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プロローグ 村を出て嫁を探す旅に出よう

「オリバ、お前いつ結婚するんだ?」


 それは突然のことだった。

 いつも通り縁側でのんびりと昼寝をしていた俺は、まるで水でもぶっかけられたかのように起き上がった。

 空では真っ黒な鳥が「カー、カー」と鳴いている。


「なんだって?」

「だから、いつ結婚するんだって」


 夢か、聞き間違いかと思っていた。

 確かに俺は最近十八歳になったし、結婚していてもおかしくないが、それにしても親父の質問は奇妙極まりないものに思える。

 なぜなら。


「何言ってんだ親父。この村のどこに女がいるんだよ」


 いや、いるにはいる。しわしわのババアどもが。毎日野菜や果物なんかをもらったりするし、俺から魚をあげたりすることもある。


 しかし俺と同じくらいの結婚適齢期の女はいない。それどころか若い男も俺一人だ。


 周りは山で囲まれ、仕事といえば畑か釣り。そんなところでのんびり暮らしたい若者なんて、俺以外にいるわけがない。

 みんな夢を求めたのか、愛想を尽かせたのか、とにかく出ていってしまったからこんな現状がある。


「お前、村を出てけ」


 親父は井戸から汲んできた水を飲み干してからそう言った。


「はい?」

「都会に行って女を捕まえてこい」


 犯罪だろ。

 という冗談はともかく、俺には親父の言葉の真意が分からなかった。

 確かに俺は結婚適齢期ではあるが、今すぐ結婚しないともう後がないような年齢ではない。


「まだ十年くらいはのんびりしていてもいいはずだろ」

「アホ。そうやって先延ばしにすると後悔するんだ。もう今晩からこの家で寝泊まりさせないからな」

「今から出ろって言うのかよ」

「そうだ」


 親父はまったくこっちを見ない。


「本気で言ってんのかよ」

「ああ。母さんにも伝えとけ」


 親父のその言葉を聞いた瞬間に分かった。これはガチで言ってるんだと。

 俺の母親は庭にいる。

 詳しく言えば庭の土の中だ。目印に小さな石が置かれている。

 つまり死んでいるのだ。もう数年前になるか、病気がひどかった。

 その母親に伝えろということは、つまりは本気ということだ。


「分かったよ。でもなんで急に結婚なんて言い出したんだよ」

「……俺が母さんと結婚したのが十八だったからだ」


 しょーもな。

 そんなこと知るかよ。子供に押し付けてんじゃねえっての。


 とはいえ、俺だって結婚したくないわけではないし、かわいくて巨乳の嫁さんといちゃこらしたいというゲスな願望もある。


 最近のんびりぐうたら生活に少々飽きもあったし、ちょっくら冒険でもしてみるか。


「ここから近い都会ってどこだ?」

「カルチアだ。歩き続けても数日はかかるぞ。あとゴレムが出るから気をつけろよ」

 マジか。


 ちょっくら冒険とかいうレベルじゃねーぞ。

 しかもゴレムって超強いモンスターじゃなかったっけ。ちょっと昔、この村の近くの町でゴレムが出たから一帯の男どもが総出で一時間格闘してやっとのことで退けたとか聞いたことがあるぞ。


「暗くなる前に早く行け。あと嫁はちゃんとよく見て選べよ。乳で選ぶんじゃねーぞ」


 親父はそう言って立ち上がると、奥の部屋へ消えていった。

 村を出る息子へ向ける最後の言葉が「乳で選ぶな」かよ。




 いや、乳で選ぶだろ。何も間違ってないよな。

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