表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/84

編入生がヒロインって乙女ゲームの定番なの?

 ヒラルドお兄様は全然納得してなかったし、お父様は私が聖女っていう事実を受け入れられてなかったけど、私は魔法学園へと編入した。アウレウスも一緒だ。


 季節は初夏。入学式は随分前に終わっちゃってたから、私は特に式とかはない。


 本当は、聖女編入セレモニーとか予定されていたらしいんだけど、それは丁重にお断りした。乙女ゲームのヒロインが学園に編入するって定番なのかな。


 ゲームの内容を思い出して見ると、バッドエンドでもヒロインの私は単純に誰とも付き合えないってだけで、悪役令嬢と違って破滅するようなこともないんだよね。だから私自身は自由に振舞っても私自身には問題がない。でも、誰とも結ばれなくても悪役令嬢の闇落ちからの魔物化は毎回起きてたから、ちょっと注意が必要かも。


 ゲームの中でも初夏にヒロインは編入してたから、今のところゲームの通りに世界が進行しちゃってるのかな。


 でさぁ、考えたんですけどね? 逆ハーレムってやっぱり、私には合わないんですよ。だからといって、攻略対象の誰か一人とくっつこうと思っても、攻略対象って皆決まった相手いるし、それ以前に実は私の好みじゃないんだよね……。いや、恋愛経験のない私の好みは何だと言われたら、ちょっと困るんだけど、とりあえず攻略対象のキャラ3人が好みでないことは判る。


 そもそもさぁ、婚約者とか彼女ポジションの幼馴染がいるのに、他の女に手を出そうとする男なんか論外じゃない? ゲームの中で顔だけは良かったと思うけど、本当に顔だけだったよね。いや、もう二股するという時点で、他の性格の良さが全てマイナスなんだよ、ハハ……。


 だから、私はバッドエンドを目指そうと思う。極力、攻略対象との接触を控える! そして魔法学園を無事に卒業して、普通の恋愛結婚をするのだ!


 バッドエンドと言っても、どのシナリオでも悪役令嬢が闇落ちしちゃうのは、攻略対象に私とのイベントが発生しちゃうからなんだよね。仲良くても悪くても、イベント発生するだけで令嬢たちは暴走して闇落ちしちゃうという……。でも、そもそも攻略対象と関わらなきゃ、令嬢たちも嫉妬で暴走することもないよね? そうしたら皆円満じゃない? 攻略対象を避けて生活して、バッドエンドという名の誰も死なないハッピーエンド! いいじゃ~ん!


 どこまで世界がゲームのシナリオ通りに進むのか判んないけど、出来る限りのことはやろう! うん!


 そんなわけで、攻略対象との接触を控えよう大作戦の一つ目が、『聖女編入セレモニー』の中止!

 攻略対象の一人、バシレイオス・ルベルが聖女に一目ぼれするのがこのイベントなんだよね。この国の王子であるバシレイオスのファーストネームは、王族だから秘匿されていて、本当の名前は「リンデウム」。


 リンデウムというのは「亜麻色」って意味があるんだけど、聖女を一目見た瞬間に「聖女の髪色が俺の名前なんて運命に違いない!」ってほぼ攻略の意味あるのかレベルで簡単に落ちてくるんだよね。迷惑な話ですよ。


 セレモニーでエスコート役をするに当たって恋に落ちる設定だから、セレモニーは一応回避したという訳。


 いやぁ~私の顔面偏差値そんなに高くないから、このバシレイオスが顔面に惚れたっていうなら、まだバシレイオスルートが開くことは考えられないけど、髪の色に運命感じちゃうんだもんね……。私の髪色って、亜麻色だもん、バシレイオスルートを避けようがないのは困ったもんだよ。


「何を百面相をしてらっしゃるんです?」


「ヒェッ人の顔観察しないでくださーい」


 学園に向かう馬車の中、向かいのアウレウスがクスクス笑った。


 乙女の顔を不躾に見つめるとは不届き者め。まあ、一緒に移動してるのに、今後の作戦考えてる私も悪いんですけど!


 何というか、この短期間で随分砕けた感じがする。私もだけど、アウレウスも。


「何をおっしゃいます。私はクレア様の補佐。貴女を注視するのが仕事と言っても過言ではありませんよ」


 絶対過言でしょ。


「そういうこと言うけど、面白がってるだけだよね?」


「とんでもございません」


 完璧な笑顔だけど、知ってる。これは面白がっているんですよ。アウレウスは腹黒なんだよね。会った初日に耳としっぽが見えたのも、そう見せかけたというだけっぽい。騙されて悔しい。


「さて、到着したようですよ。魔法学園です」


 馬車が学園の門の前に止まった。いよいよ学園生活が始まる!


 ところで、『魔法学園』って名前だけで学園の固有名詞がないのなんでだろう。ゲームの設定適当すぎないかな……?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