21 8月7日(金)20日目
旅行最後の日の朝。目が覚めた。ハワイで初めて寝た感覚。旅行初日と同じ水色のブラウス、ジーンズ、べージャケットに着替えた。
20日前、日本からアメリカへきた私と明日から日本の同じ場所に戻り生活する私は変わったのだろうか? と考えながらスーツケースに荷物を詰めていた。
日本へ帰ってからどうなるのかは不安でいっぱいだけれども、少なくてもここから出られることに安堵している。
結局ハワイでは土産用に定番のマカダミアンナッツチョコを三箱買っただけで大して荷物は増えず、小さな古いスーツケースに綺麗に収まった。荷造りを終わりかけた頃に英ちゃんと澪ちゃんが部屋にきた。そして英ちゃんが私に「自分だけいいわなー」と言った。
どういうことなのだろう? みんなは良くないと言うことなのか? 私の何処がいいのか? 私だけみんなを犠牲にしていい思いをしていると彼女は考えているのだろうか? これから日本に帰って大学を続けるのか? 信さんとの関係はどうするのか? 親には何を話せばいいのか? 不安材料がいっぱいなのに・・・ こんなこんな私をどうしていいなと言い羨ましく思うのか? 意味が解らなかった。どうして、こんなに辛いのだろうと思った。これぐらいのことで辛いと感じる私は身勝手なのだろうか? 誰かが、どうしたらいいか教えてくれたら、どんなことでも従うのにと思った。今、英
ちゃんにどうして私だけいいと思うの? と訊けばいいのに声が出てこない。スーツケースを引いて廊下に出た。みんなもそれぞれ荷物を持ち集まった。藍さんが私を一瞥してから、不特定多数の人への言葉のように何やら口にしている。今にも泣きそうだ。その言葉を私は理解できない。又、信さんが「ニック肉桂が悪い」と言っている。一体、何が起きているのだろう? 私に関係することだと推測できるけれど、誰に何を訊けば、わかるのだろう?私は泣きだした藍さんが心配で近くへ行き並んで歩いた。
なんだか、ギコチナイ12人はホテルを後にした。彼らは私の周りで何かを喋っているが何も理解出来ない。その代わり道行く人の英語だけがすんなり頭に入ってくる。英語と日本語が逆転している。ホノルル空港に着いた。手続き後、機内に入った。
涼さんから受け取ったチケットの席は蜜とみどりさんの間。信さんと掌くんは少し後ろの私から見えない席のよう。蜜が「ホームシックに私もなった」とまた言った。
ホームが家族のことなら、私はこの旅行で一度も父母兄に会いたいとは思わなかった。
キリストの12人の使徒は全員、大切な人を見捨てることを思い出した。12には神秘な力がある。それぞれこの旅行中何を感じ考えていたのだろう? 私にとっては人について考えつくした旅行になった。答えは見つからないけれど・・・
Wanda先生合わせて13人はもうお互い会うことはないのかもしれないと思えた。




