不自然に切り取られて
作者・水沢さやか
共同編集者・水倉綾音
※この作品は舞台台本用に書いたものです
事務所にて
探偵「…れー君遅くない?流石に俺お腹空いたんだけど…」
チリリリリリン(固定電話の着信音)
探偵「!」
受話器を手に取り電話に出る
探偵「も〜、遅いよれーく…」
レイリン「すみません!メラキ探偵事務所ですか!?」
探偵「!!あ、はい、えっと…ご依頼ですか?」
レイリン「はい、早急に調査してもらいたいものがあるのですが」
探偵「分かりました、ご依頼内容を教えてください」
メモ帳を開きペンを手に取る
レイリン「妹を見つけ出して欲しいんです!」
探偵「わざわざ来ていただいてしまってすみませんねぇ」
レイリン「いえ、その…あの時は冷静さを欠いていて…お恥ずかしい限りです…」
探偵「いえいえ…さっそくなんですが、妹さんが誘拐された、という事について詳しくお聞かせください」
レイリン「はい…。事の顛末は5日前の事でした。あの日の私は仕事で外へ出ていて家には妹ただ一人でした」
探偵「ご両親は?」
レイリン「私が幼い頃に交通事故で他界して…」
探偵「お辛いことを思い出させましたね。申し訳ありません」
レイリン「いえいえ!もう昔の事ですし、私には妹がいれば別に…」
探偵「…。そうですか」
レイリン「話が脱線してしまいましたね。その日の午後には私の仕事仲間が妹の面倒を見てくれる約束でした。ですが午後に仕事仲間が家に行った時はもう…」
探偵「それでなぜ誘拐されたと?」
レイリン「連絡を受けた私は家を隅々まで探しましたがやはり姿は見えず…。妹は外に出ることを異様に嫌う子で、自分の意思では決して外出はしません。もし出たとしたら想定外のやむを得ない事情か、誰かの意思で無理矢理…か」
探偵「この話、警察には?誘拐だと思ったならばまず第一に通報でしょう?」
レイリン「警察は…その…親の時に色々あってからあまり信用が置けなくて…」
探偵「…なるほど。事情は分かりました。早急に、でしたね?妹さんの居場所にご案内しましょう」
レイリン「あの、ご案内は嬉しいのですが私との会話の何処に妹の場所が分かる要素がありました?」
探偵「俺は別に貴方との会話のみで場所を把握したわけではありませんよ?」
レイリン「えっ?ではどうやって…」
探偵「俺はただ妹さんと一緒にいる人を知っているだけなので」
レイリン「それってどういう…」
探偵「と、そんなこんな話してたら着いてしまいましたね。ここが、違法取引の現場です」
諸事情で1日2投稿となりました