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第1章 未知

あれから5〜6時間は走っただろうか。川の下流に行けば人一人くらいは会えると思ったんだが…。

「まいったなぁ…」

「関さぁん交代しましょうよ〜…」

「5分前に交代しただろ…」

確かに銃座は楽しかった。最初の3分くらいわな。

「あ、ガソリン無ぇわ…」

燃料計はemptyを振り切っていた。

「まぁ、emptyでも100kmは走るだ…」

止まってしまった。

「…」

「僕が燃料買いますよ…」

「ありがとうございます…」

[100ポイント消費しました]

「ういしょっと」

田辺がポリ缶を抱えて給油口から燃料を補充している。燃料はその車両に合わせて満タン分帰るらしい。便利だな。

気づけば日が暮れていた。

「田辺、どうする?まだ動くか?」

「関さんに任せますよ。上官なんだし」

「分かった。今日はここで車中泊するか」

端末から糧食をたんまり買った

[1000ポイント消費しました]

缶詰の赤飯に缶詰の焼き鳥、缶詰のフルーツ、缶詰の…缶詰ばかりじゃないか。

「仕方ないじゃないですか」

「なんで俺の心の声聞こえてんだよ」

「三年も一緒ですよ?!それぐらい聞こえますよ//」

なに頬を赤くしてんだよ。



「ごちそうさん」

案外腹に溜まった。

「田辺、先に寝ろ」

「関さんはどうされるんですか」

「銃座から見張る。何かあったら肩蹴るから後部座席で寝てくれ」

「頼もしいですね。じゃお先に寝ます」

「2時間後に交代な」

「うーっす」グゴォォォォォ

イビキが地鳴りじゃないか…ん…?

「田辺っ」ガッ

「痛っ!どうしました?」

「4時方向。動いた」

「了解」

俺はM2に、田辺は89式に弾薬を装填する。

「着剣しときます」

白兵戦に備えて田辺は銃剣を着けた。

「…っ?!」

だんだんと人型の影が近づきながら増えていく。

「グァァァァっ!」

雄叫びを上げからが影が走り出した。

「射撃開始っ!」

一心不乱にM2を撃つ。薬莢が落ちる音が心地良くも感じる。田辺は車両から降り、射撃を始めている。

「リロードっ!」

M2は確かに強力だが装填する時間がどうしても長くなる。

「くっ…」

「無限湧きかよ!クソッタレっ」

バタバタのなぎ倒される人影の後ろからゾクゾクと人影が湧いてくる。

「田辺!銃座に乗れっ!ずらかるぞ」

「はいっ!」

急いで運転席に乗ると入れ違いに田辺が銃座に向かう。

「ウラァァァァっ!」

田辺が射撃し出した。破裂音がするたびに車両が小刻みに揺れる。

「出すぞっ!」

エンジンを雑にかけると全開でその場を後にした。

「…奴らが魔物か」

「魔物というかゾンビじゃないすか!」

「とりあえず走れるだけ走るぞ」

ひたすら車両を飛ばす。

「ふぅ…ん?関さん前っ!」

「ん?…お、…なんだあれ!」

3〜400mくらい先だろうか。目の前を覆う灰色の壁が見えた。

「あ…おい!根元に明かりが見えるぞ!」

「本当だ…」

やっと人に会える…でも安心出来なかった。

「いや待てゾンビはどうなった田辺…」

「ん…っ?!6時方向から距離…200mから追って来てます!」

このまま壁まで行けば確かに人もいるし戦闘も有利になるかもしれない…でもそれは俺たち以外に犠牲者が出ることを意味する。

「…クソッタレが。田辺!ここでケリつけるぞ!」

「了解!お供しますよ」

「リボルビングランチャー使うぞ!」

「はいっ!」

[1500ポイント消費しました]

南アフリカ製の6連発のグレネードランチャー。総弾数は24発。これで粉々にしてやる。

「オラァっ!」ポッポッポッポッポッポッ

軽い破裂音を立てながら榴弾が宙を舞う。

カツッと榴弾が地面に打ち当たり跳ね返る。

2秒しない内に爆発音がこれでもかと鳴り響く。

「リロードっ」

まだやめない。仕留めなければまた現れるだろう。俺たちの前ではなく、無力な人の前に。

ポッポッポッポッポッポッ

無我夢中で撃ち続ける。罪悪感は一切無かった。



気づけば日が昇り出していた。つい5分前まで榴弾を乱射していたのだ。明るくなれば、目の前の惨状が浮き彫りになる。地面はガタガタにへこみ、木はへし折れ、手やら足やらが散乱し、当たりを黒く、赤く染め上げていた。

「ひどいな…」

「誰が犯人ですかねぇ…」

「知らんな…」

壁の方からはチャリンチャリンとベルが鳴っていた。おまけに叫び声やら大勢が走ってくる足音も聞こえる。

「まずいな。車両やら仕舞うか」

端末を取り出してハンヴィーと小銃、チョッキ

にヘルメットを端末に仕舞った。拳銃とナイフは流石に手放せない。

「知らんぷりでやり過ごそうか…」

「絶対無理っすよ」

「じゃあどうするんだ」

「死んだフリ…」

「相手は熊じゃねぇんだよ。人だよ人!」

「俺に聞かんでくださいよっ!」

うーん…あ!

「閃いた」

「なんですか!」

「気づかれんように人だかりの横を通って壁の中に入っちまえ」

「ゴリ押しやないすか…」



「なんだこれは…」

「アリル殿…これは…」

コソコソ

「すぐに周辺を探せっ!くまなくだ!」

「「「ハッ」」」

コソコソ

「関さん…鎧の奴らがすげぇ勢いでこっち来てますよ…」

「…」

「…関さん…?」

「死んだフリだ…」

(嘘やん…)

「こんな時に冗談よしてください!」

「ホンキだ…」

「は、は…」



「案外どうにかなりましたね」

「だろォ?」

迷彩の効果は高いものでぱっと見では本当に分からなかったらしい。こっちを2度見した奴も居たが…

「おっ!門番もいねぇぞ!」

「ついてますね」

「でわでわお邪魔しまー」

「おい」

「「は」」

浮かれすぎた。真横の小部屋にしっかり鎧の門番が居た…

「貴様ら!どこから来た!?イスタールのスパイか?!」

なんでこいつの言葉が分かるんだろ。そんなこと気にしてる場合じゃない。

「あー…」スチャ

「クフっ?!」

急いでナイフを腰から抜くと一気に間合いを近づけて背後を取り首を締めてナイフを向けた。

「見逃せ。でないと殺す」

田辺は拳銃を門番に向けていた。見たところ門番は腰に下げた剣以外武器はないらしい。

「わ、分かった見逃してやる!は、離せっ!」

「ありがとうな。ただ…それだけじゃ保証が無いよな」

「え…」



「ムグゥ…」

小部屋にあった紐で体を柱に縛り、口に紙を突っ込み紐で縛った。もちろんパンツ一丁にした。机にはもう一枚の紙に

「実はSMプレイが好きなんだ」と現地語で書いた。なんで言葉を知ってんだろう。

「とりあえずずらかるぞ」

「うっす」

まだまだ安心出来そうにないな…。






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