↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
15/41

まさかの来客なんだけど


 テリヤキなセットを完食した後、インベントリに空容器を突っ込んでベッドに腰掛けた。

 ぼんやりと今日一日の事を振り返ってみる。


 まず初手に某ピエロ落とされて死亡から異世界転移。

 デカい犬をぶん殴って、ようやく辿り着いたのが魔王直轄の街で。

 エルンハルトさんにであって、ジークとオセロして。

 エリーゼさんに殺されかけたと思ったら熱烈なキスをされて。

 就職のために魔法を習おうとしたらグロウレイザさんにえっちなお誘いをされて。

 魔王軍の食堂で美味しいご飯を食べて。

 街に出てリチャードさんのお店で買い物して。

 その後迷子になって、ライラとお茶して。

 寮に戻って来てからアテナとテリヤキ食べて、と。


 これが全部一日で起こった事だ。

 何か体感で一週間以上経ってる気がするけど、たった一日だ。

 いやぁ、濃い一日だったなー。

 まだ終わってないけど。


 そろそろかなーと思いながら紅茶を飲んでいると、コンココン、とリズミカルにドアをノックされた。

 来たなジーク、懲りない奴め。

 またフルボッコにしてやろう。 


「遅い。レディを待たせるなんて良い度胸してんじゃん」


 ガチャリとドアを開けながら馬鹿なことを言い。


「リリィお姉様♡ 来ちゃいましたの♡」


 バタンとそのままドアを閉めた。


 今なんか、嫌なものが見えた気がする。

 具体的には目の中にハートマークを浮かべて明らかに発情してるエリーゼさんが。

 いや、何かの見間違いかもしれないし、もっかい見てみるか。


 ガチャリ。


「いきなり閉めるなんてあんまりですの!」


 あ、てめ、勝手に入ってきていきなり抱き着いてくんな。くっそ、可愛く上目遣いしやがって。

 てか改めて見るとやっぱり美少女だな。


 綺麗な銀髪とルビーみたいな赤い目。

 そしてまるで雪のように儚げで、同時に鋭い印象を与えてくる顔立ち。

 まるでガラス細工の剣のようだ。


「……何か用ですか?」

「ちょっと夜這いに」


 はいアウトー。


「お帰りください」

「嫌ですのー!」


 こら、頬をこすりつけるな。

 ふにふにしてて気持ち良いけど顔近いの怖ぇよ。

 あ、よく見たら目からハイライト消えてんじゃねぇか。

 やべぇ、断ったら刺されるかも、これ。


「はぁ……何もしないってんなら、お茶でもいれますけど」

「夜のお茶会ってえっちな響きですの」

「帰れ」

「ごめんなさい冗談ですの♡」


 可愛らしく媚びれば良いと思ってんだろお前。

 大体正解だよちくしょう。可愛いから許すわ。


 つーか、なんて言うか。

 エリーゼさんって話が通じないふりして理性的というか、全部計算尽くで距離を測ってきてる気がする。

 どこまでなら許されるか、どこまでなら大丈夫なのか、そんな事を観察しながら接して来ているような。


 それは多分。私という異邦人が危険かどうかを見定めるため。


 などではなく、単純に私の事が好きなんだろう。

 初手で熱烈なアプローチされたし。

 くそう。あれは絶対許さねぇからな。


 それはさておき、キッチンに立ったは良いものの。

 お茶をいれると言っておいてなんだけど……コンロの使い方が分からん。

 多分これだと思うんだけど、どうやって点火するんだ?

 四角い本体から火が出るのは分かるんだけど、スイッチ的な物は何も無いんだよね。

 うーん。仕方ない、聞くか。


「エリーゼさん、これの使い方分かります?」

「魔導コンロですの? それは普通に売ってる物と変わりませんので、魔力を流すだけで使えますの」


 いや、どうやるんだよ。

 さすがファンタジー世界、魔力が使えるのは当たり前って事なのか。

 でも、これはまずいな。普通に売ってるって事は使えないとか言ったら確実に怪しまれるよね。

 かと言って今更やめるのも怪しまれるし。

 うーん。何とか上手い言い訳を考えないと。


「……エリーゼさん」

「なんですの?」

「二人の初めての共同作業として、コンロの点火やりませんか?」

「やりますのっ!」


 よし釣れた。

 後はエリーゼさんの手をそっと掴んで、と。

 うわ、ちっさ。あとスベスベ。


「では、合図に合わせてコンロの点火をしましょうか」

「はいですの! ふへへ……!」

「さん、にー、いち」


 コンコン。


 あれ、ノック? 誰か来たのか?


「リリィ、居るか。朝の続きをやりに来たんだが」


 あぁそうか、ジークか。すっかり忘れてたわ。


「開いてるから入ってー」

「不用心な……おい、何をしてるんだ?」

「何って、魔導コンロの点火だけど」

「……そうか、お前は記憶喪失だったな。リリィ、それは結婚する時にやる儀式だ」


 ほわい?

 あぁ、ケーキ入刀的なもんか?

 でも何でコンロの点火なのよ。


「あぁっ!? バラしちゃダメですの!」


 おっと、このロリ分かってて黙ってやがったのか。

 つーか記憶喪失設定なんだから普通に聞けば良かったな。忘れてたわ。

 

「よく見たらエリーゼか。お前ら知り合いか?」

「私はお姉様の愛のしもべですの♡」

「……誰だお前、エリーゼじゃないのか?」


 あ、ジークがドン引きしてる。

 てかエリーゼさんって普段はどんな感じなんだろ。

 ジークの反応を見た感じ、全然キャラ違うんだろうけど。


「私は愛に生きると決めましたの!」

「そうか、頑張れ。さぁリリィ、朝の続きだ」


 ジーク、スルースキル高いな。


「あ、先にお茶いれたいからお湯沸かしてくんない?」

「人使いの荒いヤツめ。ほらよ」


 え? うわ、凄いな。指先でヤカン触っただけなのに沸騰してる。


「今のは『熱量操作』スキルだ。俺しか使えないから結構レアだな」

「ふーん。便利ね、それ」


 私もそういうスキル欲しかったな。

 いやまぁ、『愛』と『勇気』は便利だけどさ。


「とりあえずありがと。お茶いれるね」


 インベントリから茶葉とティーセットを取り出して紅茶をいれる。

 さてさて、またフルボッコにしてやろうか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。