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103/107

103,さすが聖女。

 


「敵のヒーラーを殺せ。あと、うちのヒーラーはちゃんと守ってよ」


 うちのヒーラーで、デバフ解除担当のメアリーはどこに行った?


 メアリーは玉座の下の隙間に入り込んでいた。おれと目があうと、親指をたてている。

 ところで、死者蘇生って、敵がわのバフ効果扱いになるのか?


 メアリーに敵バフ解除スキルもあれば、いいんじゃないか。ここにきて、メアリーにそこまで求めるのは、酷というものか?


 現状を整理するに。

 おれが戦っている全体型アタッカーを、まずケイティに預ける。


「ケイティ、任せた」


「え? あ、はいっ!」


 ケイティ、装備するは風属性〈ゴーグの剣〉、パッシブスキル《上限突破》によってテータスは二倍。さらに必殺の《覇・滅の斬》の連撃。


 ここで全体アタッカーの魔人を潰しても、敵ヒーラーによって復活させられると厄介だな。

 いや、あれは厳密には復活ではない。そこが重要か。


 ミシェルの空中支援を受けつつ、玉座のそばまで滑り込んだ。


「メアリー。もしかして、敵のバフ解除スキルとか、あったりする?」


「はぁ。そういえば、ありますよ。わたし、回復以外なら結構できます。回復は苦手ですけども」


 それはもうヒーラーではなく、デバッファーな気がしてきた。聖女なのに。


「いや、さすが聖女! その万能さ!」


「え、そうですか? 褒められて恐縮です」


「で、そのバフ解除スキルで、敵の死者蘇生を解除できるんじゃないか?」


「あ、それは試したことがありませんでしたね。試してみます。ただもう少し近づかないと」


 メアリーを護衛しつつ、前進。

 どうも敵の数が多いと思ったら、どこかのバカが、魔物を召喚しているらしい。

 敵パーティの中に召喚スキル持ちがいたのか。


 飛びかかってくる魔物を排除しながら、ヒーラー兼ネクロマンサーの死者蘇生で元気溌剌たる単体アタッカーを発見。


 近づいていくと、メアリーが、蛇型の魔物に文字どおり足をすくわれた。


「きゃっ。ご安心ください、わたしもかつてはボスだった身。インフレに負けずに戦いま、あぁぁぁ!!」


 蛇型魔物に引きずられていった。いや、まてよ。

 この蛇、胴体につながっている。あぁ、ヤマタノオロチか。レベル350。


 メアリーを、敵召喚のヤマタノオロチから助けねばならないし、やることが多い。

 視線を転ずると、敵の増えるばかりの魔物軍勢の向こうで、敵ヒーラー兼ネクロマンサーの姿があった。


 そのそばの裏口から、首無し騎士が駆けこんでくる。アーグ。あいつ、生きてのたか。

 ちゃんと生首も拾ってきたらしい。


「師匠! 不肖アーグが参りました!」


「いいところに来た。アーグ、そこのヒーラーを、殺せ」


「師匠! こいつですか!」


 敵ヒーラーも、まさかいまさら、新手がボス部屋裏口からやって来るとは思わなかったらしい。

 不意打ちとはこのこと。

 アーグの聖剣がうなりを上げて、無防備な敵魔人のヒーラーの首を刎ねた。


 ふぅ。これで死者蘇生は潰した。


「アーグ! お前を弟子にとって良かったと思った、いまが初めてだ!」


「師匠!! ……ここ、喜ぶべきポイントですか?」


 とたん首を刎ねられた敵ヒーラー兼ネクロマンサーが起き上がり、魔杖でアーグをつきさす。

 まさかのバフ解除で、アーグがただの首無し騎士、ようは死体と化して倒れた。


 はぁー。あのネクロマンサー、自分に死者蘇生をかけた上に、アーグの『首無し騎士』パッシブスキルを解除しやがったのか。


「だーかーらー、そーいうの、やめろ」


 とりあえず、メアリーさんを助けよう。

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