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【第一章完結】ユニークスキルは【チクビーム】~最悪な名前のスキル、ただし最強~  作者: おしり炒飯


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第22話 場違いな魔物

「洞窟での戦いもかなり慣れてきましたね。」


「そ、そうですね…!急に現れるスケルトンにはまだ慣れないですけど…。」


 僕たちが11階層に進出してから、2週間ほど経過した。

 現在、第14階層で狩りをしつつ探索をしている。

 狭い場所での武器のとり回しなんかにも慣れてきて、安定的に戦闘をこなすことができるようになっていた。


「そういえば、この洞窟エリアから“宝箱”が出るらしいですよ。」


「宝箱、ですか?」


「ええ。小道の突き当たりなんかに、突然宝箱が置いてあるみたいなんです。中には宝石や貨幣なんかの財宝、マジックアイテムや装備品、素材なんかが入っているらしいです。」


「ほへぇ!是非とも見つけてみたいですね!」


「ですね。ただ、鍵がかけられている物もあるみたいで、解除に失敗すると爆発したりすることもあるみたいです。」


「ひぇっ!や、やっぱり欲はかきすぎない方がいいですねっ!命が一番大事ですっ!!」


「数日前、17階層でCランクパーティが解除に成功したらしく、中にはニフル大金貨20枚が入ってたみたいですよ。」


「おひょっ!人生は冒険ですっ!!宝を前にして逃げるなど言語道断ですっ!!私たちも絶対見つけますよっ!!」


「手のひらが回転してるなぁ。」


 そんな話をしていると、15階層に続く階段が見えてきた。

 しかし、その階段の前に見慣れぬ魔物がいた。

 本来、ここにいるはずのない魔物だ。

 …あれは。


「…リビングアーマー。」


 歩く鎧。アンデッドに分類される中級以上の魔物である。

 この階層にいるはずのない魔物。


「ヒルマさん、は、初めて見る魔物ですよね…?」


「ええ。それも、こんなところにいるはずのない魔物です。」


「ど、どうしましょう…?通路を塞いじゃってます…。」


「戦うしか、ないでしょう。僕がメインで動くので、いつものように補助と妨害をお願いします。」


「わ、わかりました…!」


「それと、もしネシュカさんの方に向かうことがあれば、今出せる全力の妨害魔法を使ってから全速力で逃げてください。」


「で、でもヒルマさんが…。」


「大丈夫です。僕一人でも何とかして見せます。」


「う、うぅ…。」


「安心してください、ネシュカさんの方には絶対に行かせません。」


「ひ、ヒルマさん…。」


「では、合図と同時に行きましょう。リビングアーマーの実体は鎧部分だけ。視覚と聴覚があるかはわかりませんが、フラッシュで先制をお願いします。」


「了解ですっ…!」


 リビングアーマーはただ立っているだけだ。微動だにしない。

 ところどころ錆びついた鎧に、鈍く光るシンプルな長剣。

 鎧という特性上、動きは人族の剣士にかなり近いものとなる。


 久しぶりに、剣士と戦うことになる。


「今です!!」


「フラッシュッ!」


 リビングアーマーを閃光が襲う。

 しかし、動揺するようなそぶりはない。


「くそっやはり視覚ではない何かで感知しているのかッ!!」


 それでもヒルマは接近する。

 リビングアーマー、ゆっくりと迎撃態勢に入る。剣を構えた。


 ガキンッ!!


 剣と剣がぶつかり合い、火花が散った。


「シッ!!」


 剣と剣の応酬。

 ヒルマとリビングアーマーの剣筋は、少し似ているところがあった。

 どちらも実直な剣。

 しかし、力と技ともに、ヒルマが勝っていた。


 それに、ヒルマの一撃はすべて魔力が乗せられている。

 初めて戦う魔物であろうと、ヒルマの勝ちは揺らがない。


「鬲泌シセ。」


「ッ!?」


 ヒルマが飛びのいた。


「ひ、ヒルマさんッ!?」


「チッ、油断してました。あいつ、魔弾を撃ってきました。魔法が使えるみたいです。」


「えッ!?」


 ヒルマの左腕に鈍い痛みが走る。

 無属性の魔力の塊を飛ばす簡単な攻撃魔法、魔弾。

 シンプルかつ低威力でありながら、魔力は通常不可視。


 さまざまな場面において使用される、有力な初級魔法だ。


「ほわほわりんっ!」


 ヒルマの痛みが若干和らぐ。

 そう、ネシュカのオリジナル謎魔法ほわほわりん、その正体は肉体を活性化させる魔法だったのだ。

 これにより若干の身体能力、自然治癒能力の向上が発生する。


「ありがとうございます。ネシュカさん、僕が合図したら、リビングアーマーに向かってファイヤーボールを撃ってくれませんか?」


「で、できるでしょうか…。」


「大丈夫、ネシュカさんならできます。僕とパーティを組んでから、ネシュカさんは変わりました。出会ったばかりの時は、こう、えっと、ダメダメでしたけど、今は違います。」


「だ、ダメダメ…。」


「ちょ、言葉の綾です!あんま気にしないでください!今のネシュカさんなら大丈夫です。ここまで一緒に来れたんです。自分を信じてください…!」


「…ッ!わかりましたッ!!」


「よし。では、行きますッ!」


 再びヒルマがリビングアーマーに接近する。

 激しい剣激。


(ヒルマさんの言葉、まっすぐで、すごくうれしかった。だけど…。)


 戦うヒルマの表情は見えない。


(だけど、どこか寂しそうで、悲しそうだったのは、なんでだろう…?)


 ガインッ!!!


 ヒルマがリビングアーマーの攻撃を大きくはじいた。


「ネシュカさんッ!!今ですッ!!」


「ッ!ファイヤーボールッ!!」


 放たれたファイヤーボールは放物線を描き、リビングアーマーに直撃した。

 初めて慌てた様子を見せるリビングアーマー。思わずといった様子で燃える頭部を手で仰いだ。


「今だッ!!」


 僅かな溜め。大きく振りかぶった上段からの斬撃。


 斬ッ


 リビングアーマーは左右に分かたれ、ガラガランと音を立てて地面に倒れた。


「ふぅ。ネシュカさん!ありがとうございます!」


「い、いえっ!えっと、何が起きたんですか…?」


「リビングアーマーは動く鎧。物理的な耐性が高い。しかし魔法攻撃には弱い。それは、リビングアーマーの本体は鎧ではなく、その内部だからです。」


「ほ、ほう…?」


「ファイヤーボールであれば鎧の内部まで熱を伝えることができます。僕の斬撃でトドメを刺すには大きな溜めが必要でした。なので、ネシュカさんのファイヤーボールで隙を作り出し、僕の渾身の斬撃でトドメを刺した、ということです。」


「な、なるほどね。か、完全に理解しましたよ、ええ。」


(理解してなさそう)



 こうして、ヒルマとネシュカはDランクパーティながら、リビングアーマーというBランク冒険者が相手するような魔物を倒すことに成功したのであった。



 ♦



 ~side???


「ほう、リビングアーマーを倒すとは。なかなかやりますね。」


「それにあの女の方も、成長してるみたいだな。」


「ふん、あの程度。倒してくれないと張り合いがないじゃないか。それに、結果は最初から決まっているよ。楽しみだなぁ~、あのガキの死に顔と、その死体の前で犯されるあのメスの顔が。」


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

本作、カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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