第3話 異種族だらけの学校
早朝、外は、寒く濃い霧がかかっている。鶏や牛のなく頃、シトナは、家畜の世話をしていた。
放牧している牛に牧草を与え糞を肥料にし鶏に餌を与える、この異世界に来て慣れた作業である。家畜の世話が終わると空は、明るくなっていた。周りは山や森に囲まれているいので、まだ完全に日が昇るまでには時間があり、シトナはさっき肥料にした物を今、畑仕事をしているはずのクルムに届けに行く。
クルムは昨日耕した畑で水を撒いていた。そのクルムにシトナは少し段差になっている丘のところから声をかける。
「おーい、肥料持ってきたぞ」
「あぁ、さんきゅシトナ」
クルムは、シトナの持っている肥料の入った大きな木のバケツを持ちシトナと畑のとなりにある倉庫に持っていった。
「毎度ありがとな」
「いいよ、なんてことなさ」
「そうそう、今日から学校始まるけどいつぐらいだっけ?」
「うーん日がもう少し出て来たらじゃないかな?学校の時間になったら鐘が鳴るけど」
「そっかぁ」
「なんでそんな残念そうなんだよ」
「少し寝れるかな?て思ってたけど無理そうだったから」
「あぁわかる俺も少し寝たいなぁ」
シトナとクルムが話しているとクルムの母フィーナがクルムを呼びに来た。
「クルムー、朝ごはん出来たわよぉ早く帰っておいで」
「はーい、じゃシトナ俺戻るは、また学校でな」
「あぁまた学校で」
そう言いクルムは急いで家に戻った。シトナも一息ついて、家に戻った。家にはシトナの母親ヘニアが朝ごはんのしたくをして待っていた。
「お帰りなさいシトナ」
「ただいま母さん」
「帰ってきてそうそうに悪いけどお父さん起こして来てくれる?」
「わかった」
シトナは、父親の寝ている寝室に向かう、父親の寝ている寝室は玄関にある階段を上がりすぐ右手側にある。シトナは寝室のドアを開ける。部屋は二人用のベッドが一つある。あとはクローゼットが正面の壁側にあり机も窓から外が見えるようにおいてある。
机には沢山なにかをメモした紙や鉱石、草、ポーション、調合台、すり鉢が置いてあった。
シトナは机の前にある窓のカーテンを開け光を入れる。もう日は登り明るくなっていた霧がまだ残って薄暗いところもある。
シトナはまだ布団でうずくまっている父親エジルの布団を取る。エジルは眩しそうに目をシュパシュパさせてゆっくりと起き上がる。
「ほら父さん起きて、母さんが朝ごはん作って待ってるよ」
「あぁうん起きた今起きたから」
「下で待ってるから早く降りてきてよ」
「あぁ分かった少し待っててくれ」
シトナはそう言いヘニアが待つ台所へ向かう、台所ではヘニアが皿に作った料理を並べている。それをシトナがテーブルに運ぶそこへまだ眠たそうにしているエジルが降りてきた。
「おはよ貴方、調子はどう?」
「あぁおはよ今日もすこぶる元気だよ、今日は警備の仕事もあるし朝ごはんを食べたらすぐに出るよ」
「わかったわ、お弁当用意して持っていきますね」
「おっと今日シトナも学校だろ一緒に行くか?」
「大丈夫、ルナとクルムがいるから」
「仲良いなぁお前ら、まぁいいことだけど」
「さぁ話はそこまで二人共今日早いんだから早く食べて準備していきなさい」
「「はーい」」
ヘニアがそう切り出しクルム達は席に着き朝食をとる。朝食がすみ食器のかたずけが済むとエジルは、ショートソードを腰の鞘にバックラーを片手に持ち背中には矢筒と弓矢を背をっている。あとは皮の鎧を着て完全武装モードになってる。シトナも肩から下げる皮のカバンに木で出来た物差しと木炭の鉛筆と教科書を入れ家を出る。ヘニアはエジルとシトナ頬に行ってらっしゃいのキスをして二人を見送った。外に出るとちょうどクルムが外でシトナのことを待っていた。
「おはよございますエジルさんそしてさっきぶりシトナ」
「おはよクルムくん」
「よっ、さっきぶりクルム」
