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【第一章完結】ユニークスキルは【チクビーム】~最悪な名前のスキル、ただし最強~  作者: おしり炒飯


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第11話 氷結

 準備を終えた僕たちは、正門に向かった。

 街道を歩いていると、アクトゥがこんなことを言い出した。


「ぼっちゃん。氷結が広範囲攻撃魔法を使うところ、見たくねぇですかい?」


「え、そりゃ見てみたいけど、城壁の中からは見えないよ。」


「ふっふっふ、ぼっちゃん。あっしを誰だと思ってるでやすか?」


「暗殺s」


「斥候職でやす。実は城壁に登れる場所を発見しやしてね、ちょっくら見物しにいきやせんか?」


「えぇ…?大丈夫なの?それ。バレたら捕まるとか絶対いやだよ?」


「大丈夫ですよ!氷結と一緒に、範囲攻撃魔法を使える冒険者が城壁上に集められてやす。そこに潜り込みやしょう。さ、こっちでさぁ。」


 大丈夫かなぁ、と思いつつ、興味が上回った僕は、アクトゥについていくのであった。




「すごい…!世界が、広い…!風がすごい!!うおーっ…!」


「100点満点の反応ありがとうございやす、ぼっちゃん。」


 城壁に上ると、地平線まで見渡すことができた。

 こんな高いところに上ったのは初めてなので、とても興奮する!!


「あんまりはしゃぐとバレちまいやすぜ、ささ、あそこの冒険者たちにしれっとまざりやしょう。」


 僕たちはしれっと、冒険者の集団に紛れ込んだ。


「いいかお前ら!俺が撃て、と言ったら魔法をぶっ放せ!ある程度ぶっ放して魔物の数を減らしたら、最後に氷結がすげえのをお見舞いする。そしたら第二フェーズ突入だ。魔力ポーション飲んで、地上戦に移ってもらう!!」


 マダルギルド長が説明を行っている。横には氷結のシュッツディラルドも待機している。


「ぼっちゃん、地平線、森の切れ目あたり。出てきやしたぜ、魔物の群れが。」


 遠くに土煙があがっている。その土煙はどんどんこちらへと向かっている。


 ふとギルド長をみると、両目が真っ白になっている。千里眼を使っているのだろう。


「おいでなすったぜ。お前らも見えているな!?全員、いつでも撃てるように準備しておけ!!ものすげえ数だ、ゴブリン、オークが多いな。ちらほらオーガもまぎれてやがる。だがほとんど低級から中級の魔物だ。あと10分ほどで射程距離に入るぞ!!!!!」


 魔術師たちが支援魔法を唱え、威力向上ポーションなんかを飲み始めた。弓士たちは弓矢の最終チェックをし、中には矢じりに毒を塗っている者もいる。


 やがて、魔物の姿がはっきりと見える距離になってきた。

 いよいよ始まる。


「総員、構えええええーーーーーーっ!!!!!!」


 詠唱が開始され、弓矢を引き絞るギリリとした音が響く。


「まだだ、まだだぞおおおおおおっ!!!!!」


 緊張の糸が張り詰めていく。詠唱が完了し、魔法が待機状態となる。

 ドドドドドド、という、魔物の軍勢が迫る音のみが聞こえる。


「…。」


 合図はまだ出ない。


 緊張の糸が限界に達する。

 迫りくる魔物の表情まで、視認できる。


 一様に、目を血走らせて、よだれを垂らしながら走っている。


 もうこれ以上近づかせたら、まずい…!

 糸が切れる、瞬間。


「ぅぅううううう撃てぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」


 魔術師たちの魔法が次々に放たれる。

 炎の球や氷の槍、中には雷、風の刃なんかもある。

 Cランク以上の魔術師たちはどの魔法も規模が大きく、巨大な炎の塊、氷のトゲの雨、竜巻なんかを巻き起こし、魔物の群れの戦闘集団を壊滅させた。


 また、弓士たちの矢の雨は、ホーンラビットやブラッドバット、ゴブリンたちをことごとく地面に縫い付けた。


「お、おお…!すごいですね!圧巻です…。」


「これだけ大規模な戦いはめったに拝めやせんからね。スタンピードじゃなければ、この景色をツマミに酒でも飲みたいところでやすが…。」


 5分以上にも渡って、魔術師と弓士たちによる大規模攻撃が続けられた。

 これらの攻撃による轟音は街中まで大きく轟いており、市民はみな心配そうに、家の窓から顔をのぞかせていた。


 これだけの大規模攻撃にも関わらず、魔物の軍勢の勢いは全く衰えなかった。

 積み上げられた死体を乗り越え、波のように押し寄せ続ける。

 終わりがまるで見えない。


「そろそろ氷結の出番だッ!!!!各自、最後にドでかいのぶちかましてから後方に下がれッ!!!氷結は準備しろ!!!」


「承知した。」


 各々が最後の魔力をふりしぼり、魔法を放って後退する。

 氷結はただ、静かに目を閉じている。


 (一体、どんな魔法を使うんだろう...。)


 魔術と弓矢が止んだ。


 氷結が一歩、前へ進み出た。

 周囲の気温が一気に下がり、氷結が細く長く、白い息を吐いた。


 タクトのような杖が、魔物の群れに向けられる。

 閉じていた瞳を、ゆっくりと開いた。


「――氷獄で、お眠りなさい。」



(こ、れは...!)


 冷気の津波。そう表現できるような、白い空気が魔物の軍勢を包み込んだ。

 ピタリと、魔物の軍勢が動きを止めた。

 不自然なほどの静けさが、この場を支配している。


「...おいおい、マジかよ。」


 誰かがつぶやいた。


 ピキッパキッ


 何かが割れる音がして、凍り付いた魔物の軍勢が、一斉にばらばらに崩れ去った。


「ふぅ、少し疲れました。私は休みますので、後はお願いします。」


 固まる一同を気にもせず、氷結が歩き出す。

 そしてそのまま何事もなかったように、氷結のシュッツディラルドはその場を後にした。



「…とんでもないでやすな。」


 僕たちはみな、言葉を失っていた。


「お~いお前ら、まだ戦いは終わってねえぞ。ぼけっとすんな。あそこをよく見てみろ。」


 ギルド長の指さす先、森の方角から再び土煙が上がっていた。


「ま、まだいるのか…。これ、終わりあるんですかね…?」


「終わりはある。実際、過去に何度も退けてるんだからな。おらおら、ポーション飲んで下降りろ。むしろここからが本番だぞ。氷結といえど、あんな魔法何度も連発できねえんだ。さ、動け動け!!」


「ぼっちゃん、あっしらも支度しやしょう。あっしらは中級冒険者、あと30分もしねえうちに出陣ですぜ。」


「そうだね。行こう。」





 前哨戦が終了し、いよいよ本当の戦いが始まる。

作者のおしり炒飯と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

本作、カクヨム様にて、先行公開しております。

続きが気になりましたら、ぜひ下記よりご覧ください。

https://kakuyomu.jp/works/822139844400383614

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