第12話 開門と開戦
「開門――――――――――――ッ!!!!!!!!!」
ガラガラと音を立てて、正門が開いた。
Bランク冒険者パーティが、先鋒として飛び出す。
次いでCランク冒険者たちが出陣する。
僕たちはDランクなので、そのあとだ。
ただ、ずっと開門しておく訳にはいかないので、
数分おきにランクごとで出陣する。
僕たちもすぐに出陣することになった。前方では戦闘がすでに行われており、
炎が走り雷光が轟き、怒号と爆発音、ガキンガキンという武器の音が聞こえてくる。
ガチャーーーーンッ
僕たちの後方で、正門が閉じる音がした。
「これでもう逃げられないでやすね。」
「そうだね。戦うしかない。まぁ、ギルド長も前線に立ってるし、氷結もいる。勝てるよ。」
「ですな。そろそろここらにも魔物が来る。集中しやしょう。」
そのあと、すぐに魔物の群れが到達した。
ゴブリンやオークが押し寄せる。
空にはブラッドバットが舞い、吸血しようと襲い掛かってくる。
「フッ!」
「キシャービビビッ」
空中から襲ってくるブラッドバットを斬り伏せる。
アクトゥはこん棒をふりかざしてくるゴブリンを次々と始末していく。
「ブオオオオオーーーーーーッッ」
聞き覚えのある鳴き声だ。
オークが二匹、まっすぐと僕の方に向かってくる。
「ぼっちゃん!!」
「任せて。大丈夫だ。」
オークと相対する。石斧を振り上げ迫ってくる。が、それはひどくゆっくりに見えた。
「遅いな。」
石斧を受け流し、すれ違いざまに剣が閃いた。続くもう一体は横降りの一撃を軽くかがんで回避、胴に向けて一閃。
ヒルマの後ろで、オークが二匹倒れ伏した。
「リベンジにしては、ずいぶんあっさりしてたなぁ。」
かつて自らを窮地に陥れた相手は、あっけなく地面に沈んだ。
前方よりドシン、ドシンと足音が迫ってくる。
「う、うわああああっひいいいいっ」
ぐちゃっ
いつかヒルマたちに絡んできたDランクの男冒険者が、オーガに足をつかまれ、そのまま地面に叩きつけられた。
「お、オーガだ!!オーガが抜けてきたぞッ!!」
周囲のDクラス冒険者たちがしり込みしている。
「ぼっちゃん、どうしやすか。」
「僕に、任せてくれないかな?」
「おひとりで、ですかい?」
「うん。これくらい一人で倒せないと、ダメなんだ。アクトゥは周りの冒険者たちをフォローしてあげて。」
「…承知。武運を祈っておりやすぜ。」
オーガに向けて走り出す。
なんとか押しとどめられているが、これ以上は死人が出そうだ。
(僕は強くなる。強くならないと、いけないんだッ...!)
「フィッフィッ!!」
口笛を吹いて、オーガを挑発する。
オーガはこちらに気付くと、吠えながら突進してきた。
「GGUUUUUUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOAAAAAAA!!!!」
地面を踏み砕くような一歩とともに、棍棒が横薙ぎに振るわれる。空気が悲鳴を上げ、直撃すれば即死は免れない。
身体をひねり、棍棒の軌道の内側へ滑り込む。
巨大な武器が目の前を通り過ぎる瞬間、オーガの脇腹に剣を走らせた。
鈍い手応え。分厚い皮膚に刃が沈み込み、血が噴き出す。
「GIIIIIIYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!」
オーガは怒りの咆哮を上げ、反射的に腕を振り回すが、ヒルマはすでにそこにいない。
足運びは軽やかで、常にオーガの死角を取り続ける。巨体ゆえに動きは大きく、ヒルマはその隙を正確に見抜いていた。
二撃、三撃と、剣が振られた。
周囲の冒険者は、その剣の動きを目でとらえることができなかった。
膝、太腿、腕の内側。どれも致命傷ではないが、確実に動きを奪う場所だ。
オーガの呼吸は荒くなり、足取りも次第に重くなる。
汗一つ見せず、淡々と攻め続ける。
怒りに任せ、オーガは棍棒を頭上に振り上げ、渾身の力で振り下ろす。
地面が爆ぜ、土煙が舞い上がる。ヒルマはその一瞬前に、半歩だけ前へ出ていた。
低い姿勢から、鋭く踏み込み、跳躍。剣を喉元へ突き上げた。刃は分厚い筋肉を貫き、確かな抵抗のあと、奥深くまで突き刺さる。
オーガの動きが止まった。
「Gi、ゴ、が…。」
ドスン。棍棒が地面に落ち、続いてオーガの体が地面に沈んだ。