「じゃシトナ父さんは先に仕事場に行って来るから」
「わかった、いってらっしゃい」
エジルは二人に気を使い村の門の近くにある高台へと向かった。
シトナとクルムはルナの住んでいる服屋に向かった。服屋につくとシトナが服屋のドアをノックする。そうして、しばらく待っていると店の扉が開く、中からは細身の肌白く髪の毛は白く雪のようで綺麗な赤い目をしていた、そしてなんとも特徴的な羊のようなツノを持った女性が現れた。彼女の名前はネアという魔族でルナの母親だ、そのルナの母親がシトナとクルムを見て微笑みかける。
「おはよシトナくんクルムくん」
「「おはようございます!」」
「元気でよろしい、ルナはまだ布団にくるまっているから中に入ってゆっくりしていてね」
「わかりました」
ネアが扉を開いて店の中にシトナとクルムを入れる。中には服や布、が沢山置いてある。店に入ってネアが会計台の奥にある扉を開いて中に入って行く、シトナとクルムもそれについていき、さらに奥に入ると普通のリビングになっていた。リビングにはテーブルがありそこに四つ椅子が並んであった。
「そこに座って待っていて今ルナを起こしてくるから、あとこれお茶ね」
「ありがとうございますネアさん」
「いいのよルナの友達だものこれからも仲良くしてやってね」
「「わかりました」」
ネアはお茶の入ったコップを二つシトナとクルムの前に置きキッチンの後ろにある階段を登る。それと入れ違いにルナの父親ヴァルトが階段から降りてきた、見た目はかなりごつく黒髪の単発で赤い目でヒゲが濃くかなり怖い系のおじさんだ、ヴァルトはシトナとクルムの親の冒険者仲間でエジルとバルドとよく酒を一緒に飲んでいる。
「よぉシト坊にクル坊、朝早くからすまんなぁうちの娘が」
「「おはようございますヴァルトさん」」
「いいんですよべつに急いでいるわけじゃないですし」
「そうかならいいが、あっそうだ今度てか、明日もくるよな?」
「まぁ多分ですが」
「だったらうちに来るとき正面じゃなく裏口からノック入ってくれて構わないからな正面はなにかと不便だろ、ネアにも言っとくからよ裏口はそこの階段のとなりにあるやつな」
「わかりました明日からそうします」
「あと今日からお前ら学校だろ?だったら毎朝うちの娘を起こしに来てくれねぇか?」
「はい、いいですけど」
「よかったうちの娘よく寝るのはいいが、寝すぎるから困っててな、シト坊かクル坊が起こしに来てくれると助かる、あんがとな」
「いえ いえ、そこは、ほら友達ですから」
そう話し込んでいると寝癖で髪の毛が凄く跳ねている眠たそうな顔をしたルナとそれを起こしに行ったネアが二階から降りてきた。ルナは寝ぼけているのかふらついて壁に頭をぶつけた。ルナはそのまましゃがみ込み、痛かったのか頭をさすっている。
「い、痛い」
「大丈夫かルナ」
シトナはルナに駆け寄りルナの頭をさするそれで、ルナが頭をぶつけて目を覚ましたのかシトナとクルムに気づき顔を赤くする。
「い、いたの?」
「うんいたよ結構前から」
「うぅいたんだったら先に言ってよ、お母さん」
「言いましたよぉ(シトナくん達がきてますよぉ)てっ」
「不覚、聴こえてい無かった」
そしてルナは急いで自分の部屋に戻り支度を済ませて急いで階段を降りてきた。寝癖もきちんと治っており、服装も寝間着の白いワンピース見たいのではなくエプロンドレスを着ていた。その姿を見たシトナは、の元居た世界のおとぎ話に出てくるアリスに見えた、それをシトナは少し可愛と不覚にも思ってしまった。
それから三人は学校へ向かった。 学校につくと周りには多種多様な見た目の魔族や獣人やエルフ達がいた。
校舎は長方形で横になっている、校舎は木でできているため、ところどころ木が腐っていたり、ツタが生えていた。校舎の前は訓練所になっていて田舎の学校にしては少し広く作られていた。
