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シュジュアを選びます

 ──授業の空き時間。

 私は学園の人目のつかない場所で、シュジュアと合流していた。


「シュジュア様、シュジュア様? どうされたのですか? ボーッとなされて」

「いや……君が告白の返事をしてくれた日のことを思い出していたんだ。俺たちがあらためて告白したことでだいぶタジタジになっていたと思いきや、俺に思いの限りを告白してきたときは驚いた」

「また、そのときのことを思い出していらっしゃったのですか? その、恥ずかしいですわ……」


 私の誕生日に推したちにあらためて告白されたあの日、私ははじめてながらも思いつく限りの言葉を述べてシュジュアに告白の返事をした。

 今やシュジュアは、私の婚約者である。


「そもそも、私たちはもう婚約者同士なのですから、このような学園の人気のない場所で隠れて会わなくても大丈夫なのではないでしょうか?」

「そのっ、いまだに実感が湧かないんだ。君に告白されたのはくっきりと覚えているのに、こうして婚約者としてそばにいてくれるのが」


 そう話しているシュジュアは顔だけではなく、耳まで真っ赤だ。


「そろそろ慣れてくださいませ。私はこのように婚約者として、シュジュア様のおそばにいるのですから」


 そのように言って私は、シュジュアに身体の重心を預けて少しもたれかかると、彼は驚いたとばかりに背筋を伸ばす。


「今までと態度が打って変わって、俺に寄りかかってくるんだ。こう、緊張もするだろうっっ」

「シュジュア様は私にあれほど口説いてきたのに、ここまで口説かれるのに弱いとは思いもしませんでした」

「言っただろう、初恋だと。恋人に迫られるのには、慣れていないんだ……」


 先程よりも、シュジュアの顔が真っ赤になっている。

 その反応に思わず、彼が可愛らしいと思ってしまう。


「私は私のために情報屋を続けてくださるような、シュジュア様のひたむきさに惚れてしまいましたの。私を陰日向から護ってくださる、貴方の一途さを好きになってしまいましたの」

「もう、俺を口説かなくてもいい! 気持ちは十分に伝わっている」

「だって、シュジュア様を選んだからには、私を後悔させないんでしょう? あれからの貴方は、私からの告白に驚いているばかりです」

「──!! そうだな。いつまでも、君の反応に驚いて出遅れてばかりではいられないな」


 あのときと同じように、シュジュアは私の髪を一束すくって口付けをする。


「愛している、リーゼリット嬢。これからも、俺のそばにいてくれないか」

「ええ、末永くよろしくお願いいたします」


 私がシュジュアからの告白に満面の笑顔で応えると、二人で愛を確かめ合うように抱きしめあった。


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