第1章 解せぬ。
「うっはぁうっはぁうっはぁっ…」
「田辺っ!何してる!さっさと走れっ!!」
「オイコラァ!とまれぇーっ!」
追われてます。助けてください。
5分前…
「門番は黙らせたし、さっさとずらかるか」
「そうっすね」スタコラサッサ
俺たちは壁の門を小走りで離れ大通りを左に逸れて小道に向かおうとした。
「貴様ラァァっ!ぶっ殺してやららァァァァっ!」
「「え…」」
どうやら一部始終を見たのだろう。8人ほどの鎧の兵士が怒鳴り声を上げながらこちらに突っ込んできた。
「あかん逃げたれっ!」スタッ
「ちょ!待ってくださいって?!」
そんなの聞いてない。そもそも見てたんならその時来ればよかったじゃないか!
「大して今と状況変わらないじゃないですか!」
そうかそうか。
「田辺っ!」
「はいっ!?」
「心の声に突っ込まなくていいぞ!」
「はいっ!」
で今に至るわけだ。もうかれこれ5分ぶっ通しで走ってるんだ足がマジンガーZしそうだ。しかもハッピーセットですよと言わんばかりに兵士が15人に増えてやがるく○ったれがふ○っく。
「言葉が汚いですよ」
「おい」
「はい…」
さらに兵士に媚びを売りたいであろうそこらへんの市民が投石やら横から突っ込んで来るんだなんでだよ。
「言葉が汚な…」
「おい」
「うっす」
「田辺ぇ」
「はい?、、」
「このままじゃラチが開かない」
「ですね。ハァハァ…」
「15人くらいやれるか?」
「やってみます」
「よし決まった」
一気に体を180度に捻る。それと同時に腰のナイフを鞘から右手で逆手に抜き出す。そのまま二人が真ん中の兵士に刃を向けて一気に突っ込む。戦いは所詮数で大抵決まる。もしも全体の数が負けるのであれば部分的に数を集めて1点ずつ1点ずつ潰せばいいだけだ。
「ぬぉっ!」
鎧に刃が通らないのは百も承知。だから左手で首を掴んで投げ飛ばした。
「クハァッ…ハァッハァッ…」
息が苦しそうだ。こいつは気にせんでもいいな。
「次はどいつだこの野郎」
「くそったれ。潰してやるァァァァ!」
残りの14人が一斉に剣を抜いて突っ込んでくる。
やむ得ないか。殺すしか…
「待て」
くそったれ増援か。そう思い後ろを向いた。
「…あ」
見たことあるぞ激しく既視感があるぞ。なんかグレネードでゾンビもどき血祭りにあげた後に兵士が来てなんか一人金ピカの鎧居るな思ってたら部下みたいなやつから「アリル殿」て呼ばれてたアイツだ!
「散々手間をかけさせた上に恥じまでかかせたな…」
キレてんな。
「その上部下にも手を出すとは…舐められたものだ」
「知らんな」
知ってるよ。門番にSMプレイさせるわ、市民の前で部下呼吸困難にさせるわ、そりゃキレるわ。
「ほう知らんのか。…く…おいっ!皆の者聞けっ!」
いきなり市民に向かってアリルが叫び出した。
「この反逆者を!…これよりこのアリル・シーナが公開処刑するっ!」
「やっちまえぇ!」「アリル様ぁ!」
市民から盛大な応援が飛ぶ。どアウェイだな。
「覚悟しろっ…この反逆者ァァ!」