洗礼を受けますよ!
この国では、15歳になったら誰もが教会に行って洗礼を受ける。洗礼式は月に一回で、その月に16歳になる子がみんなまとめて受けに行くシステム。で、私も15歳になったからやってきました教会に!
洗礼を受けると何が起こるかっていうと、自分の潜在魔力が目覚めるんだよね。大体16歳くらいになると、大人の身体になるから、魔力が目覚めてもその負荷に耐えられるっていう寸法らしい。そこんとこの仕組みはよく知らないけど。
毎週末のお祈りには来てたけど、洗礼を受けるために来るのは勿論初めてだから緊張する~!
お兄様もお父様も火属性だから、私も火属性かな? それとも、お母様と同じ風属性? う~ん、楽しみ!
洗礼は礼拝堂前で一列に並んで、一人ずつ順番に中に入って受ける。特に身分証明とかも必要なくて、大体16歳くらいに見えれば受けさせて貰える。まあ、洗礼受けられるの一回だけだし、子供が受けても魔力が目覚めずに終わるだけだから、特に厳しく取り締まる必要もないんだろうなあ。
そんなことをごちゃごちゃ考えながら、洗礼の順番待ちをしていると、私の番がやってきた。
神官様が、私に手招きをしてくれるので、それに従って前に進み出る。
「汝の名を述べよ」
「私はクレア・バートンです」
「では、汝クレアの魔力を解放する」
大仰な動作で、神官様が私に聖水をかけてくる。キラキラとしたしぶきが舞って、私の周りがピカァ~と光り出した。
この聖水が身体に降りかかると、潜在魔力が解放されて、身体の周囲にその魔力が渦巻く、らしい。
らしいんだけど、あれ、何にも起きない? やけに、周りが眩しいけど……。
「おお……これは……!」
「なんと……」
神官様たちがどよめく。んん? なになに?
「光属性の聖女だ」
「聖女様だ……!」
んんん?
神官様たちが何故かひれ伏し始めた。どういうこと?
「クレア・バートン様、貴女様は光属性を授かりし、聖女でございます」
まさか、この周りがめちゃくちゃ眩しいのって……
「聖女に栄光あれ!」
「聖女に栄光あれ!」
「えぇ……?」
ドン引きだ。神官様たちが大声で叫んでる。
何だこれ……? あれ、なんか、力、抜け、てきた……。
「聖女様!」
「お倒れになられた! 誰か!」
そんな慌てふためく神官様たちの声を聞きながら、私は初めての魔力解放に身体がついていけなくて、倒れてしまったのだった。