校舎に入ると靴箱は無く、すぐ目の前には職員室みたいな部屋があった他には理科室的な物や空き部屋、ものおき部屋などあるが片手で数えれるほどしか部屋が無かった。
校舎に入ってきた生徒はみんな同じ教室に入っていくそれにシトナ達も続いて教室へ入っていく。教室に入ると机と席がズラリと並んである。
シトナは思ったよりも席があったのでどの席に座ればいいか少しためらい気味になってしまった。そこへシトナ達を呼ぶ声が窓側の席の方からした。
「おーいシトナ、クルム、ルナ、こっちだ!」
声のした窓側の席の方に三人は振り向くと机に座った短パンで茶色気味の半袖を着た犬耳のワーウルフの少年がこちらに向いて手を振っている。犬耳は外側の方に垂れていて、ものすごく可愛い、その少年のとなりにもう一人こちらを見て呼んでいるいる少年がいた。
その子は肌が深い緑で豚に近い顔をしているゴブリンなのだが、どこか野生のゴブリンより可愛らしく知性的に見える。
ワーウルフの少年の名前はフィルウィン、ゴブリンの少年の方はテラムという。二人はシトナとクルムが出会ってすぐの頃に、仲良くなった友達で、ルナはその半年ぐらいにシトナ達に出会っている。たまにシトナ達ととなり村まで出かけに行く仲である。その二人はシトナの方に駆け寄ってくる。
「久しぶりだなシトナにクルムにルナ」
「あぁ久しぶりフィルウィン、テラム」
「元気した?風邪ひいてないよね?」
「大丈夫だよテラム、元気だよ」
「元気なら良かったよ」
「ルナは相変わらず眠そうだなぁ」
「今起きたばかりだし眠いよ、まだ」
「そっか、あぁそうだまだ席決まってないなら俺達のとなりに座れよ」
「おぉそれは助かるありがと、どこ座っていいかわからなかったんだよ」
「実際席はどこでも座っていいからフィルウィンの隣じゃ無くてもいいけどね」
「あぁ、ひっどテラムおまぇ」
「ごめん、ごめん冗談だよ」
そんな軽いやり取りをしてから五人は席に着く一番目の窓側の席にフィルウィンが座りそのとなりに、テラムが座り、フィルウィンの後ろに、シトナが座りその隣に、クルムが座る。
ルナはルナで周りの女の子と一緒に席を並べて座っている。ルナが周りに溶け込めているようで四人はなんとか安心している。
「ルナのやつなんとか周りの女子と仲良くやってるみたいだなシトナ」
「うんそこが一番心配だったけど何とかなったなフィルウィン」
「「うんうん」」
四人は親の気持ちを少し理解するのであった。それから少し時間が経つと教室の扉が開いた。開いた扉から先生らしき男と村の村長兼、校長が教室に入ってきた。村長は、見た目はかなり若く10歳くらいに見える。しかもショタ受けが良さそうにも見える。だが実年齢は1000歳を軽く超えている爺ちゃんなのである。
種族は上位魔族でもう一人隣にいる先生らしき男は、見た目からしてオオカミの獣人の男性であるかとが分かる。灰色の毛並みに鋭い爪、鋭く尖った牙、片耳だけが少し欠けている。雰囲気はかなり穏やかそうで優しい目をしていた。
村長が教卓の前に立つと、子供のような元気な声で話をし始めた。
「えぇ、今日から学校が始まりました君たちはここで沢山の事を学び将来のために活かしていただきたい、学校では基本的に歴史、体育、算数、国語をやっていきます。
どれも人生にとっては必要なものですのでしっかり真面目に取り組むように。あとわしここの校長じゃけど基本的にここにいないから、そこんとこよろしく」
最後だけなぜか軽口で、皆「なぜ最後だけ軽口?」となっていた、隣にいた獣人の先生はやれやれと言わんばかりに校長を見ている。そしてその獣人族の先生は村長と入れ替わりに教卓の前に立ち丁寧な口調で話し始める。
「今日から僕が君たちの担任のジフニというこれから3年間よろしく、そしてみんな分かっていると思うが一クラスしかないのでクラス替えはないよ、だからみんな仲良くする様にね!
