夕方五時教育番組
夕方五時いつものように、子供たちの大好きな番組が始まる。
ところがその日は違った。
いつもの可愛いキャラクター達が血塗れで、いつもの
「はじまるよ」
その声は歪み、裏返り、画面越しに子供をじっと見ていた。
子供たちと、血濡れたキャラクターたちの目線が合う。
その日この国の全ての世帯で、全く同じ現象が起きた。
子供達だけが見た、保護者は誰一人気づいていなかった。
子供たちが一斉に泣き出すと、大人たちは困惑した、なぜならテレビにはいつもの教育番組に切り替わっていたからだ。
番組が切り替わるほんの僅かな瞬間
キャラクターはこう言った。
「次のお友達はたくみだよ」
その日の深夜、全国からたくみが消えた。
たくみくんの両親でさえ、居なくなったことに気づかなかった。
夕方五時またテレビが始まる。
また血まみれのキャラクターが、今度は血濡れた包丁を持って踊っている。
泣く子供たち。
駆けつけると、何も変わらない。
最後の
「次のお友達は、ゆかだよお、一緒に遊ぼうね」
その日の深夜、全国のゆかが消えた。
子供たちは、幼稚園で、保育園で噂した。
「教育番組、あれに名前を呼ばれると連れていかれるんだよ」
「そんなわけないよ」
「じゃあ今日、見てみるといいよ」
「じゃあ今日、園で見せてもらうといいよ」
夕方遅くにテレビを見れる時間が来た、
今日はまさとのリクエストで、教育番組に決定した。
先生たちは職員会議隣の部屋にしかいない。
いよいよ始まった時、また血まみれのキャラクターたちが踊っていた。
キャラクターは言う。
「今日はみんなにお友達を紹介するよ!たくみだよ!よろしくね」
そこには青白い顔をしたたくみ達が沢山並んでいた。
何故か恐怖を感じた。
テレビの方からお肉が焼けるような匂いがした、
みんなが美味しそうな匂いだねと言っている。
けれどキャラクターの一人がたくみの頭を斧で叩き割ったところから、状況は変わった。
みんな、それの何が怖いのか説明できなかったが、とにかく怖くて泣き出したのだ。
先生たちがみんな集まってくる。
「どうしたの?」
「テレビがね、、こわいよおおお」
先生がテレビを見ても、そこにはいつもの教育番組が写っているだけだった。
「次のお友達はりゅうせいだよ」
と最後に囁いていたが……
それからというもの番組には今日のお友達が前日連れていかれた子達に、また次の子が囁き声で名前を呼ばれる日が続いた。
でも誰も記憶にないので、子供がどんどん減っても気づかれない。
勿論まさとも気づいていない。
何となく前日に怖いものを見た気はするのだが、それ以上の記憶はなかった。
あの日話した女の子?分からない
わからなくってもいいや。
椅子は毎日ひとつずつ増えていった。
使われない椅子は壁際に並べられ、やがて部屋の半分を占めるようになった。
それでも誰も不思議に思わなかった。
誰も何も考えなかった。
夕方五時の教育番組は、ある日を境に放送されなくなった。
その理由は一切発表されなかった。
それからしばらくして、大人たちは気づき始める。
幼稚園も保育園も学校も子供たちがあまりにも少なすぎる。
行方不明として扱われることはなかった。
なぜなら、消えた子供たちの記憶は誰も持っていなかったからだ。
夕方五時、大人たちは銘々にいい時間を過ごしていた。
部屋は静かだ。
この国から子供だけが消えた。
しかしそれに気づくものも既にいなかった。
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