104,そろそろ。
魔物の数が増えすぎる。
しかもモブ敵枠というより、中ボス格。
しかし、どこから産出されているんだ?
見たところ、召喚魔法陣のようなものは見えないが。
何か裏があるのかも。
で、その裏はどこだ?
無駄にでかい玉座に飛び乗って、周囲を見回した。
まず空中支援がなくなったなぁと思ったら、マナエネルギーのドラゴン騎乗中のミシェルは、翼竜型の魔物の群れと交戦中。
ミシェルの攻撃スキルは、単体に対するものがほとんどなので、群がられると厳しいらしい。
と思ったら、ミシェルが落下する。
助けるべきか。いや、ここは下手に手を出すと、邪魔になるかもしれないな。
見守っていると、ミシェルが手近の翼竜型魔物に飛び乗る。
さらにマナの手綱をつかい、翼竜型魔物を操縦しはじめた。
《竜操》スキルか。
さすがドラゴンライダー。
まぁ翼竜型魔物も、ドラゴンの親戚のようなものだろうし。
そこからマナドラゴンと連携して、翼竜型魔物の群れと戦い、押し返しだした。
向こうは大丈夫。
ほかは。
敵パーティの全体アタッカーと交戦中のケイティ。
敵のほうが、基本ステータスは高いだろうに、奮闘中。
わが弟子……本当に死んでしまったアーグがいるので、第二弟子。
育ったものだ。
しかし敵の全体アタッカーを仕留めても、死者蘇生されられるのだろうな。
死者蘇生でいわばゾンビ化した単体アタッカーは、魔物の群れを率いて、勇者少女と戦っている。
これはドミノ式になる気がするな。
ヒーラー兼ネクロマンサーの魔人の『死者蘇生』バフを解除したとする。
このヒーラー兼ネクロマンサーが完全死亡することで、こいつが付与した他の死者蘇生バフも自動消去されるはず。
本当か? どうもこのヒーラー兼ネクロマンサーには、無駄に手古摺っている気がする。
しかしスキルは付与者が死ねば、そこまでのはずだ。
魔人として長く生きてきた自分の記憶を信じよう。
いや、確か例外としては、呪術系は別だった。
まてよ。ネクロマンサーって、呪術師の系譜??
「あー、もう面倒ね!」
勇者少女が《不の刃》を発動。不可視にして、必ず切断されるという制約のある刃が、手あたり次第に魔物たちを切断しだす。
そこから後退して、おれのそばに着地。
「勇者少女さんや。もう一押しで、敵魔人も撃破してみたらどうだ? ほら、敵ヒーラー兼ネクロマンサーを」
「うーん。バラバラにしても継ぎ接ぎになって向かってきそうじゃない。殺すだけ無駄。というか、もう死んでいるし」
「後学のため聞くが、ネクロマンサーって、呪術師の系譜か?」
「え? ……死霊使いなんだから、呪術師とは違うでしょ」
「それが聞きたかった。ところでメアリー知らないか?」
「向こうでヤマタノオロチに慰みものになっていたけど」
「助けてあげなさいよ」
高く跳躍し、ちょうど上空を飛びかかったミシェルの翼竜に着地。
「悪いけど、少し運んでくれるか?」
「なら、そっちのを使ってくれ」とミシェル。
別の翼竜型魔物にマナエネルギーの手綱を付与する。
《竜操》は、複数同時発動が可能なのか。
おれはそちらの翼竜に飛び移り、空中から、魔物たちの蠢くボス部屋を見回す。
メアリーを発見。
うーん、たしかにヤマタノオロチに慰みものになっている。
まぁ、魔人メンタルなら大丈夫。
ところで魔物たちを召喚しつづけている大元を見つけた。
そろそろ、反撃に転じるとするか。
ところでこの翼竜、なんか息が臭いよ。