あと僕が担当する教科は算数だよ、それじゃ自己紹介も終わったし授業を始めようか、一時間目は歴史だからまた違う先生がくるのでそれまでに教科書とノートを用意しておく様に」
クラスの生徒全員が返事をする。ジフニと村長が教室を出て行った後に、生徒達は歴史の教科の準備をし先生がむ来るまでの間、各々が友達と雑談をしていた。もちろんシトナ達も他愛もない会話をしていた。
「村長以外とちっちゃいと言うかものすごく同い年に見えたなクルム」
「あぁそうだな、そんなことよりよぉフィルウィンさっきから何ジロジロと女子の方を見てんだよ」
「ん?、あぁ、それな、見ろよあそこにスゲー可愛い子が居んだよ」
「マジか!どれどれ、おっうーん中々」
二人が見ている先をシトナとテラムも見るとルナの隣に狐耳でフサフサの尻尾が生えた獣人族の女の子を見つける。基本的には黄金色の髪と耳、二つに分かれた尻尾が目立ち、ルナと楽しそうに話しをている仕草がとてもおしとやかで魅力的であった。
「ルナもいいけど表情が豊かなあの狐の子も良くないか?クルム」
「あぁ確かにそうだなフィルウィンお前の言うとうりだ、だがな他にも沢山可愛い子がいるぞ」
「な、なんだとクルムどこだ!」
それを見ていたシトナとテラムは、もう呆れた顔で二人を見ている。それに気付かずにまだ女の子を探し続ける。クルムとフィルウィン、シトナとテラムは少し恥ずかしくなり二人から距離を置いた。
それから数分が経ちシトナ達が雑談をしていると鐘が鳴った。
すると教室のドアが開いた。
そこから下半身が蛇で上半身が人間の姿をした女性が現れた。ラミアという種族でこの村ではかなり美人だと評判の一人である。
名前はエルミといって、体格も良く顔立ちもしっかりとしており性格も真面目と来ている。周りの男達から求婚を求められる事もザラではない、エルミが教卓の前に立ち自己紹介をし、自己紹介が終わり授業に入る時クラスの皆は静かにエルミの授業を聞いてノートに話の内容を書き写していた。
「えぇではまず始めに、種族の違いからいきましょう、まず魔族とはからいきます。魔族は魔物が膨大な魔力を得て進化した存在です。例えばゴブリンがいたとします。そのゴブリンが何かしらの影響で魔力の量が飛躍的に上がるとまず知力、体力、精神面での進化があります。そしてほかのゴブリンとは違い知性的で、むやみやたらに誰かを襲ったりする事が無くなります。
このクラスに何人かいるゴブリンの子達がその例です。あとは上位魔族ですが基本的には他より身体的能力的に優れている物の事を言います、それと魔族の見た目は個々それぞれなので色んな見た目の魔族がいます。わかりましたか?」
「「「はーい」」」
「では次に魔族と人族の関係です、基本的は人族と魔族は仲が悪いですがそれでも仲良くやっているところは沢山あるので、いいか悪いかは一言ではいいずらいです。
ですが皆さん人族には気よつけてください中には魔族に良くない考えを持った人族の方たちもいるので、それと人族と魔族の戦争ですがある所はありますがそこまでは多くないのですよ」
そこからは、地図の見方やどこにどう言った国があるのかなどの授業していた。沢山の質問などもあったがエルミはその質問に対し丁寧に答えていった。しばらくして授業の終わりの鐘がなる。生徒たちは教材を片付け始める。
「では今日の授業はここまで次回は魔王様について話していきます。次は体育なので全員外のグラウンドに集まる様に」
「「「はーい」」」
エルミが言ったとうりに生徒達は着替えてグラウンドに集まった。グラウンドには二本ツノの生えた筋骨隆々で赤い肌のオーガの亜種に当たる魔族だ。名前をクルウスという見た目はさっき言ったとうりに鬼の様で少し牙が見えている。
