宛名のない手紙
掲載日:2026/02/22
昼下がり、閑静な住宅街に入り込んだ宅配便の排気音に目を覚ます。春風がカーテンを翻した。垣間見えた空には雲一つなかった。体を起こし、部屋を出て、階段を降り、玄関の外に出ると、郵便受けはすぐそこ。中を確認してみるとやっぱり手紙が入っていた。ただ真っ白で柔らかな温もりを孕んでいた。宛名も書いていないのに、それが私に宛てられたものだとすぐに分かった。便箋を取り出してみると、大好きな人からの手紙だった。貴女の匂いがふわっと香って、私は貴女に会いたくなった。貴女は今どこで何をしているのでしょう。どうか幸せでいてください。私は今日も貴女を想います。静寂の中一人、晴天の空を仰ぎ見てそう心の中で呟いた。




