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 ──今日は休日。

 私は今日、ターナルと二人で街へと出かけていた。

 街の探索を終えて私が馬車に戻ろうとすると、彼が慣れた仕草でエスコートをしてくれる。


 ターナルに学園登下校時以外でも、エスコートされるようになってから数ヶ月経つ。

 今や彼は、私──リーゼリットの婚約者だ。


「いつもエスコートありがとうございます、ターナル様。たたずまいは、もう立派な騎士ですわね」

「騎士団所属が内定したとはいえ、まだ学生ですから形ばかりのようなものです。それに、素敵な婚約者を失望させるわけにはいきませんから」

「そんなことはありませんわ。お世辞ではありませんもの。そのうえ、好きになったお相手をそんな目くじら立てて失望したりはしませんわ」


 私とターナルの二人を乗せて、馬車は動き出す。


「それにしても、リーゼリット殿に告白の返事をされたときは私も驚きました。先に私たちの3人から告白をしたときには、あれほど混乱した表情をされていたのに」

「あれは……控えていてくださっていたのがわかるくらいに、皆様に猛烈に告白をされてびっくりしましたから。ですから、私も負けてはいられないと、ターナル様に私の言葉が思いつく限りを告白させていただきましたわ」

「いやはや、あなたの包囲網は見事でした。私が捕まえようとしたつもりが、リーゼリット殿に捕まっていたのですから」

「いいえ、それはターナル様が私を愛してくださっていたからこそです。貴方が私をあらゆる外敵から護ろうとしてくださったからこそ、私は自分の気持ちに気づくことができたのです」


 ターナルが当時を思い出しながら語る感想に、私は胸の内を話す。


「ならば、私の決意表明があったからこそなのですね。リーゼリット殿がロイズ公爵による幽閉から解放されたあと、あなたに思いの旨を伝えた甲斐がありました」

「ええ。ターナル様の真摯さが、私の心を射止めてしまいました。この責任はきちんと取って貰いますからね」

「はい、わかりました。その責任は必ずや取ってみせましょう」


 ターナルは私の手を優しく掴みとり、手の甲に口付けをする。

 私は彼のその口付けを素直に受け入れる。

 覚悟を決めて彼の告白に返事をしてからは、ターナルからの愛情表現に必要以上に驚くことはしなくなった。


「これからも私は、婚約者のリーゼリット殿をお慕いし続けます。私はあなたと一生を添い遂げたい。構いませんか?」

「ええ、末永くよろしくお願いいたします」


 私はターナルの愛の言葉に、にこやかな笑みで応えた。


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