クルウィスは生徒達に明るく軽い感じで自己紹介をして、授業を始めた。
「俺の名はクルウスこの村一番の力もちで魔法も使える、この村一番の最強だよろしく、よし、お前らはこれから体術や基礎訓練、組手や武器を使った軽い試合をしてもらう。
あと魔法も使ってもらうからなそこら辺理解したか?それから怪我をしたやつらは俺のところに来い治してやるから以上、返事は?」
「「「はい!」」」
「よろし、ではまず手始めにお前らの実力を見たい、だから俺が名前を呼んだらグラウンドの中央に立て、それからお互いに少し離れて俺が合図をしたら試合開始だわかったな、それから一対一で軽い試合をしてもらう。
時間はたっぷりあるから良い試合にする様に、武器は木で出来た色んな武器があるから自由に取れまずは男子からだその次に女子だ、あと武器は魔法で本物に近い重さや硬さにしてあるからよーく考えて使えよ、それと試合を見てる奴は応援でもしてやれわかったな?」
「「「はい!」」」
それからクルウスは手に持っていた木の板を見て名前を呼び始める。名前を呼ばれた生徒はクルウスのとなりにある山の様に適当に積まれた木の武器の中から好きな武器を取って試合を始めた。
最初は狐耳の獣人の子と肌が灰色で黒髪の魔族の子がなかなかにいい試合をしていたので男達は気合が入る。その後の試合の何戦かも燃える試合であった。
しばらくしてクルムとテラムの名前が呼ばれた、クルムは木のバックラー に、ショートソードを持ちグラウンドの真ん中から少し離れた場所に立つ、テラムは、ショートソードを両手に二つ持ち双剣スタイルで行くつもりみたいだ。
普通はチートスキル持つクルムには勝てないだろうがクルムはチートスキルには頼らずに自分の力だけで行くつもりの様だ。けしてなめているわけでなく、いたって真面目なのがシトナにも伝わってきた。二人とも位置につくとそれを確認したクルウスは合図を出す。
「では今からクルム対テラムの試合を始める、では始め!!」
そのかけ声と共に二人は一直線に走っていく先制攻撃を仕掛けたのはテラムだった。
テラムは低い姿勢でクルムの足元から攻めて行く、クルムはその攻撃をバックラーでことごとく防いで行くテラムもスピードでは他の生徒とは比べものにならないので、そのスピードでクルムをかき乱して行く、クルムも防ぐには防いでいるが手数が多く中々攻め切れていない、攻撃をしても素早い動きでそれを全て躱して行く、しばらくしてテラムの動きが悪くなって来た。そこをクルムは見逃さずテラムが一息入れるタイミングを狙ってシールドバッシュを決める。
テラムはそれを避ける事が出来ずにもろに喰らってしまった。それでもテラムはひるまずに、距離をとるそこからクルムに向けて飛びかかり二本のショートソード(木刀)×2で斬りつけるそれをクルムはバックラーで防ぐが左から蹴りが飛んできた、それを避けることができずに顔に食らう。お互いに長い時間をかけ一撃を入れる。
周りからは応援や(おー)と言う歓声が聞こえて来る。そしてクルムは息を整えるとバックラーを捨てショートソードを両手に持つ、テラムはショートソード(木刀)×2を構え直したお互いこれで終わらせる勢いだ。クルムがテラムに一直線に向かって行くクルムのショートソードがテラムの横腹をとらえたと同時にクルムにもテラムのショートソードがクルムの横腹をとらえた。
相打ちの状態になるクルムとテラムはお互いにその場に倒れ横腹を抑えている。クルウスがその状態を見てこれ以上戦闘が出来ないと判断した。
「双方やめ!この試合は引き分けとする」
「「痛ったぁぁぁぁぁ」」
「何やってんだ二人とも」
「いや行けると思ったんだよ」
「俺も同じく」
「馬鹿だな二人とも俺ならあれはないな」
「ウルフィンお前そう言うなら次やってみろ」
