姫の日常
文がカオスWWおKな方のみGO!
(こんな空・・・私には似合わない・・・。)
黒のローブに身を包み、空を見上げるは銀髪の少女。
(今日はお祭りなのよ・・・!なのに・・・なのに・・・。)
「なんなのよ!!この空は!!!」
モーバレイン魔法国家。広大な領土を持ち、王都、フェルゼンには高位魔導師を志す者たちが国内外問わず集まってくる。現在王位についているのは、32歳の若き女王、レスカ・アーマイン・モーバレイン。美しく慈悲深いことで有名である。王都フェルゼンに巨大な城を構え、永遠に平和な国を目指し政治を行っている。
そんな王都、フェルゼンは今、祭で盛り上がっている。年に一度の魔法祭だ。誰もが楽しみにするこの祭を、この国の姫も楽しみにしていた。
モーバレイン魔法国家、第一王女、ミリアニーナ・ルナシェフスト・モーバレイン。ミリアニーナは長いので、普段は縮めてミリアと呼ばれている。14歳の若さで、高位魔導師の資格を持ち、王立魔法学校の最上級クラスに所属する。肩までの銀髪に紫の瞳をもった美しい姫である。
が、今は少し機嫌が悪いようである。理由は天気。祭まであと2時間を切ったのだが、空は相変わらず灰色のままなのである。雨であろうが、魔法使いであれば簡単な術で濡れないようにすることが可能なのだが・・・。
「こんな空じゃ気分が晴れないじゃない!!」
王城、フェルゼン城。王都を見渡すことができる広い部屋。窓の外の空を見て、ミリアは言う。
「祭りは天気に関係なく開催されます。中止になることはございませんのでご安心を。」
その言葉に返事をするのは、ミリア直属の専属執事兼ボディーガード。アドリィ。それが本名なのかさえ、ミリアは知らない。生年月日(見た目は16~17)も、出身地も知らない。誰に聞いてもまともな答えは返ってこないし、アドリィも教えてはくれない。ただ一つわかるのは、ミリアに絶対の忠誠を誓っているということ。茶髪に濃いブルーの瞳をもったこの従者は魔剣を自在に操り、時には魔術をも駆使してミリアの盾となるのだ。・・・世界一堅い盾に。
「・・・気分の問題なのよ!気分!」
そんなアドリィを、ミリアはとことん困らせる。
「そうでございますか。では、気晴らしに紅茶などはいかがでしょう?」
が、アドリィは困った顔一つ見せずに言葉を返す。幼いころから次期女王のミリアに仕える為に教育されてきたのだ。ミリアに仕え続けて、もう9年になる。対応には慣れているのだ。
「・・・。」
ミリアは黙る。紅茶はミリアの大好物の内の一つなのだ。
「今は3時。ティータイムにございます。祭は5時から。まだ時間がございます。」
「気晴らし・・・か・・・。そうね。それがいいわ。シュルエを呼んで。」
大好物につられる天才魔導師。
「畏まりました。」
そう言ってアドリィがパチンと指を鳴らす。
「失礼します。」
どこにいたのか、廊下から一人のメイドが入ってくる。ミリア専属メイド、シュルエ・マトリーヌ。黒髪縦巻きツインテールに赤のリボン。白く透き通った肌に大きな漆黒の瞳。可愛らしい顔だちにメイド服がよく似合う。黒髪黒目はこの国では珍しく、どこか地方の出身らしい。
「お呼びでしょうか。アドリィ様。」
(・・・様、ねぇ・・・WW)
ミリアはクスリと笑う。シュルエはアドリィのことが好きなのである。・・・アドリィは恋などというものに興味などさらさらなかったのだが。
「・・・?呼んだのは私ですが、用があるのは姫様です。」
まだ新人のシュルエに容赦ない注意。
(メイド長はもっと怖いけどね。)
ミリアはアドリィが手加減していると思っているが実際はそうではない。彼女はミリア直属のメイドではない。ミリア直属の執事であるアドリィは彼女より身分は高いが、上司ではないのだ。したがって、アドリィにシュルエを教育する義務はなく、ミリアに無礼をはたらいたときのみ注意するのである。
「し・・・失礼しました。ご用でしょうか、姫様。」
アドリィいわく「仕事のできないメイド」が言う。
「紅茶の用意をお願い。いつもどおりでいいわ。」
「畏まりました。」
「あっ・・・そうそう、2人分の用意をお願い。マリナも呼ぶわ。どーせ祭にも来ないつもりで本にまみれてるんだろうから。」
「はい。少々お待ちください。」
シュルエが去った後、ミリアはつぶやく。
「シュルエは料理は上手いのよね・・・。」
「掃除はできませんが。」
ミリアは笑った。
いやぁ・・・カスい・・・。まあ、なにはともあれ、読んでくださってありがとうございました。ぼちぼち投稿していきますんで、またよろしくです。
リア友・・・蘭
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