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102/107

102,乱戦だもの。

 

 あまたの攻撃が同時に起こった。


 敵魔人のパーティは空間転移して乗り込んできたようで。


 ミシェルがマナエネルギーのドラゴンに騎乗し、飛びあがる。空中から援護しようということだろうが、敵側にも飛行することを読まれていたようで、上方からの隕石攻撃。空間射出型の魔法陣が展開されているわけだ。


「人の部屋に隕石を落とす奴があるか」


 ひとまずおれは玉座を跳躍台にして魔法陣まで飛びあがり、破壊しておく。

 ミシェルが空中に飛び上がったところで、こっちは敵の情報把握。


 どれを優先的に撃破するべきか。

 たとえば、複数長剣をぐるぐるさせている全体アタッカーはどうだろうか。あの長剣、定期で魔法弾を射出しているらしく、こちらの仲間たちをじりじりと攻撃している。


 空中で方向転換して、降下。

 全体アタッカーの脳天に〈魔滅の大槌〉を振り下ろそうとしたところ、なんか世界の動きが緩やかになった。

 こっちは《時間跳躍ディレイ》を使った覚えがないんだが。


 勇者少女が通常速度で走ってきて、おれを見てから、誰かを指さした。敵パーティのデバッファーを。


 つまり、おれはいまデバフ状態、減速されているのか。


「誰か、デバフ解除ー、解除ー、できる人、いないのか?」


 そういや、誰もいないような気がしてきた。

 敵パーティの単体アタッカー、炎の剣を持った大柄の魔人が、短い空間跳躍をしながらこっちに飛んでくる。


 もしかして、でもなく、こっちが減速しているものだから、トドメをさしにきたんじゃないか。


 先に攻撃をしようと、こっちは〈魔滅の大槌〉を敵に向けて振り下ろしにかかる。

 しかし減速デバフは依然としてかかっているので、これは間に合いそうにない。

 なんたってスローモーションだもの。


 単体アタッカーの、青い肌をした魔人がにやりと笑って、必殺の一撃を放ってきた。

 その一撃が達する前に、こっちは《時間跳躍ディレイ》発動。

 時間跳躍を前方にしたことで、単体アタッカー魔人の脳天に叩き込む。


 まさか、という顔がぐしゃりと潰れた。


《時間跳躍》は減速デバフを乗り越える。


「ディレイ、強し。これがディレイなのか微妙だが」


 ふいにデバフが解除された。飛び交う魔弾を避けるため匍匐前進中のメアリーだ。


「メアリー。デバフ解除できたのか。偉い子」


「さっき、わたしも気づきました!」


 気づくのが遅いなぁ。

 とにかく敵パーティのデバッファーが厄介で、この時点でも、ケイティとミシェルが減速されていた。


 減速といっても、ほとんど空間固定なみの強力さ。さすが魔人側も精鋭をそろえてきたわけだな。


 メアリーは匍匐前進しながら、ケイティたちのデバフ解除していく。

 この戦い、勝利したらメアリーをMVPにしよう。


 しかし敵パーティにも、こちらにデバフ解除持ちがいることがバレる。

 となると、まず狙われるのはメアリー。元ボス格だが、この戦いではレベル1冒険者なみに脆弱な。


「あ、まずい。誰かメアリーを守ってやれ!」


 おれが守ってやれればいいのだが。

 なぜか知らんが、全体アタッカーの奴と一対一で戦うハメになっていた。


 複数剣を操るだけでなく、この剣ひとつひとつが、レベル300前後の力を持っている。

 あと属性攻撃も分けているので、苦戦必至のムカつく敵。


 いや、まて、まて。敵パーティのアタッカー一人死亡、一人はおれが相手しているんだ。

 あとはバッファー、デバッファー、ヒーラーだろ。戦える役割は残っていない。

 勇者少女もいるのだし、もう勝負は決まったも同然では?


 で、視線をちらっと向けると、さっき頭を潰した単体アタッカーの魔人が、なんか元気に暴れていた。


「魔人だからって、死んだら、死ぬだろ?」


 単体アタッカーの魔人の一撃を受け、防御したものの弾き飛ばされていた勇者少女。

 おれのそばで勢い殺してから、言った。


「敵のヒーラー、ネクロマンサーも兼ねているみたい」


「あー、そういうのズルいんでないかい?」


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