「いいだろうやってやるよ、俺が活躍するところを見とけ」
「「「あぁ見とくよ、お前が自滅するところを!!」」」
「お前らなぁ、ひどくないか?」
四人は笑いほうけていると次の試合の生徒が発表された。
「次は、シトナとウルフィン前に出てこい」
「はーい」
「はい」
「二人とも頑張れよ」
「ウルフィン自滅はするなよぉ」
「うるせぇするかよそんなもん」
「じゃ行って来るよテラム、クルム」
「「いてらっ」」
シトナとウルフィンは得物をそれぞれ手に持ちどの武器が自分に合うかを素振りで試す。
先に武器が決まったウルフィンは(大木剣)ツヴァイヘンダーと言う両手持ちの大剣を持ち、グラウンドに立つシトナは(木斧)ハルバードと言う斧槍を両手に持つ、それを軽く振ってから頷きウルフィンの正面に立つ。クルウスが二人がちょうどいい距離に離れたことを確認し、試合を開始する。
「それではシトナ対ウルフィンの模擬戦を行う、では始め!!」
その掛け声と同時にウルフィンがシトナに向かって突進をして行く、そしてシトナに向けてウルフィンがツヴァイヘンダーを振り下ろす。それをシトナはハルバードで受け止める。ウルフィンは獣人なだけあって重い一撃がシトナにのしかかる。シトナもこのままではヤバいと感じ距離をとる。シトナは、一息ついて、ウルフィンの横腹を目掛けてハルバードを振る。
それをウルフィンはたやすく避けるが、シトナはそれだけでは攻撃の手をやめずにウルフィンに向かってハルバードを振り続ける。ウルフィンも負けじとツヴァイヘンダーをシトナに向けるがシトナのほうが手数が多く押されてしまうだが、そこからウルフィンはシトナの振り下ろしたハルバードを斬り返し、隙のできたシトナの横腹目掛けてツヴァイヘンダーを横になぎ払う。しかしシトナは即座に後ろに飛びウルフィンの攻撃を避ける。
しばらくお互いが間を開け、今度はシトナから仕掛けに行った。シトナはウルフィンのツヴァイヘンダーに向けてハルバードを振り上げウルフィンの手から吹き飛ばし、倒れたウルフィンにハルバードを向ける。そこでクルウスが試合の終わりを告げる。
「そこまで、この勝負シトナの勝ちとする」
シトナは目の前に倒れているウルフィンに手を差し伸べる。ウルフィンはその手を笑顔で取る。
「大丈夫か?」
「あぁ、なんともない、けっこういい試合だったぜ」
「あぁ楽しかったよ」
「お疲れぇ二人ともよかったよ」
「おぉテラム、あれクルムはどうした?」
「シトナの後ろにいるよ」
テラムはシトナの後ろに指をさした。シトナが振りかえるとクルムがニヤケ顔で立っていた。
「わっ!」
「おっ!と、びっくりしたな?」
「びっくりさせてんだよ、いや?よかったよウルフィンにシトナ」
「良かったろ、これで女子たちは俺にメロメロだな!」
「ないな」
「ないね」
「ないよな」
「お前らなぁなんだその、ないの三段活用あとちょっとくらい期待したっていいだろ」
「えーだってウルフィン負けたじゃん、シトナに」
「うぐっ、だけどいい試合しただろ」
「確かにね、いい試合ではあったけど、どっちかと言うとシトナが目立ってたかな」
「くっそぉ今度は負けねえからなシトナ!」
「おぉ、いつでも来い!」
そこから他の生徒の試合が続いた。しばらくして全ての生徒の試合が終わった。クルウスが生徒たちを整列させる。
「よーしこれで今日の授業は終わりだ、みんなお疲れ、だいたいの皆の実力はわかったこれからは本格的に魔法や戦闘訓練に入る、わかったか?」
「「「はい!」」」
「よろしい、今日の授業はここまでみんな帰る準備をして寄り道せずに家に帰るように」
クルウスが解散を言い渡し、それから生徒達は帰る支度を済ませてそれぞれ帰って行く、シトナとウルフィンとテラムとクルムが楽しそうに今日のことを話しているとシトナの背後から声がした。
