お菓子の家の魔女
「イーッヒッヒッヒ」
森の中の家から奇声が聞こえてきたのです。
森に狩りに出ている二人組の猟師は疲れた顔をして
「うわーまたあのばあさん奇声をあげているよ」
「あのばあさんってショタコンで子供にお菓子をあげて誘拐しようとして、この森に追放されたんだよなあ」
「それってばあさんが貴族令嬢時代のことだったよな……」
猟師たちの会話のとおり、70年ほど前に王国の子爵家に一人の令嬢が生を受けたのでした。
しかし、その令嬢は大層変わり者だったのです。
彼女の口癖は「私はヒロインなのよ」「せっかく転生したんだから逆ハーレムよ」などだったのです。
地球から転生した人だったのですが、イタイ子だったのです。
現代知識があり若干知識チートをやって周りの覚えがめでたくなったのですが、
貴族社会で逆ハーレムをやろうとしたり、貴族の権力を利用して10歳以下の男の子を誘拐したりしていたので、17歳の時に追放されたのです。
そう、ド田舎の村に……。
さらに村でも幼い少年に手を出そうとして奥の森に追放されたのです。
そして追放から50年たっても逞しく生きていたのです。
「ギエー、ゴキブリよー」
魔女はお菓子の家を作ったのですが、ここは自然豊かな森の中です。
お菓子の家を作れば動物たちが家を食べに群がるのは言うまでもありません。
家にはキツネ、クマ、カラス、ネズミ、ゴキブリその他etcが群がっていたのです。
「儂の家を食べないでおくれ~」
「またやっているよこのばあさん」
「馬鹿と天才は紙一重だよなあ」
猟師たちが様子を見に行くと、動物の糞まみれの残骸になった家の前で、燃え尽きている魔女の姿があったのでした。
「儂の家が……」
「ばあさん相変わらずぶっ飛んでいるな」
猟師のおっさんが声をかけえると
「お前たちは昔は可愛かったのに、今はこんなにムキムキになってしまって儂は悲しいのじゃ、なぜこの森に子供たちが来なくなってしまったんじゃ」
「いつの話をしているんですか?それにそれは、俺が子供のころにしびれ薬付きのお菓子を盛ったのはあなたでしょう」
「そうだぞばあさん子供を誘拐したり、監禁したりするから、俺たちがたまに様子を見に来ているんだぞ」
一応日頃の行いはアレだけど、このばあさん魔女は薬草とか貴重なものを作るので村からは一目置かれていたのです。
でもアレな人なので森の奥に隔離されていたのでした。
「ほら、ばあさんお土産だぞ」
猟師が背負い袋からモノを取り出すと
「おお!BL本じゃ~」
ばあさんは鼻から鼻血が噴出しぶっ倒れたのでした。
しかし5分後再起動したのです。
ばあさんは筋金入りの腐女子だったのです。
「イ一ヒッヒッヒ」
追放されても逞しく生きているのでした。