第1章 これがこの世界
異世界での1番の敵は魔物である。それならまだ良かった。
「ファッ!」グサッ
「ヌァグッ?!」
左横腹の鎧の隙間にナイフを刺す。残り13人
「12人でよろしくお願いします」
田辺も捌いたらしい。
異世界での敵、というよりも他の世界でも確信を持って言えるが人間が1番の人間の敵である。
「ウラァァァァ」ブォン
「クソ卑怯者め」
アリルが背後から剣を振ってきた。なんとか左に身を捩って避けた。
「田辺ぇっ!雑魚を頼む!アリルは任せろっ!」
「はいっ!」
この兵士らは頭がいい。特撮とか戦隊モノみたいに一人ずつで来ない。4〜5人が一斉に突っ込んでくる。一人を突き飛ばしたら別の奴が補充で来る。厄介だな。
「ヌァァァッ」ブィン
「大根切りかよっ」
左前にに避けて一気に間合いを詰める。アリルは多分弱い。
「フッ」グシャ
「…ガハッ」
横腹は最大の弱点だな。にしても呆気なかった…
「ハァッ」ズオン
ナイフじゃキリがない。4人相手はキツいなぁ。
…さすまた使えるんじゃね!!はよ端末出さねば!
「オイコラァァ」ブォン
「あぶねーよこの野郎!ちょっと待ってろっ!」
「待つわけねーだろ馬鹿野郎!」ブォン
さすまたを使えれば多分関さんの時間は稼げる
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ヌフフフ…
「何笑ってんだよ…」
「…」ニヤリ「俺の勝ちだぁ」
シュパァン 「お、おいなんだそれ!」
爽やかな音と共に手元にシルバーのさすまたが現れる。そらビビるわ。
「行くぞ馬鹿野郎…ウリャァァァァ」
「うわー…さすまたで戦国無双してるわ」
ちょっと離れた場所で田辺が無双しているのを見物する。いや、違うんだ。アリルの手当てをしていたらたまたま目に入ってだな…
「おい…貴様…」
「お前医者に向かって貴様って言っちゃうんだ」
「おい…医者…」お利口かよ。
「なんだよ」
「なんで…手当てなんぞをするんだ…敵だぞ」
「安心しろ。本気で助けるつもりでしてないさ」
「…はぁ?」
「ちとばかりここには世話になるからな」
「…ちょっと待てっ!」ビシッ
「ぐあ…」
「急に起き上がるから傷口が開いたじゃねーか…」
「せ、世話になるとは…ここに住むつもりか!?」
「え、チガウノ?」
「馬鹿野郎!俺だって坊ちゃんだがな一様英雄扱いなんだよ!それをお前は切ってるんだよ?!」
「だから手当てしてんだよ」
「…うちに来い」
「は?」
「うち来いと言ってるんだ」
「な、何を言って」
「隊長」
「「なんだ」」
「田辺です」
「あ…//」
「馬鹿め。で、どうし…た?」
田辺の背後に無数の倒れた兵士。タコ殴りしたんだな…。
「…アリル。先に兵士を手当てしてくる。ちょっと待ってろ」
「あ、あぁ…」
こいつらは化け物だ。
「ちょっと待ってろ」
「あ、あぁ…」
15人だ。15人が2人にやられてるんだ。たまったもんじゃない。でも、2人を味方に出来れば、絶対に勝てる。
リヒテンブルクに。