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105/107

105,最後の決戦中だし結婚する。

 


 てっきり空間転移用のゲートでもあるのかと思ったが。

 それは、へたに捻った考えだったようだ。


 単純明快な話、魔物たちは無から出現している。

 これはダンジョンで魔物を産出するときと同じ法則。


 このラスダン〈紫ガ城〉を、勝手に向こう側のルールで設定しなおしているようだ。

 こんなことができるのは、サリア様の残滓たるアリサに他ならない。


 ということで、敵の親玉はここにいるということになる。

 姿は現していないが。


 ふむ。では、セーラの奴も──


「まずは、慰みものにされている気の毒なメアリーを助けておくとするか」


 ヤマタノオロチの心臓がある本体部分に、〈魔滅の大槌〉を叩きこんだ。消滅。


 メアリーがすすり泣きながら、這ってきた。


「うう、汚されてしまいました。もうお嫁にいけません」


「よしよし、おれが引きとってやるから」


「え、本当ですか? プロポーズですか? あの、わたしで良かったら、よろしくお願いします」


「え? あ、そう。じゃ、そんな感じで。よろしく」


 結婚おめでとう。

 こんなことしている場合だろうか。


「長い回り道をしたが、バフ解除を頼めるか」


「任せてください。よろしかったら、死者蘇生の付与者のもとまで運んでくださいます? えーと、まだ足腰が立たなくて。蹂躙されていたので!」


 そんな『!』つけんでも。


 メアリーを抱きかかえ、お姫さまだっこという古典的に、跳躍。


 群がってくる魔物たちを、勇者少女の《不の刃》が両断していき、道を開く。


 これで必要なほどに接近した。

 メアリーが敵性者のバフ解除、《癒しの反転》スキルを発動。


 ヒーラー兼ネクロマンサーの魔人にバフ解除を行う。死者蘇生の状態がバフと解釈されるか不安もあったが、効果は絶大だ。


 ヒーラー兼ネクロマンサーは消滅し、それに連動して、ほかの死者蘇生状態だった魔人たちも倒れていく。


 これで敵魔人パーティのうち、ヒーラー兼ネクロマンサー、単体アタッカー、デバッファー、バッファーは潰したことになる。


 残りは全体攻撃のアタッカーであり、これはケイティと死闘中。


 ケイティのステルススキルが限界を突破し、敵の全体アタッカーのすべての剣を回避。

 背後に回り込んでも、全体アタッカーは気づくことさえない。

 その背中から魔法剣〈ゴーグの剣〉を貫き、風刃を四方へと放った。


「お見事」


 翼竜型魔物を掃滅したミシェルが、自身のマナドラゴンに乗り移ってから、降下してくる。


「敵パーティは片付いたようだが、魔物たちはまだ多い。というより、殺しても復活するばかりだな。敵パーティの魔人たちは復活しないようだが──【堕落した聖女】はなぜニコニコしているんだ?」


「先ほどソルトさんと結婚しました」


 こちらに駆けつけていた勇者少女とケイティ。

 ケイティがメアリーの報告を聞いて、


「えっ、」


 となんだか絶句した。


 勇者少女が溜息をつく。


「面白い展開だけど、いまはそんなことよりもっと大事なことがあるように思う。わたし、いま、まともなことを言ってしまった感じ? あぁ、このパーティのなかで、わたしが最も精神的に成熟している、ということよね」


 ミシェルが、それは違うだろう、という顔で勇者少女を見る。


「もしや、敵側は無尽蔵に魔物を復活できるのか? だとすれば、ジリ貧ということになるが」


 おれは首を横に振った。


「いや、大丈夫だろう。よくよく考えると、妹がこの場面にいないというのは、おかしな話だった。当人としては、いまほど盛り上がる場面もないだろうに」


「つまり?」


「きっと、いいところを持っていくつもりだ。しかし──」


 アリサを仕留めるなら、妹だけでは、万が一ということもある。


 ここはお兄ちゃんも駆けつけるときだろう!

 たぶん。


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