「オ、オーガを、タイマンで…。」
「本当に、Dランクなのか…?」
「ふぅ…。うん、まだ余裕がある。大丈夫だ。」
ヒルマは力を確かめるように、こぶしを握り締めた。
「ぼっちゃん!!やりやしたね!!サシでオーガをやれるなら、Bランクでもおかしくねえですよ!!!」
「お、おおげさだな…。まだ戦いは終わっていない。無事に帰るまでが遠足、でしょ?」
「へっへっへ、その通り。さっさとこの遠足を終わらせやしょう!!」
~Sideデラン
「クソッ!キリがねえな…。」
オークを斬り伏せながら、デランが愚痴をこぼす。
(現状はなんとか押しとどめられているが、これ以上はヤバイ...!あと10分もすれば、体力の限界で離脱する奴らが増えてくる...クソッ!こんなの今までどうやって切りぬけてきたんだ...!ヒルマたちも心配だ。おっさんもいるし、よっぽどのことがなけりゃ、問題ないと思うが...。)
「や、やべえ!!ワイバーンだッ!!!」
「ワイバーンだとッ!?」
上空を見上げると、黒い影がこちらに向かって滑空してくるところだった。
(クソがッ!!よっぽどのことが起きちまったッ!)
黒い影は次第にその姿をあらわにする。
てらてらと鈍く、陽光を照り返しているのは緑の鱗。
翼の先端には鋭いカギ爪があり、すでにその爪は血で濡れていた。
「GIIIIIIIIGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」
戦場に咆哮が響き渡る。
ワイバーンが、デランたちに狙いを定めた。
「ど、どうするデランッ!?俺たちにワイバーンは無理だッ!!!」
「無理とか言ってる場合じゃねぇッ!!なんとかするしかねえだろッ!!氷結が来るまででいい、持ちこたえるんだッ!!」
「クソがッ!!やってやらぁッ!!!!」
(俺たちが止められなきゃ、この一帯は崩壊しちまう!!)
「オラオラァ!!Cランクの意地見せろお前らァッ!!!」
こうして、デランたちCクラス冒険者たちとワイバーンの死闘が開始された。
「せっかくオーガを倒したのに、次から次へと…余韻に浸ることもできないですねッ」
「まったくでさぁッ!!」
(本当にキリがない...!いつまで続くんだッ)
オーガを倒したのもつかの間、再びゴブリンやオークが突っ込んできたため、処理を余儀なくされていたヒルマとアクトゥ。
その時、戦場全体に響き渡るような咆哮が聞こえる。
「GIIIIIIIIGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」
「アクトゥ、今のはッ!!?」
「間違いねぇッ!!ワイバーンだッ!!!」
周囲を見回すと、まさにワイバーンが爪を立てて、地上にいる冒険者たちに攻撃するところであった。
「あのあたりにBランク以上の冒険者は!?」
「いなかったはずでやす!!まさかぼっちゃん、助けに行くつもりでやすかッ!?」
「現状、Bランクに近い実力を持つのは僕たちしかいませんッ!!助太刀しに行くべきですッ!!」
「しれっとあっしのことも勘定に入れやせんでしたか!?」
「アクトゥまだ本気出してないでしょ!!」
「だ、出してやすよ!無茶言わんでくだせぇ!!」
「まだ戦えるCランク冒険者たちがいる間に、共闘して抑えるべきです!!氷結が来るまでは!!」
「ぐ、あ~~~わかったでやすよ!!!いきやしょう、ぼっちゃんッ!!!」
戦場を駆け抜け、ワイバーンの下へ向かう。
すれ違いざまに魔物を斬っていく。
突如、前方で巨大な炎があがった。
「あれは、魔法…じゃ、ない!!」
「ブレスだ!!ワイバーンのブレスでやすよッ!!!」
そして、二人はたどり着く。
そして目撃する。
ワイバーンの尾に叩きつけられ、宙を舞うデランの姿を。
作者のおしり炒飯と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
本作、カクヨム様にて、先行公開しております。
続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。
https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614




