表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/21

第13話 日々を過ごして。

第13話です。

 サイクリングから帰った次の日の放課後、俺と茜さんはいつものように集まっていた。

「昨日は本当に楽しかったですね!茜さんがいい場所選んでくれたから本当に良かったですよ。」

「本当?よかったー。」

茜さんは心の底から安堵あいたような声を出した。

「いやー、花をずっと見てられない、せっかちで美術系のものに興味を持たない感じの人って居るじゃん?だから空と最初に行く場所をあそこにしたのはなかなか攻めてたんだけど、うまくいってよかったー。」

昨日の場所は茜さんなりに色々葛藤があったうえで提案した場所だったらしい。

「楽しくって大満足でしたよ。」

俺は心からそう思って言う。


 「私も昨日はメッチャ楽しかった!昨日は門限も延びたし、本当に良かったよ!」

そう、昨日、茜さんは休日の門限が5時30分から、6時までになって30分延びたのだった。……そしてそれと同時に、俺は茜さんのお父さんと重要な約束を結んだ。『7時30分までに茜さんの家に着くことが出来ないと思ったら、すぐに連絡する』という約束を。これがどれほどまでに重要なものなのか、俺には想像がつかないし、想像して想像以上に重要なことだったときに非常にマズい事態になる予感がしていた俺は、ただただ忠実にその約束を守ろうと心に決めていた。


 「ねぇ、次はどこ行こうか?記念すべき1回目はもう過ぎたし、これからはガンガン色んなところ行きたいね!どこいいと思う?やっぱり王道のあそこのショッピングモールとか?あーでも○○遊園地遠いけど、行く価値あるってみんな言ってたし言ってもいーなー。どう思う、空!?」

……。人が心の中で「約束を守る」という秘めた重大な決意をしているシリアスな場面でこの人はウキウキ声で突っ込んできやがった。「なんとなく俺の表情でわからないもんなのかね。」俺は一瞬だけそう思うが、「普段のこの感じが茜さんだしな。」と納得し、落ち着いてしまう。

「どこがいいですかね。」

いつもの茜さんが今ここに居ることを実感しながら、俺は答えるのだった。



~~そこから俺たちは、何回か休日に茜さんの提案したプランで外出し、様々な場所で笑ったりケンカしたりした。(……ケンカの内容は『山派か里派か』とかいう対義語にもなってないような些細で意味不明なことだったのだが)~~



 「次はどこ行こうか?もう結構行っちゃった気がするなぁ。」

強い太陽の光に照らされた茜さんが言う。まだ日は高く、夕暮れまで程遠いように思えたが、バスが来るまではあまり時間がなかった。後20分ほどでバスが来てしまう。

「まあ、今までずっと茜さんが場所の案出してましたしね。」

「確かに、いっつも私が場所を提案してたなぁ。」

茜さんは今までの外出を思い出すように言った。そんなことをしている茜さんを横目で見ながら、俺は葛藤する。


 「なんかいい場所知らない?別に屋内外どっちでもいいからさ。私日焼けとかあんまり気にしないし。」

……なるほど、日焼けはOKなのか。これで一つ手間が省けた。

「そうなんですか。日焼けOKなんて意外です。」

「いやー、私からしたら日焼けはなんか季節だったり生きてる実感だったりを感じる風物詩的なものだから、ガンガン照らしてくれって感じ。この髪にも焼けた体が映えるしね。」

そう言うと茜さんは自慢げに自分の髪を触った。


 「私結構最近暇でさ、一日中空いてる日も多いからどこか行きたいんだよね。この季節だしさ。」

……日程の問題もOK。これはいけるのでは?

「でさ、空、……」

キタっ!!

「……どこか場所提案してよ。」


 俺は悩む。自分が最初に提案する場所がここでいいのかは全くわからないし、ここは結構人によって好みが別れそうだ。しかし、俺は覚悟を決める。ここで行くのが俺だろ、月見空!?

「茜さん!」

俺が突然声をあげたことに怪訝な顔をする茜さん。しかし、俺は続ける。

「一つだけ、自分から提案できる場所があります。」

「なるほど。」

俺は言う。

「海行きませんか!?」


 「ふっ…………。」

俺の必死の提案は、こらえた笑い声で返された。

「そんなことを必死になって伝えてたの!?笑っちゃうんだけど。」

茜さんは笑いながら言う。

「7月に海行くのくらい普通でしょ。海はまあ人によっては嫌がるかもだけど、私はOKなのはさっきまでの会話で予測できたでしょ。」

どうしてこうも真剣な俺の気持ちは流されるのだろうか。なんだか初めて2人で出かけて戻ってきた次の日にも真剣な気持ちをどっかにやられたような、なんて思い返す。多分そんなことはなかったと思いたいが……。


 「じゃあ、海行くのは確定ってことでいいですね?」

俺は切り替えて、いつもの感じで茜さんに尋ねる。

「そうだね。流石に海まではかなり遠いし、電車だよね?」

「自転車じゃ片道6時間くらいかかりそうですしね。」

「それもそうか。完全に愚問だったね。」

「じゃあ、日程決めちゃいましょう。」

そして俺たちは、海に行く日程も決まった。



この出来事が、俺たちの運命を大きく揺るがすとは知らずに、俺たちは海に向かう。

更新頻度がた落ちしてますが、私は消えないのでご安心を。話も面白くなってきたところですしね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