「シトナ?」
「わっ!びっくりさせるなよ、ルナ」
「ごめん、それで今何してるの?」
「会議をしていたところさ.....」
ウルフィンがルナの質問に答えてルナの方に振り向く、そこでウルフィンが固まってしまった。その固まったウルフィンを見たテラムとクルムがルナの方を見ると、ルナの後ろから二本の狐の尻尾と耳が見えた。その狐の尻尾と耳の持ち主がルナの後ろからヒョイと出てくる。見た目は、髪や耳、尻尾が綺麗な黄金色で、背はルナと同じぐらいで、明るい子だ。
「どうもはじめまして四人さん私はアベリアと言います、ルナちゃんの友達です、よろしくです」
「う、うんよろしく俺はシトナでそこで固まってるのがウルフィン」
「僕はテラム」
「俺はクルムだ」
「はい、よろしくです」
シトナは固まって動かないウルフィンを叩きお越し正気に戻した。それから今までの五人に一人加え楽しく皆で家に帰って行った。シトナが家の玄関を開けると美味しそうな匂いがした。
「ただいまぁ」
シトナがそう言うと台所の方からヘニアが出てきた。
「お帰りシトナ、お父さんもう帰って来てるよ」
「うんわかった」
「今晩のご飯はお肉よ、もうそろそろ出来るからお父さん呼んできて」
「よっしゃわかった」
シトナはエジルを呼び、家族全員で焼肉パーティーをした。異世界に来ての焼肉は前の世界より劣るものの、思いのほか美味しかったので沢山食べてお腹がいっぱいで動けなくなっていた。しばらく休憩をして、自部の部屋に戻り日課の魔法で今回は風魔法で武器の形にしてとどめる勉強をして眠りについた。
目をつぶってからしばらくしていつもと違う感覚にシトナは気付く。目を開けると周りは真っ白な空間で何も無いシトナが周りを見渡していると目の前に、モジャモジャの白い髭の生えた老人がいた。
「えっ、ここどこっえ?うーん?」
「ふぉふぉ、主今混乱しておるの、安心せいここは主の精神世界じゃ、わしの与えたギフト、『神との通話』での能力じゃ」
「えっえっ?わけがわからん、えっとじゃ貴方は神様?」
「そのとうりじゃ、わしはお前さんの知るファルナの知り合いじゃよ」
「ファルナの!?」
「あぁそうじゃ」
「ファルナは今元気ですか!?」
「あぁ元気じゃとも」
「良かった、それで貴方はなぜここに?」
「暇つぶしじゃ」
「暇つぶし....ですか」
「まぁそういじけるでない、お主の顔を見ておきたかったのもまた事実、まぁ長くお主と話しているとファルナが拗ねるのでな、わしはこれで、また会おうぞシトナ」
老人はそう言い残して消えていった。
「何だったんだあの爺さん」
シトナは考えるのがめんどくさくなったので寝る事にした。
おまけ
ピンク色や白色が混ざった部屋で一人の女性がベッドの上でクッションを抱えて転げ回っていた。
「ああああぁぁぁ、シトナと早く会いたいですぅぅ」
そこへノックをする音が聞こえた。それに対し女性は乱れていた精神を整え返事をする。
「はい...」
「ファルナ様これからお仕事の時間ですので呼びに参りました。」
「わかりました今支度をして行きますので先に行っていて下さい」
「わかりましたではデスクでお待ちしております」
(シトナ、私もいつか貴方とえるまで頑張りますから!)
続く
どうも冬馬です今回も異世界冒険記を呼んでいただきありがとうございます。不定期ではありますがまた読んでいただけるとありがたいです。今回は少し急ぎ目で作りましたので内容があまりまとまっていませんが楽しく読んでいただけると幸いです。最近は他のシリーズをこっそり作ってたりもするのでいつかそちらの方も出したいと思います。最後まで読んでいただけて幸いです。また見たください。




