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第9話 どこに行こうか。

第9話です。

 「お疲れ様でーす。」

あの話し合いがあってから初めて迎えた平日、俺は茜さんと直接話をしにいつもの場所に行った。別に、前に連絡先は交換しているので話そうと思えば話せるのだが、なんとなくあの激動の話し合いがあった後にお互いの顔が見えずに話し合いをするというのは味気なく思った俺は、何も連絡しなかった。そして、茜さんもそれは同じだったのであろう、何も連絡は来なかった。

「一昨日は本当にお疲れ様でした。いやー、茜さんとこれから毎日を堂々と過ごせると思うと、なかなか嬉しいですね。俺、なんだかんだこの生活大好きなんで。」

言ってから気づいたが、これ少し恥ずかしいこと言ってないか?俺は慌てながら、話題を巧妙にずらす。

「にしても一昨日は本当に大変でしたねー。父がなかなか認めてくれなくてめちゃくちゃ長引きましたし。」

すると茜さんは、

「あなた、『茜さんと毎日を過ごせると思うと嬉しい』とか言っちゃって、恥ずかしくなったんでしょ。」

めっちゃバレてました。はい。

「自分ではうまく話題変えたとか思ってたかもだけど、一昨日の話題に逆戻りするの凄く不自然だから。」

やっぱりこの人は適当に振る舞ってこそ居るが、実際は鋭い物事を見る目を持っているから凄い。一昨日の話し合いを終わりに持って行ったのも茜さんだし。最初は訳が分からなかった、真面目モードの茜さん……その魅力もやっと気づいてわかってきたように思えて、俺は嬉しくなった。


 「てか、せっかく部活に正式に所属しないでいるんだから、土日とかどっか行きたい感じはあるよねー。近いうちにどっか行かないー?」

茜さんは、ワクワクで言う。確かに、この学校は土日でも部活が片方はあり、部活がない休日も自主練のために時間を使うため、それほど頻繁には出かけられないという生徒が多いという話は同級生から聞いたような気がする。

「じゃあ、どこ行きましょうかね?というか、何人ですか?」

俺は場所や呼ぶ人は全く具体的に思いつかなかったので、茜さんに託す。

「まあ、場所はともかく、行くのは私たち2人だけでしょ。」

茜さんは、さも当たり前のように言う。

「えぇ!?2人だけですか?」

茜さんと2人きりで出かけるというのは、ぶっちゃけ、なんだか嬉しくて踊りたいくらいだが、いきなりそれはなんというか……と思ってしまう。

「だって、地区総体も近いし、みんな部活忙しいでしょ。」

茜さんの正論ストレートパンチand2人きりなのは特に何とも思ってないよ奇襲攻撃の前に、俺は敗北した。


 「人数は2人だけなのは確定しましたね。それじゃあ、どこに行きましょうか。」

俺は茜さんに訪ねる。

「うーん、どこがいいかなぁ……。悩むねぇ。"空"と最初に行く場所でしょ?だったら場所はしっかり選びたいよね。」

「あれ?今、俺のこと"空"って……。」

俺の指摘に茜さんはハッとする。したかと思うと、恥ずかしいのかどこかを向きながら

「いやー、ね?ずっと『あなた』呼びは少し距離感じるなーと思って、ね?まあ今日から呼び方は『空』ってことで。よろしく!!」

茜さんは普段の3倍速はあるんじゃないかというスピードで話すと、さらに俺から向きを逸らす。いや、今日は茜さんの魅力を発掘しまくりなんだが?俺の冒険家の才能でも開花したか?てか俺もなんかドキドキしてるし。

「まあ、いいですよ、これからはそれで。『あなた』呼びされてる側は結構距離感じて悲しかったんで。」

「え!?そうだったの!?」

茜さんは俺の発言に相当驚いたようだった。


「じゃあ、もっと早いうちから『空』って呼びたかった……。」


何かしら茜さんが言ったように思ったが、まあ気のせいだろう。俺が何も反応しないのにも何も言ってこないし。


 「で、場所は決まりましたか?」

大きくずれた話題を軌道修正する。

「それなら、今の時間でちょっと行きたい場所が思いついたんだけど……。」

「どこですか?」

「当日教える。それまで内緒。ただ、私が大好きな場所。」

「ええ?」

茜さんは、突然『内緒』とか『大好き』というワードをぶっ込むから驚かせられる。

「まあ内緒でもいい……ですけど、それじゃ俺そこ行けないんですけど。」

当然の疑問を言う。すると茜さんは、

「私と空、2人で自転車で行かない?そうすれば場所が分からないのも、楽しみとして捉えられるでしょ。」

と、大胆な提案をしてきた。ただ、大胆ではあるが、自転車で行くのは結構楽しそうに思えたので、俺はとりあえず提案を受け入れる。

「まあ、そうですね。俺、自転車結構好きなんで、楽しみですし、自転車で行きましょう。」

「良かった!OKしてくれて。」

茜さんは自分が提案したことができることがシンプルに嬉しそうだった。

「ただ、時間とかはどれくらいかかるかはちゃんと考えてるんですか?」

「それは……まあうまくやっておくよ。」

少し不安だが、まあいいだろう。そんなこんなで後は日程を決め、俺たち2人は茜さんが行きたい場所に自転車で出かけることが決定した。

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