22 8月8日(土)21日目
飛行機の中で日付変更線を越え8月8日になった。
もうすぐ日本が見える頃、日本に戻ってからも連絡を取ろうと数人の連絡帳がまわってきたので私も自分の手帖をまわした。そこには仙人信と書いてあり彼の山吹市の住所と電話番号が書かれていた。
信さんは、やはり呉須信でも誰でもなかった。頭がおかしな18歳の女の子に絡まれて25歳の男の子が困り果てて、あの時、頷いただけなのだろうと思った。きっと彼にとっても疲れ果てた旅行になったのだろう。掌くんの連絡先は書いてなかった。信さんと兄弟なのだから同じなのだけれど・・・
行きの飛行機の中はみんな席を離れ移動して他のパッセンジャーとの会話を楽しんだのに帰りは疲れたのか静かだった。もちろん、私も静かにしている。7時間の飛行を無事終え、日本に着いた。
午後7時に空港に着いてエスカレーターで降りると父と母の顔が見えた。他の人達の親も迎えにきていた。最後にみんなで集まって、ニック先生が、
「3週間お疲れさまでした。たくさん休養して時差ぼけを早く直してください」と挨拶して、あっけなく解散となった。信さんが「迎えきてないな」と言っていた。
同じ山吹市なのだから、一緒に父の車で帰ってもと思ったけれど、言葉は出てこなかった。
父の車の後部座席に乗り込むと、
父が「信実が無事ならそれでいい」と言った。母に「どうだった?」と訊かれたので、
私は「楽しかった」と答えた。
今夜は私の街の花火大会の日。大会は、自宅から見える位近くで開催されるので毎年欠かさず観に行っていた。今年も、もしかしたら間に合うかなと期待していたけれど、既に終わり静まり返っていた。家に着いて、洗濯物だけスーツケースから出して洗濯籠に入れ、シャワーを浴びて自分の部屋で眠った。




