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アウレウスってやたらと距離が近いんだよね

 アウレウスたち神官が来てくれたことで、なんやかんや、私が一人で教会に行ったことに対するお小言はなくなりそうでラッキー。


 魔法学園へは、毎日アウレウスが送迎してくれるらしい。アウレウスは魔法学園に既に3年通った実績があって本当は学園に行く必要がないのに、私と一緒に通ってくれるらしい。


 何だか申し訳ない。


 教会へと帰るアウレウスたちを、私は屋敷の玄関ホールまで見送ることにした。


「クレア様自らお見送り頂けるとは恐縮です」


「聞きたいことあってさ」


 かしこまった態度のアウレウスは首を傾げた。


「なんでしょう?」


「アウレウスって、今更また学園に通うのなんて、面倒じゃない?」


「何故です? 私の今の最優先事項は、クレア様の補佐です。面倒どころかご一緒できることは光栄ですよ」


 にこにこと微笑んでイケメンビームを送ってくる。顔がいいなあ。


「でも、送迎までしてもらうのに、授業中も一緒なんて……」


 私なら面倒だけどなあ、と言おうとしたところで、アウレウスが私の手を取った。


「貴女の側から片時も離れたくない程なのですよ。クレア様が気に病まれることではございません」


 じっと見つめてくる。やたら顔がキラキラしてるからつい赤面してしまう。止めて欲しい。


「クレア様? お顔が赤いようですが、大丈夫ですか? やはり私が抱いてお部屋にお運びしたほうがよろしいのでは?」


 アウレウスが顔を更に近づけてきた。


「いやっ! いらないです!」


 ぐい、っとアウレウスを押しのけると、彼はふふ、と笑った。これは、からかわれたんだろうな、やっぱり。この人、やたらと距離感近いんだよなあ。


 私は一つ息を吐いて、呼吸を整える。


「申し訳ないんだけど、私が聖女だからって媚びなくて大丈夫だよ。補佐は愛妾って訳じゃないでしょ」


 私がそう言うと、アウレウスは驚いたような顔で止まった。


「これはこれは……聖女様からそんなお言葉が出るとは」


 目を細めてアウレウスはクスクスと笑ってから、また顔を近づけた。


「おっしゃる通り、愛妾になれれば今後が楽かと思いましたが、お望みならばそれは止めておきましょう」


 小声でそう囁くと、アウレウスは顔を離した。


「補佐としてしっかりお仕えしますので、今後とも、よろしくお願いしますね」


 にっこりと微笑んだアウレウスの顔で私は確信する。


 こいつ、腹黒だな!? 教会で一瞬見せたワンコ顔は演技……! アウレウス、恐ろしい奴!

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