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【第一章完結】ユニークスキルは【チクビーム】~最悪な名前のスキル、ただし最強~  作者: おしり炒飯


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第13話 ワイバーン

「デランさんッッ!!」


 ごしゃり。


 デランは地面に叩きつけられ、動かなくなった。

 生死は不明だ。


 周囲の様子を確認するが…。


「ぜ、全滅、でやすか…。」


 ひしゃげた鎧が散乱し、黒焦げになった死体が転がる。

 地面は黒く変色し、まだブスブスと煙が上がっていた。


「GuRRRRRRRRRRRRR…。」


 ワイバーンがゆっくりとこちらを向いた。

 縦に割れた獰猛な目が、ヒルマとアクトゥを捉えた。


“次は、お前たちの番だ。”


「GIGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」


「ッ!??」


 ワイバーンが突進する。

 大きく開かれた顎には、血に濡れた牙がびっしりと並んでいる。

 一噛みでもされたら、おしまいだ。


「散開ッ!!!」


「了解ッ!!」


 ヒルマとアクトゥが二手に分かれる。

 ワイバーンが向かったのは、ヒルマの方であった。


 (ッ!!こっちに来たかッ!!)


 鋭い爪が頭上から振り下ろされる。

 空気が裂けるような音がした。


 ヒルマは踏み込み、剣で爪を受け流した。


「ぐぅッ!!?」


(お、重いッ!!)


 これまでに感じたことがないほどの衝撃が、腕を痺れさせる。

 かろうじてこれを受け流すことに成功した。

 地面に滑るように体勢を崩しながらも、剣先でワイバーンの前脚を浅く切り裂く。


「GIGAGA!!」


 魔力を纏ったヒルマの剣は通常の剣よりも高威力だ。しかしそれでもワイバーンの鱗を削り、浅く傷をつけるにとどまった。


「硬すぎるッ!!」


 ――シュッ。


 乾いた音が響き、ヒルマがつけた傷に矢が突き刺さる。


「GIGIGYAGYA!!!!」


 鮮血が噴き出し、ワイバーンが怒りの表情で下手人をにらんだ。


「げっ!!やっぱり怒るでやすよねぇ~~~ッ!!!」


「ア、アクトゥ!?ボウガンなんて持ってたの!?」


「奥の手でやすよ!!あっしが注意を引き付けているうちに、どでかいの頼みまさぁ!!!」


 ワイバーンが丸太のような尾でアクトゥを攻撃する。


「あっぶねぇっ!!?」


 アクトゥは上体を反らし、ブリッジするような形でこれを回避した。


「ぼっちゃん!!!長くはもちませんッぜッ!!!!」


 アクトゥが引き付けている間、僕は集中力を高め、全スキルを総動員する。

 ワイバーンの意識は完全にアクトゥに向いている。


 狙うは、尻尾。

 揺れる尾に対して走り出す。


「フンッ!!」


 跳躍し、重力による威力も加算する。


「――一閃。」


 斬ッ。まっすぐな剣筋がワイバーンの尾に命中した。


「GGGGGIIIIIIIIIIIIGGGGYAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」


 どすっ。


(や、やったっ!!)


