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天魔と紡ぐ契約総譜  作者: 具沢山味噌汁
一章〜転校生と時々テロチラリズム〜
3/3

第2話「幼馴染み+悪友と登校」

「…はぁ」


 朝から散々な目に遭い溜め息を出しながら見慣れた道を歩き学園に向かう。

道中どうすればあの純粋な変態の塊である姉を改心出来るか考えると更に深い溜め息を出す。


「はぁ……」


「おっはよっ!!」


 背後から急に声をかけられて焦って振り向くと幼馴染みの彩花(あやか)の姿が見えた。


「彩花か、びっくりした」


「びっくりしたって、さっきから声かけてたよ?」


「…マジか、悪りぃ気付いて無かった」


 朝の出来事で頭を悩ませていたせいか呼びかけられた事に本当に気付いて素直に謝る


「気付いて無かったって…それよりも綉、顔色酷いよ?なんかあったの?」


 よっぽど酷かったのだろう彩花は心配そうに聞いてきたので事の顛末、朝の出来事を話す。


「――って言う事があったんだよ」


「…あ、相変わらずね」


 聞いた彩花ですら苦笑いを浮かべ若干引いている。


「本当に姉さんには困ったもんだよ……」


「まぁ、仲が良いのは良い事なんじゃない?」


「いや、限度があるだろ……」


「あ、そんな事より」


 話題を切り変え始める彩花にそんな事で済ますなよと内心思う綉である。


「その…今日、久しぶりにお昼一緒に食べない?」


「珍しいな」


「今日はお昼、部活の集まりが無い日だから」


「そうか…」


「ね?いいでしょ?」


「………」


 彩花はこちらの顔を覗き込む様に尋ね同意を求めてくる。

 だが現在、自分にとって学園はストレスと退屈しかない場所であり、それを忘れるべくここ最近は人が多い教室より誰も来ない立入禁止の屋上で一人でゆっくり寛いで昼食を摂るのがマイブームである。


「…いや、一人で――」


 一人で食べると答えようとして立ち止まり彩花を見ると彼女は上目遣いでこちらを見つめてくる。

彼女の顔が近い事もあり照れてしまい少したじろぐ。


「あー…」


「…………」


 何か言おうとするが彼女は更に顔を近づけ無言で見続けてくる。


「…分かった」


 折れるのが早かった自分が観念した様に言うと、その言葉を聞いた当の彼女は満面な笑顔になる。


「やった!」


「それはそうと、顔が近い」


 とりあえず幼馴染みとは言え美少女の顔が近いと照れるので離れて欲しいと思い言ってやると彼女も無意識だったのだろうか急に顔を赤くし、ようやく自分がしでかした事を認識する。


「――――っ!」


 たじろぎながら急ぎ離れる。

彩花自体がフレンドリーな感じで男女問わず人と接しているので学園の人気者であり学園の連中が見たらこんなシチュエーションは他人から誤解物だ。


「お前も少しスキンシップが過ぎているぞ…」


「うっ…………」


「それに学園の連中に今の見られたら勘違いなんて事もあるかもしれないのだから気を付けろよ」


「えー、それは別に良いんじゃ無い?」


「良くは無いだろ…」


 俺は呆れたように言う。


「ところで綉は今の…ドキドキした?」


 悪戯っぽく綉に問いかける彩花にしましたと答えるのも癪なので照れ隠しに冷たく答える。


「しねぇーよバーカ」


「えーなんでよー?」


「誰にでもしてそうな事でお前に勘違いする事なんて絶対無い」


 照れ隠しにそう言うと手提げ鞄を背に学校に向かって歩き出す。

言われた彩花は、と言うと歩き出した綉の背中を見つめ拗ねるように頬を膨らます。

ボソッとあんな事、他の誰にもしないよと呟き綉を追いかけるのである。


「てか、気になったんだけど…」


綉が彩花に問いかける。


「どうしたの?」


「いや、最近また目と髪が色濃くなってるな」


「……凄いね、最近微妙に色濃くなってるのは知ってたけどやっぱり分かる?」


「長年伊達に幼馴染みやってるからな」


 そう言うと彼女の横顔をちらりと見る。

彼女はもとは黒髪、こげ茶色の目だったが彼女が家系の職…巫女を継いでから日が経つにつれて緩やかにだが髪と目共に色が緋色になっているのである。


「まぁ、こればっかりは仕方無いかな〜先代のお母さんもそうだったし紅月家の特有だからね。それに皆んな理解してくれてるから特段困る事も無いしね〜」


 特に困った事など無い様に答える彩花。


「まぁ、人気者だしな」


「それとは関係ないし、別に人気者だと思った事もないよ」


「まぁ、俺も彩花のその髪の色とか嫌いでは無いけどな綺麗な色してるし」


 その言葉を聞いた彩花はまた顔を赤くする。


「そう…言われると少し恥ずかしいね」


「そうゆうものなのか?」


「そうゆうものなのです♪」


 嬉しかったのか笑顔で答える彼女は内心ガッツポーズである。


「朝からお熱いこって、お二人さん」


 背後から声をかけられ二人が振り返ると声の主は友人の悠真(ゆうま)でありニヤニヤしながらこちらを見て挨拶を交わしてくる。


「二人ともおはよーさん」


「おはよう悠真」


「悠真おっはよー」


 二人も悠真を見上げて挨拶を交わしていつもの三人で道中、悠真に茶化されながら学園に向かうのである。


「そういや知ってるか?」


 急に二人に問いかける悠真に首を傾げる綉と彩花。


「いやな、昨日教職員室で盗ち……間違えた仕入れた情報だと今日転校生が来るらしいぜ」


 不穏当な発言が聞こえかけたが突っ込んでもロクな事にはならない気がした綉はスルーして相槌だけかえす。


「そうなんか」


 興味無さげにそっけなく返されたせいか悠真はえ、それだけ?他に何かあるだろ!?と叫ぶが無視する。


「また、悠真は…次本当に先生にバレたら怒られるよ?…でもこの時期に転校生って気になるよね」


 悠真を注意しつつ転校生の話に食い付いた興味津々な彩花である。


「でしょ?でしょ?やっぱり彩花は分かってるな!」


 食い付かれて嬉しがるお調子者。

こんな調子で毎日登下校は飽きる事が無い時間を過ごしていく。

 

 この時の俺は知る由も無い。

 この後出会う事になるその転校生と共にこれから先の自分の運命(人生)を変える事になるとは…。


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