第20話 ユニークスキルは【ちゅー魔法】
「ち、ちゅー魔法…?」
「う、うぅぅぅぅうう…は、恥ずかしいから言いたくなかったんですぅ…。」
「え、えっと、キスをすることで発動する治癒魔法、ってことですか?」
「い、いえ、治癒以外でもキスさえすれば発動できます…強化支援魔法とかも使えますし、変性魔法とかも…。」
「…ッスゥー...。」
(これ、とんでもない魔法なのでは…?)
「なるほど…このことを知ってる人は?」
「こ、故郷の家族だけですっ!」
「いいですか、このことは僕意外には言わないようにしてください。もし露呈した場合、非常にまずいことになる可能性があります。」
「ま、まずいこと、ですか?」
「…誘拐されて、知らない人に一生キスさせられ続けることになったりするかもしれません。」
「ひっ!?ぜ、絶対やです!!た、助けてくださいっ!!な、なんでもしますっ!!」
「ちょっあんまり男性に“なんでもする”とか言っちゃだめですよ!またあのカス野郎みたいなのに利用されちゃいますよ?ちゃんと、冒険者としての自覚を持ってください。」
「す、すみましぇん…。」
「と、とりあえず今日はここに泊まって行ってください。僕は床で寝るので。荷物は今持ってるものですべてですか?」
「は、はい。」
「わかりました。あ、そういえば自己紹介してませんでしたね。僕はヒルマと申します。」
「あ、私はネシュカ、ネシュカと申します!」
「ネシュカさん。よろしくお願いします。」
「は、はい!よろしくお願いします!ヒルマさん!あ、あの。」
「どうしました?」
「ど、どうしてここまでしてくれるんですか…?」
…それは。それは、あなたもユニークスキルを持っているから。
ユニークスキルに、振り回されているから。
僕と、同じだから。
「…ただの気まぐれですよ。」
翌日、僕とネシュカさんは冒険者ギルドに来ていた。
当面の間、僕たち二人でパーティを組むことにしたのだ。
ミカシュとかいう男は最後に不穏な言葉を残していった。彼女を守るためにも、そして僕自身のためにも、二人で行動したほうが良いと判断したからだ。
「よりあえず今日は5層付近で肩慣らししましょう。ネシュカさんの戦闘スタイルというか、冒険者スタイルを教えてください。その上で実戦での動きを練習しましょう。」
「わ、わかりましたっ!え、えと、後衛ですっ!!簡単な魔法なら使えますっ!あ、あと杖でぽこぽこ攻撃できますっ!」
「僕は剣を使った前衛なので、相性はいいですね。簡単な魔法というと?」
「えと、フラッシュなんかの目くらましとか、クラックという大きな音を出す魔法、それと、お、オリジナル魔法なのですが、ほわほわりんが使えます!」
「前半二つはわかりましたが、ほわほわりん…?」
「な、なんか体がポカポカしてきて、ほわほわ~ってなる魔法ですっ!」
「つ、使えるような使えないような…?寒冷地なんかだとかなり有用に思えますが…とりあえずわかりました。では、僕が前衛で戦うので、僕が合図したタイミングで妨害魔法なんかを使ってもらう、というのでどうでしょうか?」
「わ、わかりましたっ!!が、頑張るぞ…ふんふんふんっ…。」
すごい鼻息荒い。大丈夫かな?後衛だし大丈夫か。
5層に転移して10分後、5匹のゴブリンの群れを発見した。
肩慣らしにはちょうどいいな。
「ネシュカさん、ゴブリンです。最初にフラッシュで奴らを攪乱してもらえますか?」
「わ、わかりました!行きますっ!光よ!フラッシュ!!」
「「グギャッ!?」」
ゴブリンたちのど真ん中で、突如光がさく裂した。
突然のことに驚き、目を抑えてうずくまるゴブリンたち。
「フッ!」
その隙をついて急接近、一切の反撃をさせることなく、
ゴブリンたちを斬り伏せた。
「うん、いい感じですね。あの光量ならほとんどの魔物にも使えそうです。」
「うぇへへ、ありがとうごぜえます…。」
(すんごい情けない顔になってる…。)
「そういえばネシュカさんは今ランクいくつですか?」
「お、お恥ずかしながらまだEランクです…。この前の人たちにひっついて、15階層までなら潜ったことあるのですが…。」
「なるほど。僕はDランクなので、まずネシュカさんもDランクを目指しましょう。」
「えっ!!ヒルマさん、Dランクなんですかっ!?すごくお強いのに…?」
「いろいろあってランクが上げられてなくて…。パーティ単位での活躍が認められれば、メンバー全員がランクアップできることもあるみたいです。ネシュカさんは支援職一本で攻撃は難しいので、全員ランクアップの手法で狙っていきましょう。」
「わ、わかりましたっ!!」
「それでも最低限、身を守れる程度には戦える必要がります。杖徒、もしくは初級の攻撃魔法なんかも使えるように頑張って修行しましょう。」
「う、そ、そんなに覚えられるでしょうか…?」
「大丈夫です。4級スキルくらいであれば死ぬ気でやればひと月くらいで覚えられると思います。僕はそのノウハウも知ってます。実体験に基づいてるので、いけると思います…!」
「じ、実体験…?」
「はい。訳あって10歳から修行しまくってるので、ある程度応用効かせて教えられると思うんです。今日から一緒に頑張りましょう、ネシュカさん。」
「お、お手柔らかかに…。」
カニになっちゃった。
作者のおしり炒飯と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
本作、カクヨム様にて、先行公開しております。
続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。
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