 切断された尾が地面に落ち、びちびちと跳ね回る。

 鮮血が噴き出し、ヒルマの皮鎧が赤く染まった。


 怒りで真っ赤に染まった目で、ワイバーンがヒルマを睨んだ。


「QUHYOOOOOOOOOOOOO」


 ワイバーンの鼻が大きく膨らみ、大きく状態を反らした。


「ぼっちゃん逃げろッ!!!!“ブレス”が来るッ!!」


「わかっtッ!?」


 回避行動に移る瞬間、ヒルマは固まる。

 ヒルマの背後には、デランが倒れていた。


 避ければ、デランは確実に死ぬ。

 避けられない。


「ぼっちゃんッッ!!!!!」


 ブレスが、来る。



「よく耐えてくれました。少年。」



 凛とした声が届き、目の前に何者かが割って入った。


「氷壁。」


 瞬時に氷の壁が現れ、ワイバーンのブレスが押しとどめられる。

 灼熱のブレスは絶対零度の冷気によって、完全に遮断されていた。


 青いローブが風にはためく。

 ワイバーンを前にした、一切の動揺も、恐怖も感じさせない。



「…氷結の、シュッツディラルド。」


「遅くなってしまい申し訳ない。“もう一体のワイバーン”の相手をしておりまして。」


 氷の壁が霧散すると、戸惑うワイバーンの姿があらわになる。

 己のブレスを防ぐ存在など、これまで遭遇したことがなかったからだ。


「ほう、尻尾を落としている。なかなかやりますね、少年。」


「あ、ありがとうございます…?」


「さぁ。ここは私に任せて、背後の彼を助けておやりなさい。」


「ッ!!わかりました!!」


(そうだった!!)


 あわててデランに駆け寄る。


「デランさんッ!!」


 意識はない。しかし、息はある。


「ぼっちゃんッ肝が冷えやしたぜ!」


「僕も死んだかと思ったよ。とりあえず、デランさんを安全な場所へ!」


「了解!!」





 ~Side氷結のシュッツディラルド~




「さて、ここからは私が相手ですよ。」


(あんな少年がワイバーンの尾を落とすとは。それに彼の太刀筋。どこかで見覚えがあるように思いますが、はて...。)


 氷結がレイピアを抜き放った。


(考え事は後回し。集中。)


「参ります。」


 駿足の踏み込み、目で追えた者はいなかった。

 それはワイバーンも同じであった。


「GI!?」


「氷連撃。」


 氷の魔力に覆われたレイピアと、その周辺に浮かぶようにして現れた氷の槍。

 それらすべてによる連撃が放たれる。


 穿たれた箇所は瞬時に凍結し、たとえ回復魔法であろうとも組織の再生をすることはできない。


「QUHYOOOOOOOOOOOOO」


 ワイバーンがブレスの発射体勢に入る。


「おっと。さっきは気持ちよく放てたかもしれませんが、今回はそうはいきませんよ?――氷結界。」


「GIGOHAGA!!」

 ワイバーンの周囲の空気が凍り付き、ブレスが強制的にキャンセルされる。


「さて、ブレスを封じられてどうしますか?トカゲ君。」


 ワイバーンの瞳に、生まれて初めて恐怖の色が宿った。





 デランを騎士団所属の衛生兵に任せ、ヒルマとアクトゥは氷結のもとに戻る。


「少年。戻ったのですね。そちらの青年も。」


「せ、青年…?え、あっしですかい?」


「エルフからすれば、青年です。」


「あ、そういう…。」


 ワイバーンの方を見ると、全身に穴をあけて、息絶えていた。


「す、すごい。結局一人で倒しちゃったんですね…。」


「いえいえ、あなたたちが弱らせてくれたおかげで、かなり楽に倒すことができました。ありがとうございます。お二人はBランクの方々でしょうか?」


「いえ、僕たちはDランク冒険者です。」


「Dランク…?驚きました。ワイバーンと互角に戦えているのですから、お二人ともBランク程度の実力はありますよ。私が保証します。」


「あ、ありがとうございます!」


「なんなら、私の方からギルドに対して、昇格の打診をしましょうか?すぐには難しいかもしれませんが、認められればBランクn」


言葉が途切れた。



「お前カ?《《俺が用意したワイバーン》》を殺りやがっタのは。」



「え?」


 氷結の姿が掻き消え、その場に異形の存在が立っていた。

 植物の根が絡まりあい、人の形を成しているように見える。

 しかしその根のようなものは黒く変色し、絶えず蠢いている。

 ところどころに生えている葉のようなものは、よく見れば手のひらのような形をしていた。


 その存在が、ゆっくりとヒルマたちの方へ振り返った。





「アー、皆殺しィ、ダなぁ。りひひ。」


作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

本作、カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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