第二話
一年後、
「梨穂、一緒にお昼食べよう!」
「うん、いいよ!」
いつも通りのお昼休み。
私は友達の唯奈と一緒にご飯を食べていた。
「ねぇ、昨日のドラマ見た?」
「見てないよー。」
「えっ!?絶対見た方がいいって!!すごく感動するよ!!」
「そうなんだ。今度見てみるよ!」
「絶対だよ!」
「うん!」
いつも通りの他愛もない会話が続く。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
「じゃあまた明日ね!」
「バイバーイ!」
学校が終わった帰り道。
唯奈とは駅で別れ、一人で電車に乗って帰る。
(今日も楽しかったなぁ……。)
そう思いながら窓の外を見る。
外は暗くなっていた。
その時だった。
突然、後ろから誰かに抱きつかれたのだ。
「きゃぁぁぁぁ!!!!」
悲鳴をあげる。
怖くて体が動かない。
耳元で低い声が聞こえる。
「やっと見つけた……。」
「誰ですか……?」
恐る恐る振り返ると、そこには見覚えのある顔があった。
「あなたは……直斗……?」
なんと、そこにいたのはかつての恋人の直斗だった。
「久しぶりだね……。」
直斗はニヤリと笑っている。
「何でこんなことを……?」
震える声で聞く。
「だって、梨穂が悪いんじゃん。」
「え……?」
「梨穂のせいで、俺浮気性になっちゃったんだからさぁ。」
「どういう意味……?」
「だからさ、梨穂に俺が飽きちゃうような魅力がないからいけないんじゃないのかって言ってるんだよ!」
直斗は怒鳴るように言った。
「そんな……」
「お前なんかよりもっと魅力的な女がいることに気づいただけなのに、逆恨みしてんじゃねえよ。」
「ひどい……。」
私はショックで言葉が出なかった。
「酷い?それはこっちのセリフなんだけど。」
直斗は私の頬に手を添える。
「俺さ、実は彼女できたんだよね。しかも、結構可愛い子。」
「え……?」
「でも、やっぱり俺は梨穂が一番好きだからさ。戻ってきたわけ。」
「嘘……でしょ……?」
私は信じられなくて聞き返す。
「嘘じゃないよ。だから、これからはずっと一緒だな。」
「やめて……来ないで……!」
必死に抵抗する。
「嫌だ。」
「お願い……!もう許して……!」
「ダメ。」