかエクシア大統領がいらっしゃるとは。しかし、あなた方はこの部屋から生きて帰れることはありません」
本江は手をたたいた。その瞬間、本江の後ろから銃を持った人々が現れ、参加者に発砲を始めた。
「貴様、ここで人を殺し、証拠隠滅を図ったところで意味はないのだぞ!」エクシアは叫んだ。
「証拠隠滅?私は初めからそんなことは考えていませんよ」
本江は冷静だった。本江は、自分に敵はいないというような笑みを浮かべ、会場を後にした。
その後、参加者の大半は殺害され、残りの参加者とエクシア大統領は間一髪のところで会場から出たと言われている。しかし、エクシア大統領は脱出の際に激しく転倒し、意識不明の重体となっていると報道されている。
作者のTTと申します。
この作品は一応連載となっておりますが、不定期で連載予定です。なお、次回は30日の19時です。そちらもぜひ読んでいただけたら作者が喜びます。また、裏話も書く予定です。
なお、この作品では大阪都構想が実現したパターンとなっています。大阪都構想反対の方には申し訳ございませんが大きな目で見ていただけたら幸いです。
一応明日の午後7時には、2年前くらいに書いた短編があがる予定です。もしよければそちらもお読みください。




